職業別に見る国内パック旅行費の動向と今後の支出予測

パック旅行費(国内)

パック旅行費(国内)パック旅行費(外国)


最新データでは、自営業主・その他の国内パック旅行支出が最も高く、前年比でも堅調な増加を示しました。役職別で見ると、会社役員層の支出も15%以上伸びており、旅行志向の高まりがうかがえます。一方、雇用されている人では前年比マイナスとなっており、物価高や可処分所得の減少が影響している可能性があります。無職層は高齢層を含む安定層として支出を維持。今後は働き方や自由度の高さが旅行支出に影響を与えると見込まれます。

役職別のパック旅行費(国内)

1世帯当りの月間使用料

2025年3月 1 2 3 4
名称 平均 自営業主・その他 無職 会社などの役員 雇用されている人
最新値[円] 2225 2468 2202 2172 2108
前年月同比[%] 2.233 3.96 1.195 15.72 -5.935

 

これまでの役職別の推移

パック旅行費(国内)
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

役職別の現状と今後

2025年3月時点の国内パック旅行費における1世帯当たりの平均支出額は2,225円です。この中で、役職別の支出を高い順に並べると以下の通りになります:

  1. 自営業主・その他:2,468円(前年比 +3.96%)

  2. 無職:2,202円(前年比 +1.195%)

  3. 会社などの役員:2,172円(前年比 +15.72%)

  4. 雇用されている人(会社員等):2,108円(前年比 -5.935%)

このデータからは、働き方の柔軟性、自由時間の多寡、可処分所得の余裕などが、旅行支出に大きな影響を与えていることが読み取れます。


自営業主・その他層の支出傾向と背景

自営業主やフリーランスなどを含む「自営業主・その他」の層は、旅行支出額が全体で最も高く、かつ前年比でも約4%増加と堅調です。

主な要因:

  • 時間的な自由度:繁忙期を避けて安価な時期に旅行しやすい。

  • 収入の上下動に対応した柔軟な消費行動:繁忙期後のご褒美旅行や、季節需要を利用したレジャーへの関心。

  • 地方在住率の高さと移動ニーズ:家族旅行や帰省を兼ねた旅行の支出が増える傾向にあります。

今後も「働き方の多様化」が進めば進むほど、この層の旅行支出は維持・微増していくと予想されます。


会社役員層の支出増加とその特徴

前年比で最も高い増加率(+15.72%)を示したのが、「会社などの役員」層です。この層の支出増は、ポストコロナ後のレジャー回帰に加え、企業経営者の「自己投資」や「家族サービス」といった側面が強く影響しています。

特徴的な要素:

  • 高い可処分所得:インフレによる影響が相対的に少ない。

  • 企業出張と観光のハイブリッド化:観光を兼ねた出張(ブレジャー)なども含まれる可能性。

  • 旅行支出の単価が高め:宿泊施設や移動手段などで上位グレードを選択する傾向。

高級志向・余暇の充実を重視するこの層は、今後のパック旅行商品でも「プレミアム型パッケージツアー」のターゲットとして有望です。


雇用者層の支出減少とその構造的要因

「雇用されている人(会社員など)」の支出は前年比で-5.935%と減少しています。これは物価高による可処分所得の圧迫や、家庭支出の見直しが進んでいることを反映しています。

主な要因:

  • 実質賃金の伸び悩み:インフレ率に追いつかない給与の増加。

  • 育児・教育費負担の重さ:特に中間層で支出の選別が進んでいる。

  • 休日取得の難しさ:職種によっては長期休暇が取りにくく、短期旅行を選ぶ傾向が強い。

この層の旅行需要を喚起するには、価格訴求型の旅行商品や有給休暇促進の政策連動型ツアーなどが求められるでしょう。


無職層の支出と安定感

「無職」とされる層は、年金受給者や家族に扶養される高齢者が中心です。支出額は2,202円で、平均をやや下回るものの前年比では微増(+1.195%)と堅調です。

この層の特徴:

  • 時間的余裕と平日旅行の実施:混雑を避けた旅行を好む傾向。

  • 旅行が生活の一部となっている:温泉旅行や日帰りツアーなど、低価格ながら定期的な利用が見られる。

  • 医療・健康志向とのバランス:無理のないスケジュールを重視したツアーへの参加。

今後も「ゆったり型旅行」や「医療・健康連携型旅行」のニーズは底堅く、定期性のある需要源として重要なターゲットであることは間違いありません。


今後の展望と業界への示唆

役職別の旅行支出データから、旅行業界が今後注目すべきポイントは以下の通りです:

  1. 柔軟な働き方の層(自営業・役員)への高価格帯商品の強化 → 高単価・個別設計型ツアーの需要は今後も伸びる見通し。

  2. 雇用者層への価格競争力と利便性訴求 → 割安プラン、子連れ対応、短期旅行の充実が鍵。

  3. 高齢層・無職層の「健康とゆとり」に寄り添う商品 → 無理のない行程、地場連携型ツアーなど。

また、今後の社会変化(副業解禁、ワーケーション推進、物価変動)によっても旅行支出の傾向は動きます。各層に応じた多様な商品開発と、タイミングを見た販促が求められる時代に入ったと言えるでしょう。

 

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