2025年4月時点で、日本の紅茶10袋の平均価格は119.6円。熊本や高知では高価格、松阪や鹿児島では低価格と、地域差が顕著。価格の変動要因には為替、輸入状況、PB商品の展開などが関係し、今後は価格安定が見込まれる一方で、付加価値のある紅茶へのニーズが高まると予想される。
小売物価統計
紅茶小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 熊本 | 高知 | 西宮 | 福山 | 東大阪 | 川口 | 那覇 | 藤沢 | 神戸 | 枚方 |
最新値[円] | 119.6 | 134 | 131 | 129 | 129 | 129 | 129 | 128 | 128 | 128 | 128 |
前年同月比[%] | +2.726 | +8.943 | +9.167 | +38.71 | +19.44 | -9.22 | +4.918 | +11.3 |
紅茶小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 松阪 | 鹿児島 | 佐賀 | 八戸 | 名古屋 | 小山 | 府中 | 新潟 | 青森 | 静岡 |
最新値[円] | 119.6 | 94 | 101 | 106 | 107 | 107 | 107 | 107 | 107 | 107 | 107 |
前年同月比[%] | +2.726 | -21.67 | -12.17 | -10.92 | -13.01 | -9.322 | +5.941 | -17.05 |
紅茶の推移


詳細なデータとグラフ
紅茶の現状と今後
紅茶は、日本において「やや高級志向の嗜好品」と「日常に取り入れやすい飲料」の間に位置する独特な存在です。その価格変動は、輸入品市場の動向や地域ごとの流通構造、嗜好性の変化を映し出しています。2025年4月現在、10袋あたりの全国平均価格は119.6円で、ここ数年の物価上昇の中でも比較的緩やかな上昇にとどまっています。
地域別価格の傾向──西高東低と価格のばらつき
高価格帯地域(熊本・高知・西宮など)
紅茶の価格が高い地域では、熊本(134円)、高知(131円)、西宮(129円)などが上位を占めています。これらの地域は地理的な流通コストの影響や、スーパーやドラッグストアの寡占状態が影響している可能性があります。特に西宮は前年比+38.71%と極端な伸びを示しており、急な仕入価格変更や商品構成の変化(高級ブランドへのシフト)などが考えられます。
低価格帯地域(松阪・鹿児島・佐賀など)
1方で、最も安いのは松阪(94円)、鹿児島(101円)、佐賀(106円)など。これらの地域では大手チェーンによる価格競争が強く、PB(プライベートブランド)商品の展開も盛んであることから、低価格を維持できていると考えられます。ただし、松阪では前年比-21.67%という大幅な下落が見られ、特売や棚替えによる1時的要因の可能性もあります。
価格変動の要因──国際市場と国内販売戦略
紅茶の価格は、以下のような要因により影響を受けやすいです。
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為替の変動:紅茶のほとんどが輸入品であるため、円安はそのまま価格上昇圧力となります。
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紅茶の産地事情:インドやスリランカでの天候不順や政情不安は供給不安定を招きます。
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ブランドと商品構成の変化:より高価格帯の紅茶やフレーバーティーの比率が高まると、平均価格も上昇します。
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販路の変化:コンビニやネット通販では比較的高単価商品が多く、小売価格全体を押し上げる傾向があります。
消費者の動きと紅茶文化の変化
日本における紅茶文化は、1990年代から徐々に浸透し始め、現在では女性層や若者を中心にティータイム文化が定着しつつあります。特に健康志向の高まりとともに、ノンカフェイン紅茶や機能性フレーバー(ハーブ・フルーツ系)への関心が高まっています。こうした嗜好の変化は、従来の安価な紅茶から付加価値型へのシフトを後押ししています。
地域差の背景──物流、購買力、流通網
地域別の価格格差は、単にコストの違いだけでなく、購買力と小売業者の価格戦略によるところが大きいです。都市圏では選択肢が多く価格が安定しやすい1方、地方では選択肢が少なく特定商品の価格変動が大きく反映されがちです。加えて、PB商品の有無が価格帯を大きく左右する点も見逃せません。
今後の展望──安定価格と「選ばれる紅茶」へ
紅茶の10袋価格は、今後も比較的安定したレンジ(110〜130円台)を維持すると見られます。国際的な需給バランスや為替の変動次第では、じわじわとした上昇も予想されますが、コーヒーや緑茶と比べれば価格変動リスクはやや抑えられています。
今後は価格そのものよりも「何を選ぶか」が問われる時代になるでしょう。定番のティーバッグから、オーガニック紅茶、フレーバーティー、機能性紅茶など、消費者の選択肢は広がっており、それぞれに合った価格帯が形成されると考えられます。
まとめ
紅茶10袋の価格は、長期的には穏やかな上昇傾向にありながらも、地域や商品構成によって大きく異なる現実があります。消費者は価格だけでなく、品質や好みに合わせた「選択の時代」に入っており、小売業者もまた、安さだけでなく多様性で勝負する必要に迫られています。
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