無職世帯における洋服支出は、2025年3月時点で全国平均1469円と低水準で推移し、全地域で前年同期比マイナスとなっています。特に大都市や小都市Bでは30%以上の減少が見られ、支出抑制の傾向が顕著です。背景には高齢化、生活防衛意識の高まり、物価上昇などがあり、今後も省支出傾向が続くと予測されます。都市間格差は小さいものの、生活スタイルや地理的要因が影響していると考えられます。
洋服(無職)の家計調査結果
洋服(無職)の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
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名称 | 平均 | 小都市B | 小都市A | 大都市 | 全国 | 中都市 |
最新値[円] | 1469 | 1559 | 1479 | 1465 | 1459 | 1385 |
前年月同比[%] | -25.27 | -33.15 | -4.642 | -34.16 | -24.64 | -22.54 |
洋服(無職)の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
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名称 | 平均 | 中都市 | 全国 | 大都市 | 小都市A | 小都市B |
最新値[円] | 1469 | 1385 | 1459 | 1465 | 1479 | 1559 |
前年月同比[%] | -25.27 | -22.54 | -24.64 | -34.16 | -4.642 | -33.15 |
これまでの洋服(無職)の推移


詳細なデータとグラフ
洋服(無職)の洋服現状と今後
2025年3月時点の家計調査によると、無職世帯の1世帯あたりの洋服支出(洋服(無職))は全国平均で1469円と、非常に低い水準にあります。この金額は同調査対象の中で最低クラスの支出項目の1つとされ、しかも前年同期比では全国で-24.64%という大幅な減少が確認されました。
都市別に見ても、最も高かった小都市Bですら1559円で、以下は小都市A(1479円)、大都市(1465円)、全国平均(1459円)、中都市(1385円)と続き、都市間格差はわずか174円程度にとどまっています。
支出減少の背景にある社会経済的要因
高齢化とファッション需要の縮小
無職世帯の多くは高齢者世帯で占められており、特に年金生活者が中心です。この層では新しい衣服への需要が低く、「必要最低限の衣服があれば十分」という意識が強く見られます。加齢に伴う外出機会の減少、ライフスタイルの変化が支出縮小の要因となっています。
インフレと生活防衛
近年の物価上昇も影響しています。限られた可処分所得の中で、食費や医療費、光熱費の割合が上昇する1方、衣類のような「後回しにできる支出」は真っ先に削られる対象となりやすいのです。加えて、洋服そのものの価格も上昇しているため、単価が高まる1方で購入頻度が抑えられている可能性があります。
高機能衣類の普及と買い替えサイクルの長期化
ユニクロなどの普及により、高品質なベーシック衣類が安価で手に入るようになったことで、無職世帯でも「1度買えば数年持つ」という考えが1般化。結果として、年ごとの買い替え需要は減少傾向にあります。
都市間の特徴と解釈
今回のデータでは、支出額に大きな地域差は見られませんが、以下のような小さな傾向が読み取れます。
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小都市B(1559円)や小都市A(1479円)では、やや支出が高めに出ているが、これは地域の気候差や生活様式(外出頻度や地域の行事等)による可能性があります。
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大都市(1465円)でも前年同期比-34.16%と最も大きく減少しており、都市部でも高齢者の節約傾向が進んでいることが示唆されます。
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中都市は最も低く1385円で、物価の相対的な低さや購買手段の限界(大型店の少なさ)も影響していると考えられます。
都市別の差よりも、全体的な1斉減少が特徴であり、これは全国的な生活防衛志向の強まりを示しています。
世代間の違いと今後の動向
現時点では無職世帯の洋服支出は主に高齢者を中心に構成されていますが、団塊ジュニア世代などが無職層に移行していくことで今後は多少の変化が起こる可能性もあります。
この世代は比較的ファッションへの関心が高く、また、ネット通販などへのリテラシーも高いため、「安くて使いやすい衣服を定期的に購入する」行動が少しずつ増えるかもしれません。しかし、基本的な収入制限と高齢化による外出機会減少という構造的要因は変わらず、長期的には支出低迷が続くと見込まれます。
また、リユース衣料の利用や、地域の衣料品無料配布イベントなども拡大しており、支出がさらに抑えられる要因になっていくでしょう。
政策的な視点と今後の展望
行政や社会福祉機関にとって、無職高齢者の衣類購入支援は優先度が高くない項目ですが、生活の質という観点では軽視できない問題です。特に冬季の防寒着や下着の更新など、命に関わる衣類の確保は最低限必要な支援対象として再評価される必要があります。
1方で、市場としての期待は小さく、衣料品業界にとって無職世帯の支出は大きな成長領域ではありません。したがって、企業側はこの層をターゲットとするよりも、介護施設向け衣類サービスや、地域密着型の衣料支援活動との連携など、間接的な需要の創出に移行する必要があると考えられます。
まとめ
無職世帯における洋服支出は、今後も大きな回復は見込めず、支出の省力化と衣類リサイクルの1般化が進む未来が予測されます。衣料品の購買は生活の中で後回しにされやすい項目であるため、地域福祉や行政の側でも最低限の支援体制が求められる時代になってきています。都市別の差異はあるものの、全体的には「質素だが工夫された衣生活」が続くことになるでしょう。
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