家計調査によると、二人以上世帯の牛乳支出は都市間で大きな差があり、特に大津市や京都市などで高く、逆に高知市や北九州市などでは低迷しています。背景には嗜好の地域差や価格変動、世代構成の違いがあり、都市部では健康志向の高まりも影響しています。将来的には少子高齢化や牛乳離れが進行し、消費は地域により二極化する可能性があります。
牛乳の家計調査結果
牛乳の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 大津市 | 京都市 | 岡山市 | 相模原市 | 神戸市 | 山口市 | 松江市 | さいたま市 | 山形市 | 大阪市 |
最新値[円] | 1297 | 1710 | 1670 | 1664 | 1604 | 1560 | 1540 | 1520 | 1478 | 1462 | 1458 |
前年月同比[%] | +0.138 | +19 | +15.81 | +4.984 | +18.99 | +23.81 | +6.427 | +30.7 | +39.83 | -11.5 | +7.681 |
牛乳の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 高知市 | 北九州市 | 甲府市 | 長崎市 | 堺市 | 大分市 | 秋田市 | 佐賀市 | 岐阜市 | 静岡市 |
最新値[円] | 1297 | 844 | 892 | 943 | 964 | 1018 | 1031 | 1046 | 1066 | 1089 | 1090 |
前年月同比[%] | +0.138 | -17.01 | -24.21 | -40.73 | -13.15 | -42.97 | +13.17 | -28.01 | -6.079 | +5.523 | +9.438 |
これまでの牛乳の推移


詳細なデータとグラフ
牛乳の肉類現状と今後
2008年から2025年までの家計調査を見ると、牛乳の平均支出額は1297円であり、リーマンショック以後の消費低迷期を経て、近年では健康志向の高まりや物価高の影響を受けてじわじわと上昇傾向にあります。ただし、これは全国平均であり、個別都市のデータを見ると、地域ごとに大きなばらつきが見られます。
都市ごとの支出額の違いと背景
牛乳支出が高い都市には、大津市(1710円)、京都市(1670円)、岡山市(1664円)などが挙げられます。これらの都市に共通する要素は、以下の通りです:
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比較的所得水準が高めの世帯が多い都市:購買力の高さは、食費全体の底上げにもつながっています。
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教育水準や健康志向が高く、牛乳が健康食品として定着している:牛乳を「栄養源」として日常的に取り入れる傾向が強い。
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パン食文化の普及:特に関西圏では朝食にパンと牛乳を合わせる家庭が多く、日常的な需要が支出に直結しています。
一方で、支出が少ない都市としては、高知市(844円)、北九州市(892円)、甲府市(943円)などが挙げられます。これらの都市には、以下のような傾向がみられます:
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高齢化率が高く、牛乳の摂取を控える層が多い:乳糖不耐症や嗜好の変化により消費が減少。
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食文化としての牛乳定着率が低い:和食中心の家庭では牛乳をあまり取り入れない傾向があります。
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物価高騰により買い控えが発生:低所得層の多い地域では、必需品以外の消費が抑制されやすい。
前年比増減率の考察
さいたま市(+39.83%)や松江市(+30.7%)など、大幅に支出が増えている都市は、以下のような要因が考えられます:
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教育機関やメディアによる健康情報の浸透:カルシウム摂取の重要性が再認識され、家庭での購入量が増加。
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物価上昇による単価の上昇:同じ量でも価格が上がれば支出額は増加する。
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地域での学校給食文化の影響:家庭内でも牛乳を常備する傾向に繋がっています。
反対に、堺市(-42.97%)や甲府市(-40.73%)のように大幅に減少した都市では、以下のような問題が関係している可能性があります:
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家計の圧迫による節約志向の高まり:価格が上がる一方で、買い控えが起きやすい商品です。
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代替品(豆乳・ヨーグルトなど)への移行:健康志向の変化で、牛乳から他の乳製品へシフトする動きが進んでいます。
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特売商品や業務用スーパーへの流出:調査対象外の購入チャネルが増え、統計には現れにくくなっています。
世代間・ライフスタイルによる消費傾向の違い
牛乳の消費は世代間で大きな差があります。
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若年層・子育て世帯:成長期の子どものいる家庭では、カルシウム摂取の意識から常備される傾向が強い。
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中高年・高齢層:乳糖不耐症や健康上の理由から避けるケースも多く、牛乳消費は相対的に減少。
また、生活様式の変化も影響しています。
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朝食習慣の変化:パンと牛乳のセットから、スムージーやヨーグルトへの移行が一部で見られます。
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単身世帯の増加:二人以上世帯に比べると、牛乳の購入頻度・量ともに少なくなる傾向があります。
今後の見通しと課題
今後の牛乳支出の動向は、以下のような方向に進むと予測されます:
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都市部と地方の二極化:都市部では健康志向の追い風で牛乳の支出は横ばいか微増傾向。一方、地方や高齢化の進む地域では減少傾向が強まりそうです。
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物価高の影響継続:原材料費・エネルギーコストの上昇が価格転嫁され、支出額の上昇が続く可能性があります。
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持続可能な畜産業の課題:酪農家の廃業が相次ぎ、供給の不安定さが今後の価格と消費量に影響を与える懸念があります。
今後も、世帯構成や健康意識、食生活の変化を注視しつつ、牛乳という日常食品がどのような形で位置づけられるのか、地域と世代ごとに丁寧な分析が求められます。
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