無職世帯における「他の光熱費」(灯油・薪・石炭・その他燃料等)の支出は、2025年3月時点の全国平均で月額3,587円。特に寒冷地や都市ガスが未整備の地域では灯油暖房の使用が一般的で、他の光熱費の比重が高くなります。高齢者世帯では古い暖房器具を使用し続ける傾向があり、省エネ化が進みにくい状況です。今後は再エネ促進や燃料価格の変動により、支出の地域格差が拡大し、政策対応の必要性が高まると予測されます。
他の光熱の家計調査結果
他の光熱の多い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
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名称 | 全国 | 小都市B | 小都市A | 中都市 | 大都市 |
最新値[円] | 3587 | 7584 | 3776 | 2963 | 1716 |
前年月同比[%] | -0.912 | +25.5 | -13.39 | -10.54 | -13.98 |
他の光熱の少ない都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
---|---|---|---|---|---|
名称 | 全国 | 大都市 | 中都市 | 小都市A | 小都市B |
最新値[円] | 3587 | 1716 | 2963 | 3776 | 7584 |
前年月同比[%] | -0.912 | -13.98 | -10.54 | -13.39 | +25.5 |
これまでの他の光熱の推移


詳細なデータとグラフ
他の光熱の現状と今後
「他の光熱費」とは、電気・ガス・水道以外のエネルギー支出を指し、主に灯油、薪、石炭、ペレット、炭などが該当します。これらは都市部では少数派ですが、地方・寒冷地・山間部では主要な暖房手段として今なお現役であり、無職世帯の支出において無視できない存在です。
2018年以降の動向 ― 燃料価格と気候が与えた影響
2018年から2025年にかけて、他の光熱費は以下の要因で変動しています:
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冬季の寒波や夏の冷夏といった気候変動
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原油価格の国際的高騰による灯油価格の上昇
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新型コロナ禍による在宅時間の増加で暖房需要が拡大
これにより、特に灯油暖房に依存する地域で支出が増加傾向にあります。
都市間の格差 ― 灯油と薪に見る地域特性
支出が高い都市は、北海道・東北・信越地方に集中します。これら地域では以下のような傾向があります:
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冬の寒さが厳しく、灯油ファンヒーターや薪ストーブが主要な暖房手段
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都市ガス網が不十分で、代替手段が限られる
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住宅の断熱性能が十分でないケースが多い
反対に、支出が少ない都市は、関東・関西の都市圏や温暖な西日本に多く見られ、暖房の中心は電気エアコンで済むため、他の光熱の必要性が低くなります。
世代間・生活様式の違い
無職世帯の多くは高齢者世帯であり、以下のような特徴があります:
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灯油タンクの給油作業に慣れており、既存機器を使い続けている
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古い住宅に住んでおり、省エネ化や断熱改修が進んでいない
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冬場は長時間在宅で暖房時間が長く、消費量が多くなる
若年世代や共働き世帯では灯油や薪の利用は減っており、エコキュートやエアコン主体の生活に移行しています。
今後の推移と政策課題
今後の「他の光熱費」の推移には、以下の要因が影響します:
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灯油価格の変動:国際情勢や為替相場に左右されやすい
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再生可能エネルギー政策の浸透:薪やペレットへの再評価の動き
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断熱改修・省エネ機器への支援制度の強化
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高齢者世帯向けの燃料購入支援(例:灯油補助券制度)
これらにより、支出は今後さらに地域・所得・年齢で差が開き、行政のきめ細かな支援が不可欠となるでしょう。
まとめ ― 生活を支える「見えにくいエネルギー」に注目を
「他の光熱費」は、都市部では可視化されにくい支出ですが、地方や高齢世帯にとっては冬の命を守るインフラでもあります。今後は再生可能エネルギーとの両立や、高齢者の生活安全対策として、この支出を政策的に位置付ける必要があります。脱炭素化と生活保障をどう両立するか――それが大きな社会課題になるといえるでしょう。
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