日本の焼き魚100gの小売価格は近年急騰しており、2025年3月の平均は356.7円。岐阜や静岡などでは490円前後と高値を記録。一方、和歌山や福井では245円と安価だが、前年比で約70〜80%の上昇と、地方でも急騰が見られる。背景には魚資源の減少、加工・物流・エネルギーコストの増加があり、今後も高値が続く可能性が高い。
惣菜・外食の都市別小売価格
焼き魚の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 岐阜 | 静岡 | 大津 | 福島 | 鳥取 | 奈良 | 盛岡 | 水戸 | 新潟 | 宮崎 |
最新値[円] | 356.7 | 490 | 488 | 482 | 481 | 465 | 458 | 441 | 434 | 427 | 418 |
平均比[%] | 100 | 137.4 | 136.8 | 135.1 | 134.9 | 130.4 | 128.4 | 123.6 | 121.7 | 119.7 | 117.2 |
前年月同比[%] | 5.793 | 36.11 | 28.42 | 5.702 | 29.65 | 23.67 | 10.9 | 14.25 | 13.32 | 7.828 | 6.361 |
焼き魚の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 和歌山 | 福井 | 長崎 | 那覇 | 札幌 | 松江 | 神戸 | 前橋 | 甲府 | 山口 |
最新値[円] | 356.7 | 245 | 245 | 262 | 266 | 282 | 284 | 285 | 287 | 287 | 293 |
平均比[%] | 100 | 68.69 | 68.69 | 73.46 | 74.58 | 79.06 | 79.62 | 79.9 | 80.46 | 80.46 | 82.15 |
前年月同比[%] | 5.793 | -5.405 | 8.889 | 6.939 | -13.36 | -6.931 | 2.899 | -1.724 | 18.11 | 10.81 | 2.807 |
これまでの惣菜・魚等の推移


詳細なデータとグラフ
焼き魚の現状と今後
日本における焼き魚の小売価格は、2010年以降、緩やかな上昇を続けてきましたが、近年では急激な高騰が目立つようになりました。2025年3月の最新データでは、全国平均は100gあたり356.7円と、過去10年以上の中でも高水準に達しています。これは、魚類全体の流通コストの増加や、漁獲量の不安定化、さらに加工・調理済み食品へのニーズの高まりなどが関係しています。
都市別に見る焼き魚価格の高低
高価格帯の都市とその特徴
焼き魚価格が高い都市では、岐阜(490円)、静岡(488円)、大津(482円)、福島(481円)などが挙げられます。岐阜では前年比+36.11%、静岡では+28.42%と、価格水準そのものが高い上に、上昇率も大きいのが特徴です。
これらの都市では、スーパーや中食産業で高品質・調理済みの焼き魚商品が多く流通していることや、観光地や高齢化の進む地域で、手間を省いた惣菜の需要が高いことが背景にあります。
また、福島や鳥取など、魚介類の地場消費が盛んな地域でも価格が高く、地産地消の流通形態に起因する価格の高止まりが見受けられます。
低価格帯の都市とその傾向
対照的に、和歌山・福井(いずれも245円)、長崎(262円)、那覇(266円)などでは比較的安価に焼き魚が販売されています。これは地元漁港での鮮魚供給が安定していたり、ローカルチェーン店が価格を抑えているためです。
しかし注目すべきは、これらの低価格地域でも価格の上昇率が極めて高いことです。和歌山・福井では前年比+68.69%、神戸や前橋・甲府などでは80%以上の上昇が見られ、価格急騰の影響が全国規模で広がっていることが分かります。
焼き魚価格高騰の背景要因
原材料(魚)価格の上昇
気候変動や海水温の上昇、国際的な乱獲による魚類資源の減少により、魚そのものの価格が世界的に上昇しています。日本では特にサバ、サケ、アジなどの主力魚種の漁獲が年々減少傾向にあります。
加工・中食需要の増加
焼き魚は家庭での調理が難しい・手間がかかると感じる消費者が多く、近年では調理済みの焼き魚の惣菜需要が急増しています。そのため、スーパーやコンビニで販売される焼き魚商品は、加工・包装・流通などのコストがかさみ、小売価格に反映されます。
労働力不足・物流費高騰
人手不足による加工賃の上昇や、2024年問題に代表される物流制約が、商品価格を押し上げています。冷蔵・冷凍の取り扱いが必要な焼き魚は特に物流コストの影響を受けやすい品目の一つです。
エネルギーコストの増加
焼き魚の加工には調理用エネルギーが必要であり、電気・ガス料金の上昇は製造原価の上昇に直結します。ロシア・ウクライナ情勢や円安も、エネルギーコスト高騰の要因となっています。
地域別の消費スタイルと今後の展望
価格が高い都市では、利便性や品質を重視する傾向があり、調理済み高付加価値商品の需要が根強く、今後も高値維持が続くと予想されます。一方、価格が低い地域では、鮮魚からの家庭調理や地元産の直接流通が残っており、多少価格抑制力が働いています。
しかし、いずれの地域でも労働・物流・資源問題に根ざした価格上昇が続けば、今後さらに焼き魚の入手難・価格上昇が進む可能性があります。
政策的には、地産地消の強化、加工インフラの改善、輸入多様化などが対応策となるでしょう。また、消費者側でも冷凍焼き魚の活用やまとめ買い、簡易調理魚の活用などの工夫が求められます。
まとめ
焼き魚100gの小売価格は全国的に高騰しており、特に低価格地域における急激な価格上昇が際立っています。背景には魚資源の減少、加工・流通コストの上昇、エネルギー費高騰などがあり、今後も価格高止まりが続く見通しです。価格の地域差はあるものの、全国的に「中食」需要と物価上昇が重なり、消費者にとって重要な生活コスト項目となりつつあります。持続可能な流通と消費の仕組み作りが、今後の課題となるでしょう。
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