無職世帯の交通・通信費は平均2.919万円で、都市による差が大きく、小都市Bでは前年比+30.23%の急増が見られます。通信依存の拡大と地方の交通環境の変化が背景にあり、高齢世帯の支出構造にも影響。今後は、地域間格差と高齢者支援が重要課題です。
交通・通信の家計調査結果
交通・通信の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
---|---|---|---|---|---|
名称 | 全国 | 小都市B | 中都市 | 大都市 | 小都市A |
最新値[万円] | 2.919 | 3.463 | 2.96 | 2.766 | 2.671 |
前年月同比[%] | -8.119 | +30.23 | -20.95 | +1.479 | -18.41 |
交通・通信の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
---|---|---|---|---|---|
名称 | 全国 | 小都市A | 大都市 | 中都市 | 小都市B |
最新値[万円] | 2.919 | 2.671 | 2.766 | 2.96 | 3.463 |
前年月同比[%] | -8.119 | -18.41 | +1.479 | -20.95 | +30.23 |
これまでの交通・通信の推移


詳細なデータとグラフ
交通・通信の現状と今後
2018年から2025年3月までのデータを見ると、無職世帯の交通・通信費は全国平均で月額29,190円に達しており、一定の生活コストを占めています。無職世帯においては就労に伴う移動は少ないものの、買い物、通院、家族訪問、余暇活動など日常的な移動や連絡手段として、交通・通信の支出は生活の質に直結する重要な支出項目です。
特に通信費はコロナ禍を経て必要性が高まり、スマートフォンやインターネット環境の整備が高齢層にも浸透してきたことが支出に影響を与えています。
都市別の支出の特徴と背景要因
都市別に見た場合、最も高いのは小都市Bの34,630円で、前年同期比+30.23%と顕著な増加を示しています。これは地方部での公共交通縮小やマイカー依存の強化、ガソリン価格の上昇などが複合的に影響していると考えられます。
対照的に中都市(29,600円)と小都市A(26,710円)では大幅な減少が見られ、前年同期比でそれぞれ-20.95%、-18.41%となっています。これは移動機会の減少、移動手段の見直し、通信費の節約傾向などが影響している可能性があります。
大都市(27,660円)は+1.479%と微増しており、安定した交通インフラと通信環境が整備されているため、大きな変動が起きにくい特徴があります。
世代間の支出特性と課題
無職世帯の多くは高齢者世帯を含みますが、その中でも世代によって支出傾向は異なります。75歳以上の高齢層は通院・買い物・生活支援サービスへの依存度が高く、移動手段としてのタクシーやバス利用が多い一方、交通費抑制のために移動を減らす傾向も見られます。
また、60~70代ではスマートフォンや通信サービスの利用が広がりつつあり、通信費が家計に占める割合が上昇しています。特に地方では行政サービスや病院予約がオンライン化されるなど、通信環境が生活に不可欠なインフラとして機能している状況が進んでいます。
今後の推移予測と政策的課題
今後、無職世帯の交通費については二極化が進むと予測されます。都市部では交通インフラの整備が支出の安定をもたらす一方、地方部ではマイカーや燃料費の高止まり、公共交通縮小による移動コストの増大が継続する見込みです。
通信費については、スマートフォン依存の深化とともに一定の水準を維持、あるいは上昇が続く可能性があります。高齢世帯のICTリテラシー向上が期待される一方で、サポート体制や適正な契約への誘導が今後の課題となるでしょう。
政策面では、交通弱者向けの移動支援や、高齢者向けの通信利用サポート、通信費補助制度の強化などが求められています。
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