無職世帯の自動車等関係費は全国平均1.636万円。小都市Bで最も高く、大都市で最も低い。小都市Bではガソリン・整備費の上昇により支出が急増。一方、中都市・小都市Aでは免許返納等で大幅減。今後は都市と地方で支出が二極化し、地方の高齢世帯を中心に維持費支援の政策が必要とされる。
自動車等関係費の家計調査結果
自動車等関係費の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
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名称 | 全国 | 小都市B | 中都市 | 小都市A | 大都市 |
最新値[万円] | 1.636 | 2.102 | 1.76 | 1.478 | 1.356 |
前年月同比[%] | -15.77 | +22.35 | -28.59 | -29.33 | +1.209 |
自動車等関係費の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
---|---|---|---|---|---|
名称 | 全国 | 大都市 | 小都市A | 中都市 | 小都市B |
最新値[万円] | 1.636 | 1.356 | 1.478 | 1.76 | 2.102 |
前年月同比[%] | -15.77 | +1.209 | -29.33 | -28.59 | +22.35 |
これまでの自動車等関係費の推移


詳細なデータとグラフ
自動車等関係費の現状と今後
「自動車等関係費」とは、自動車の購入費・維持費(保険料、ガソリン、車検等)・修理費・駐車場代などを含む総合的な支出です。無職世帯においては、限られた年金や蓄えから捻出されるため、家計へのインパクトが非常に大きい費目とされています。
2025年3月時点の全国平均は1.636万円であり、交通費の中でも最大級の支出項目にあたります。
都市間での支出のばらつきと背景
都市別に見ると、最も高いのが小都市B(2.102万円)、次いで中都市(1.76万円)、小都市A(1.478万円)、最も低いのは大都市(1.356万円)です。この並びは、都市のインフラ整備状況や生活スタイルに深く関係しています。
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小都市B:+22.35%の増加地方都市では、公共交通が乏しいため「一家に複数台保有」が常態化。ガソリン・車検・整備費の上昇が強く影響しており、自動車関係支出が増加傾向にあります。特に無職高齢世帯では、車の維持が生活の維持とほぼ同義です。
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中都市・小都市A:2~3割の減少中規模都市や一部地方都市では、免許返納が進んだことで車の所有率が減少。また、高齢者向け移動支援(バスカード支給等)が影響したと見られます。一時的な買い替え需要が減退した影響も考えられます。
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大都市:+1.209%と微増地下鉄やバスなど公共交通が充実し、もともと車を持たない世帯も多い中、駐車場代や保険料の値上がりにより、少しだけ増加しています。
世代間の影響と社会的背景
高齢化が進む中で、無職世帯の中心は高齢者世帯です。この層にとって車は、通院・買い物・介護など生活の根幹に関わるツールです。
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地方の高齢世帯では「車を手放せない」状況が多く見られ、維持費を削る余地がありません。
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都市部の高齢世帯では、すでに免許返納やライドシェアの利用が進んでおり、車に依存しない生活モデルが確立しつつあることが支出低減につながっています。
また、地方では若者世代の流出が続くことで、高齢世帯のみが残り、結果的に自動車関連支出の重みが増すという構図も無視できません。
今後の推移予測と課題
今後の自動車等関係費の推移は、二極化が進行すると予想されます。
増加する地域(特に小都市B型):
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自動車の高齢化による整備費・修理費の上昇
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燃料費・保険料の継続的上昇
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電動化による修理・保守コストの増加(整備体制が都市部に集中)
減少する地域(都市部):
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免許返納や公共交通の利用者増加
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マイカーのシェアリング化(例:高齢者向けカーシェア)
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自治体による移動支援策の拡充(タクシー券支給など)
政策的には、地方におけるモビリティ支援(低所得高齢者への維持費助成、代替交通手段の導入)が急務です。さもなければ、移動手段が奪われた高齢世帯の「生活崩壊」が起こる可能性も否めません。
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