無職世帯の自動車等維持費は平均1.483万円と交通支出の中心。小都市Bでは2万円超と高く、大都市では1万円と低水準。維持費は公共交通の有無に強く左右され、今後は地方と都市で支出の二極化が進行。政策的対応が急務。
自動車等維持の家計調査結果
自動車等維持の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
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名称 | 全国 | 小都市B | 中都市 | 小都市A | 大都市 |
最新値[万円] | 1.483 | 2.102 | 1.571 | 1.469 | 1.02 |
前年月同比[%] | +2.044 | +22.35 | +0.77 | -13.68 | +5.091 |
自動車等維持の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
---|---|---|---|---|---|
名称 | 全国 | 大都市 | 小都市A | 中都市 | 小都市B |
最新値[万円] | 1.483 | 1.02 | 1.469 | 1.571 | 2.102 |
前年月同比[%] | +2.044 | +5.091 | -13.68 | +0.77 | +22.35 |
これまでの自動車等維持の推移


詳細なデータとグラフ
自動車等維持の現状と今後
自動車等維持費とは、車両の維持に必要な支出(ガソリン、保険料、税金、車検・修理費など)を指します。無職世帯では、収入が主に年金など限られた中でこの固定的な負担は重く、維持費の高さが家計の大きな圧迫要因となりやすい支出項目です。
2025年3月時点での全国平均は1.483万円と、交通費全体の中でも大きな比重を占めています。これは車を「持ち続けるコスト」が、地方を中心に根強く残っていることを意味します。
都市別の支出差と背景要因
地域別に見ると、最も高いのは小都市B(2.102万円)で、全国平均を大きく上回ります。次いで中都市(1.571万円)、小都市A(1.469万円)、最も低いのは大都市(1.02万円)という構図です。
この差の背景には明確な構造的理由があります。
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小都市B:公共交通が脆弱なため、自動車依存が高く、世帯内で複数台保有しているケースも。+22.35%という高い増加率は、ガソリン価格の高止まりや車検・整備費の上昇を反映している可能性が高いです。
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大都市:地下鉄やバスが発達しており、車が不要な生活が可能。維持費は全国で最も低く、今後もこの傾向は続くと見られます。+5.091%と穏やかな上昇は、駐車場代や保険料の値上がりが背景にあると考えられます。
世代間の利用傾向と問題点
無職世帯の中心は高齢世帯であり、車の維持と利用には身体的・経済的リスクが伴います。特に地方では「車なしでは生活が成立しない」ため、経済的に厳しくても手放せないというジレンマが生じます。
一方で都市部の高齢世帯では、高齢者の免許返納が進んでおり、維持費支出そのものが低減傾向にあります。また、タクシーや福祉輸送サービスへのシフトも見られます。
今後の推移と課題
今後の維持費支出は以下のような二極化の傾向が続くと予想されます。
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都市部では維持費ゼロに近づく:公共交通や交通支援サービスの発展により、自家用車を持たない高齢世帯が増加。免許返納後も生活が成立する環境整備が進む。
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地方では維持費が重くのしかかる:自家用車の必要性が根強く、燃料価格や自賠責・保険料の上昇、車検負担の継続的増大が維持費を押し上げる。経済的に困難な高齢者にとっては今後ますます負担が深刻化。
政策的には、維持費補助や公共交通の拡充、EV導入支援、地域交通の再構築などが必要とされます。特に「地方の足」をどう守るかが、今後の社会保障政策と連動する重要課題になるでしょう。
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