2025年4月時点で日本の空気清浄機の平均価格は4.71万円。福井や山形、大分では高価格帯が目立ち、特に山形は前年比+57.47%の急上昇。寒冷地や花粉・黄砂対策の需要が高く、高機能モデルの普及が価格上昇に影響している。一方、那覇や徳島、和歌山などでは価格が下落傾向にあり、気候や空気質の差が影響している。全体として機能の高度化と地域の生活環境が価格に強く反映されており、今後も地域差が広がる可能性がある。
電気製品の都市別小売価格
空気清浄機価格の高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 福井 | 大分 | 山形 | 高知 | 新潟 | 熊本 | 青森 | 松山 | 大津 | 津 |
最新値[万円] | 4.71 | 6.18 | 6.099 | 6.028 | 5.918 | 5.918 | 5.48 | 5.478 | 5.45 | 5.45 | 5.379 |
平均比[%] | 100 | 131.2 | 129.5 | 128 | 125.7 | 125.7 | 116.4 | 116.3 | 115.7 | 115.7 | 114.2 |
前年月同比[%] | -6.491 | +37.95 | +32.76 | +57.47 | +19.82 | +40.47 | +8.752 | -6.707 | +21.65 | -1.179 | +1.033 |
空気清浄機価格の低い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 那覇 | 徳島 | 和歌山 | 奈良 | 福島 | 金沢 | 大阪 | さいたま | 広島 | 前橋 |
最新値[万円] | 4.71 | 3.55 | 3.599 | 3.608 | 3.608 | 3.749 | 4.05 | 4.076 | 4.119 | 4.165 | 4.169 |
平均比[%] | 100 | 75.38 | 76.42 | 76.61 | 76.61 | 79.6 | 85.99 | 86.54 | 87.45 | 88.42 | 88.52 |
前年月同比[%] | -6.491 | -41.32 | -13.36 | -1.259 | -1.259 | -6.111 | -18 | -14.07 | -17.43 | -15.68 | -29.68 |
これまでの家電製品の推移


詳細なデータとグラフ
空気清浄機の現状と今後
空気清浄機は、PM2.5や花粉、黄砂の対策として2010年代に1般家庭での普及が進み始めた。2015年から2020年までは価格は概ね安定していたが、2020年以降の新型コロナウイルスの影響により、室内空気環境への関心が高まり、急激に需要が増加。それに伴い、加湿機能やウイルス除去機能付きなど高機能化が進行し、平均価格が上昇していった。
2025年4月時点での全国平均は4.71万円。これは2015年当初と比べて1万円以上の上昇と見られ、製品の高付加価値化が進んだ証左である。
高価格地域の背景と需要の特徴
価格が特に高い都市としては、以下のような地域が挙げられる:
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福井(6.18万円、+37.95%)
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大分(6.099万円、+32.76%)
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山形(6.028万円、+57.47%)
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高知・新潟(各5.918万円)
寒冷地・内陸部の需要
山形・新潟・福井のような寒冷地・豪雪地域では、冬季に窓を開けづらく換気が制限されるため、空気清浄機への依存度が高い。また、暖房による空気の乾燥や、雪解け時のカビ対策などの目的も加わり、高機能機種が選ばれやすい。
花粉・黄砂・PM2.5の影響
9州・中国地方や日本海側では、春季の黄砂やPM2.5の影響が強く、フィルター性能や自動検知機能付きの上位モデルへの需要が高まる。これが価格上昇につながっている。
医療・介護用途の拡大
高齢化の進んだ地方では、病院・介護施設・在宅医療における空気清浄機の導入が進んでおり、業務用と家庭用の中間的な機種が多く売れていることも高価格化の要因である。
低価格地域の特徴と背景
価格が安く推移している都市としては、以下のような都市が目立つ:
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那覇(3.55万円、-41.32%)
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徳島(3.599万円、-13.36%)
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和歌山・奈良(各3.608万円)
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大阪(4.076万円、-14.07%)
温暖・多湿地域での使用頻度の低さ
那覇や徳島など南部・沿岸地域では、空気が比較的きれいで換気しやすい環境にあるため、高機能モデルよりもベーシックな製品の需要が中心。このため、全体的に価格帯が低めとなっている。
在庫処分や廉価モデル中心の展開
都市部に比べて消費者が高価格モデルに手を出しづらい地域では、メーカーや小売店が旧モデル・エントリーモデルを中心に販売しており、価格も据え置きまたは値下がり傾向が見られる。
市場競争の激化
大阪や広島といった都市では、家電量販店の競合が激しく、価格競争が進んでいる。これは1部地域で空気清浄機の価格が下落している主因の1つである。
空気清浄機の価格変動要因
上昇要因
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多機能化(加湿・脱臭・除菌・スマート制御など)
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高性能フィルター(HEPAなど)搭載モデルの普及
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原材料・輸送費の高騰(とくにコロナ禍以降)
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医療・公共施設での導入拡大による高価格帯需要
下落要因
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製品の陳腐化(型落ち)と入れ替えによる値下げ
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需要の1巡(コロナ収束とともに買い替え停滞)
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地域小売店での処分価格やオンライン販売競争
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特定地域での使用優先度の低さ
今後の展望と地域間格差の行方
今後のトレンド
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空気質の可視化(アプリ連携)やAI制御の普及
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業務用・高齢者向けモデルの需要増加
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地域密着型モデル(静音・省エネ・小型化)の拡充
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海外製品との競争と価格調整
地域間価格差の将来的影響
今後も気候、住宅事情、医療需要など地域の特色が価格に色濃く反映される見込み。特に地方では、空気の質や換気困難さなどの要因で、今後さらに高価格帯へのシフトが進む可能性がある。1方、都市部や温暖地では廉価帯モデルの競争が継続するとみられ、全国平均の上下を相殺する形になると予想される。
まとめ
空気清浄機の価格はこの10年で着実に上昇しており、その背景には技術進化と健康意識の高まりがある。1方で、都市ごとの気候や生活様式の違いにより、地域別価格差は拡大傾向にある。今後は、高機能志向と廉価ニーズの2極化がさらに進む可能性が高く、消費者は機能と価格のバランスをより慎重に見極める必要があるだろう。
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