煮干し100gの価格が7%上昇:2025年4月最新データと今後の動向分析

加工食品



2025年4月時点で煮干し100gの平均価格は359.3円で、前年比7.4%の上昇を記録。高松・函館では500円超となる一方、旭川・宮崎では200円台前半と地域差も顕著。価格上昇の背景には漁獲量減少、燃料費・物流費の高騰があり、今後も緩やかな上昇が見込まれるが、国産志向と輸入品の競争の両立が課題となる。

小売物価統計

煮干し小売りの高い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 高松 函館 鳥取 那覇 富山 徳島 さいたま 東大阪 大阪 川崎
最新値[円] 359.3 519 493 456 453 439 437 433 429 425 422
前年同月比[%] +7.358 +18.49 +48.94 +10.68 +0.443 +18.97 +13.21 +1.168 +15.32 +21.08 -0.939

煮干し小売りの安い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 旭川 宮崎 佐賀 北九州 佐世保 長崎 甲府 郡山 水戸 熊本
最新値[円] 359.3 213 217 245 261 262 275 278 283 290 299
前年同月比[%] +7.358 -3.125 +6.522 +8.299 +2.344 -1.786 +0.361 -4.714 +27.19 +37.79

 

煮干しの推移

煮干し小売り価格
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

煮干しの現状と今後

2010年から2025年4月までのデータを振り返ると、煮干し100gの全国平均価格は359.3円となっており、前年同月比で+7.358%の上昇を示しています。10年以上の期間を見渡しても、煮干し価格は比較的安定してきましたが、ここにきて明確な上昇傾向が見られます。

この背景には、漁獲量の減少輸送コストの高騰、さらに円安による飼料・燃料価格の上昇が大きく影響していると考えられます。

地域別価格と上昇率の乖離

最新データから、煮干し価格の地域差は非常に大きいことが分かります。たとえば、

  • 最も高価な高松(519円)は、前年同月比で+18.49%の上昇。

  • 1方、最も安価な旭川(213円)では、変動が見られず(または微増)。

このような格差の理由は、地域ごとの供給体制・輸送コスト・消費傾向にあります。高松・函館など価格上位の地域では、地場産の良質な煮干しが流通しているため品質プレミアムが付きやすく、価格が高止まりする傾向があります。

価格高騰の背景にある産業構造

煮干しの主原料となるカタクチイワシなどの漁獲量が年々減少傾向にあります。温暖化の影響による魚場の変化、漁業従事者の高齢化、漁船の燃料費上昇、また養殖業での需要増が重なり、原材料そのものの供給が不安定になっているのです。

さらに、物流業界の2024年問題(ドライバー不足)も煮干しの地域間流通に影響を及ぼし、特に内陸部では価格のばらつきが生まれやすい状況です。

消費者側の変化と価格への受容

煮干しは、出汁用やペットフード、高タンパク食品としての用途が拡大しており、家庭だけでなく業務用・輸出向け需要も増加傾向にあります。健康志向の高まりも、煮干し需要の底堅さを支えています。

1方で、価格上昇に対して敏感な家庭では購入量の減少や代替品(粉末出汁など)へのシフトも1部で見られ、煮干し市場における単価上昇と数量減少の“すれ違い”も懸念材料です。

今後の価格展望と課題

今後の煮干し価格は、引き続き上昇傾向が予想される1方、急激な高騰は避けられる可能性もあります。理由としては、

  • 政府による漁業支援政策の効果

  • 加工・冷凍技術の進展によるロス削減

  • 輸入品(中国産など)の安定供給による市場圧力

ただし、国産品に対する品質志向は根強く、特に高価格帯では地場産ブランド煮干しの競争が激しくなると見られます。また、環境保全と漁業資源の持続性を両立させる制度設計が問われる時代にもなっています。

 

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