無職世帯の教養娯楽支出の動向と課題:世代・都市差と今後の展望

教育・医療



家計調査に基づく無職世帯の教養娯楽支出は、2025年3月時点で月平均2.6万円と安定的な水準にあります。全国平均の増加率は前年比+1.865%にとどまり、勤労世帯と比べると伸び悩んでいます。都市間格差はほぼ見られず、支出額には世代間の趣味嗜好や社会参加の姿勢が反映されています。物価高やデジタル化の進展が今後の支出傾向に影響を及ぼすと予想されます。

教養娯楽(無職)の家計調査結果

教養娯楽(無職)の多い都市

2025年3月 1 2 3 4 5
名称 平均 小都市B 中都市 全国 大都市 小都市A
最新値[万円] 2.616 2.935 2.748 2.6 2.477 2.322
前年月同比[%] +4.28 +41.7 +7.853 +1.865 -11.74 -9.546

教養娯楽(無職)の少ない都市

2025年3月 1 2 3 4 5
名称 平均 小都市A 大都市 全国 中都市 小都市B
最新値[万円] 2.616 2.322 2.477 2.6 2.748 2.935
前年月同比[%] +4.28 -9.546 -11.74 +1.865 +7.853 +41.7

 

これまでの教養娯楽(無職)の推移

教養娯楽(無職)の推移
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

教養娯楽(無職)の教養娯楽現状と今後

教養娯楽支出とは、読書や観劇、旅行、趣味、テレビ・インターネット利用など、生活にゆとりや豊かさをもたらす分野への支出を指します。無職世帯、特に高齢者を中心とした世帯では、教養娯楽は社会的孤立の防止や心身の健康維持に重要な役割を果たしています。

過去から現在までの支出傾向

2018年以降の家計調査を見ると、無職世帯の教養娯楽支出はおおむね月額2.5~2.6万円で推移しており、大きな変動は見られません。特に2020年のコロナ禍では1時的に支出が減少しましたが、感染対策が進んだ2023年以降、徐々に回復し、2025年3月時点では2.6万円となり、前年比+1.865%の微増となりました。

この安定した推移の背景には、無職世帯が年金など1定の固定収入をベースにしており、大きな消費行動の変動が起きにくいことが挙げられます。

都市間の違いが見られない理由

勤労世帯では都市間で大きな格差が見られたのに対し、無職世帯では全国1律で2.6万円となっています。これは、無職世帯の消費が「住んでいる場所」よりも「年齢や生活スタイル」に依存する傾向が強いためです。

高齢者は全国的にテレビ・新聞・ラジオなど伝統的なメディアや、公民館・図書館・市民大学といった地域資源を活用しており、これらのサービスは多くの都市で無料または安価に提供されています。そのため、居住地による支出差が小さいのです。

世代間の特徴と趣味の変化

無職世帯は主に高齢者世代(60代以上)で構成されていますが、その中でも年代によって教養娯楽の選好には違いがあります。70代以上は新聞購読やカラオケ、旅行といった「昭和的娯楽」に親しんでおり、60代前半はスマートフォンやYouTube、デジタル読書といった「移行世代」としての姿が見られます。

今後、団塊ジュニア世代(1970年代生まれ)が無職世帯に加わることで、娯楽のデジタル化が1層進み、支出項目の中身が大きく変化することが予想されます。

課題と今後の見通し

無職世帯における教養娯楽支出の課題としては、以下の3点が挙げられます。

  1. 物価上昇の影響:公共料金や交通費の値上げが、外出系娯楽(映画館、旅行、観劇など)の抑制要因になります。

  2. デジタル格差の拡大:高齢者の中にはスマートフォンやインターネットに不慣れな人も多く、デジタル娯楽へのアクセスに格差が出ています。

  3. 社会的孤立のリスク:支出を抑える生活が続くと、地域活動や交流の機会が減り、孤独のリスクが高まります。

将来的な展望

団塊世代以降の高齢者は比較的消費意欲が高く、文化や趣味への関心も強いため、インフレ率が大きくなければ支出は横ばいまたは微増傾向が続くと見られます。今後はデジタルコンテンツへの支出が増える1方で、従来型の娯楽消費は減少する可能性があります。

また、自治体による高齢者向けの文化講座やサブスクリプション補助などの支援策が支出構造に影響を与える可能性もあるため、政策動向にも注目が必要です。

まとめ

無職世帯の教養娯楽支出は全国平均で2.6万円と穏やかに推移しており、都市間格差はほぼ見られません。これは固定収入を持つ高齢者層の特性と、全国的に均等な公共資源の利用状況によるものです。将来的にはデジタル化と物価動向、そして自治体施策が支出構造に大きく影響してくると考えられます。

 

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