無職世帯の自転車購入費は全国平均50円と急減し、都市間を問わず前年比で大幅マイナス。高齢化と安全意識の高まりから購入機会が激減し、特に大都市では自転車利用自体が縮小。今後は修理や共有型移動手段への転換が進むと見られる。政策支援があっても個人購入の回復は難しい。
自転車購入の家計調査結果
自転車購入の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
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名称 | 全国 | 小都市A | 中都市 | 大都市 | 小都市B |
最新値[円] | 50 | 92 | 72 | 18 | 0 |
前年月同比[%] | -85.8 | -79.19 | -83.26 | -95.24 |
自転車購入の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
---|---|---|---|---|---|
名称 | 全国 | 小都市B | 大都市 | 中都市 | 小都市A |
最新値[円] | 50 | 0 | 18 | 72 | 92 |
前年月同比[%] | -85.8 | -95.24 | -83.26 | -79.19 |
これまでの自転車購入の推移


詳細なデータとグラフ
自転車購入の現状と今後
自転車購入費は、家計調査の中では「交通費(無職)」の中の一部項目として位置づけられます。主に通院や買い物用の近距離移動手段として、自転車はかつて多くの無職世帯、特に年金生活者に活用されてきました。
しかし、2025年3月時点の全国平均支出額はわずか50円と、極端に低水準に落ち込んでいます。これは無職世帯全体における「新たな自転車購入」の頻度が極めて稀であることを意味します。
都市別の比較と顕著な減少傾向
都市別の1世帯あたり平均支出額は以下の通りです。
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小都市A:92円(前年比 -79.19%)
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中都市:72円(前年比 -83.26%)
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大都市:18円(前年比 -95.24%)
いずれの地域でも前年比で大幅減少しており、自転車購入行動が急激に縮小しています。とくに大都市での減少が顕著です。
これは以下のような理由によると考えられます。
大都市:
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公共交通網の発達により自転車の必要性が低い
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自転車駐輪場の不足や盗難リスク
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高齢者による自転車事故の増加に伴う使用控え
中・小都市:
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一部では自転車依存は継続するが、既存の自転車を修理して使い続ける傾向
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高齢化の進行で「運転不安」による自転車引退が進む
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電動アシスト自転車への買い替えが家計を圧迫し、購入自体を敬遠
高齢者と自転車の相性問題
自転車は一見、手軽な交通手段ですが、高齢者にとってはリスクの高い移動手段となり得ます。
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転倒事故や接触事故が増加傾向にある
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医療費負担増や家族からの使用制限の影響
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自治体による「高齢者の自転車利用自粛」キャンペーンの効果
これらの社会的背景もあり、高齢無職世帯において自転車そのものの役割が後退していることがうかがえます。
今後の推移と予想される構造変化
今後も減少傾向が続く見込み:
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高齢化の進行で自転車から「歩行補助具」や「地域巡回バス」への移行が進む
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新たな購入が減り、修理や譲渡による再利用が主流に
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安価な中国製自転車の市場縮小、電動化の波による価格高騰もネック
一方で、地域施策により再評価の可能性も:
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小規模自治体による「高齢者向け電動自転車補助金」の拡充
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自転車シェアリングや三輪型自転車の導入による利便性向上
ただし、これらの効果は限定的であり、「個人での新規購入」は減少し続けるのが大勢です。
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