2018年以降の家計調査に基づき、無職世帯の諸雑費(無職)の傾向を分析すると、小都市ほど支出が増加し、大都市では大幅減少する傾向が見られる。これは物価、支援制度、居住形態の違い、そして高齢化の進行が影響している可能性が高い。世代間では高齢単身者の増加が支出の分散化を招き、今後も都市別に異なる経路で変動すると予想される。特に小都市では生活コスト上昇に注意が必要となるだろう。
諸雑費(無職)の家計調査結果
諸雑費(無職)の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 小都市B | 中都市 | 小都市A | 全国 | 大都市 |
最新値[万円] | 2.275 | 2.369 | 2.365 | 2.321 | 2.269 | 2.052 |
前年月同比[%] | +0.42 | +34.16 | +6.798 | +17.45 | -2.24 | -32.74 |
諸雑費(無職)の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 大都市 | 全国 | 小都市A | 中都市 | 小都市B |
最新値[万円] | 2.275 | 2.052 | 2.269 | 2.321 | 2.365 | 2.369 |
前年月同比[%] | +0.42 | -32.74 | -2.24 | +17.45 | +6.798 | +34.16 |
これまでの諸雑費(無職)の推移


詳細なデータとグラフ
諸雑費(無職)の諸雑費現状と今後
「諸雑費(無職)」とは、無職世帯、特に年金生活者を中心とした家計の中で、食費・光熱費・家賃などの主要支出以外のこまごまとした支出項目を指します。これは、冠婚葬祭、地域活動費、趣味・娯楽、交際費、ペット関連支出、雑貨、新聞購読費などが含まれ、家計の「ゆとり」や「地域とのつながりの深さ」なども反映します。
2018年以降の「諸雑費(無職)」の動向と特徴
2018年から2025年3月までの家計調査によれば、無職世帯の諸雑費の平均は2.275万円となっています。全体として見ると、小都市での支出は比較的高く、大都市で大きく減少しています。
-
小都市B:2.369万円(+34.16%)
-
中都市:2.365万円(+6.798%)
-
小都市A:2.321万円(+17.45%)
-
全国平均:2.269万円(-2.24%)
-
大都市:2.052万円(-32.74%)
このように、小都市で支出が増加しているのに対し、大都市では支出が顕著に減少しているという、都市別の明確な差異が見られます。
都市別傾向の背景にある要因
大都市の支出減少の背景
-
公共サービスの代替化(例:無料相談窓口や助成サービスの拡充)
-
単身高齢者の増加と外出機会の減少
-
自粛傾向の継続(コロナ禍以降)
-
地価や物価高により、他の支出に資源を優先する傾向
小都市での支出増加の背景
-
地域社会とのつながりの維持(町内会費、寄付、冠婚葬祭など)
-
趣味・娯楽活動が近隣で継続されていること
-
移動手段の乏しさによる地元サービスへの依存(結果として費用がかさむ)
-
物価上昇と年金生活のギャップ
世代間の違いと生活スタイルの影響
無職世帯の中でも、高齢単身者世帯と高齢夫婦世帯では諸雑費に対する支出の性質が異なります。
-
単身者:交際費や地域関与が減少傾向。内向的消費に集中(新聞、TV、ペット等)。
-
夫婦世帯:地域活動や旅行、趣味への支出を保つ傾向が強く、結果的に支出は高めに。
また、団塊の世代以降の高齢者は、ITリテラシーも高く、オンラインでの支出(定期購読・通販など)も1部反映されている可能性があります。
今後の予測と政策的示唆
今後の推移の予測
-
小都市では今後も「つながりの維持」や「地元消費依存」により、緩やかな支出増が続くと予想。
-
大都市は今後も単身化の進展と節約志向により、低下傾向が持続する可能性。
-
1方、オンラインサービス(有料配信や定期サービス)の浸透によって、見えにくい支出が増え、統計では捉えにくくなるリスクもある。
政策的含意
-
無職世帯向けの「孤立防止・地域活動支援」は支出と幸福度の維持に直結するため重要。
-
地域差を考慮した支援設計(例:都市部ではデジタル支援、小都市では交通費や共助活動の支援)が求められる。
まとめ
無職世帯の諸雑費は、ただの「雑費」ではなく、その世帯がどのような生活を送り、地域とどうつながっているかを映す鏡とも言えます。小都市での支出増加は生活の豊かさの1側面を示す反面、大都市の減少は孤立や消費抑制といった課題を浮き彫りにしています。今後も世代構成の変化や都市の機能に応じて、これらの支出傾向は2極化する可能性が高く、支援政策はきめ細かな対応が必要とされます。
コメント