日本の背広服支出は世帯構成と就業状況に大きく左右され、4人以上の世帯や就業者が多い家庭では高額傾向があります。一方、少人数や就業者が少ない世帯では支出が少なく、特に0人世帯では大幅減少しています。全体的には物価上昇や働き方の変化、リユース志向により、支出は減少傾向にあり、今後もこの流れは続くと見られます。
世帯別の背広服
1世帯当りの月間使用料
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | |
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名称 | 平均 | 世帯4人 | 世帯5人 | 世帯6人~ | 就業者3人~ | 就業者2人 | 世帯3人 | 就業者1人 | 世帯2人 | 就業者0人 |
最新値[円] | 1259 | 2061 | 2049 | 2044 | 1567 | 1388 | 1166 | 735 | 355 | 217 |
前年月同比[%] | -18.54 | -11.13 | -38.23 | 7.128 | -34.57 | -10.16 | -1.437 | -7.197 | -28.71 | -26.19 |
これまでの世帯別の推移


詳細なデータとグラフ
世帯別の現状と今後
背広服(スーツ)は、就労・冠婚葬祭・フォーマルな場面で必要とされる衣類であり、家庭の衣料品支出の中でも性質が特殊な部類に属します。特に世帯構成や就業状況は支出額に大きな影響を与え、単身者と多人数世帯、就業者の有無により支出傾向が大きく異なります。
世帯人数別の支出の特徴
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世帯4人以上の支出が最も高い:最新データでは、4人世帯が月平均2,061円で最も高く、5人(2,049円)、6人以上(2,044円)が続きます。これは、家族の中に複数の働き手(とくに成人男性)がいる可能性が高く、就業や進学によるスーツ購入の機会が集中するためと考えられます。
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世帯人数が少ないほど支出は減少:2人世帯ではわずか355円、就業者0人の世帯では217円に留まっています。定年後の高齢夫婦や高齢単身世帯が多く、スーツの新規購入ニーズが乏しいのが主因です。
就業者数と支出の関係
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就業者3人以上の世帯では平均1,567円で比較的高い支出が見られます。これは、家族内に複数の働き手がいることを示しており、業種や職位に応じて定期的なスーツの更新需要があるためです。
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就業者1人・0人世帯では大幅に低く、735円と217円に留まっています。特に0人世帯の支出減少(前年同期比-26.19%)は、年齢高齢化やリユース志向の高まり、スーツの購入自体が不要になっている現状を反映しています。
全体の支出傾向とその背景
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多くの区分で前年同期比マイナス:とくに5人世帯(-38.23%)、就業者3人以上(-34.57%)など、ボリュームの大きい層での支出減少が目立ちます。これは、節約志向の高まりや、リモートワークによるスーツの使用機会減少、若年層のカジュアル志向の影響が複合的に作用していると考えられます。
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例外的に増加したのは世帯6人以上(+7.128%):多人数世帯では就職・進学・冠婚葬祭など「スーツを新調するイベント」が短期間に集中する可能性があり、その周期的な需要が今期に現れたと推察されます。
今後の予測と課題
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リモートワーク・私服通勤の定着により、今後も全体としてスーツ支出は漸減傾向が続く可能性があります。とくに20〜40代でスーツ着用義務のある職場が減っており、「1着を長く使う」傾向が強まっています。
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高齢者世帯の支出は一層低下する見込みです。これまで蓄積されたスーツを活用し続けるケースが多く、買い替えの需要は限られます。
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一方、短期的なイベント需要は残存:就職活動・冠婚葬祭など「スーツが不可欠な場面」は今後も存在し、一定の支出は維持される見通しです。とくに大学生の就活需要は、特定時期に集中する特徴があります。
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