2023年の温室メロン作付け面積は全国で0.583kha、前年比-2.181%。静岡・愛知が主力産地だが減少傾向。一方、茨城が+4.464%と成長を示す。今後はスマート農業、直販・輸出強化が成長の鍵となる。
温室メロンの栽培ランキング
都道府県 | 最新値[kha] | 全国比[%] | 前年比[%] | |
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全国 | 0.583 | 100 | -2.181 | |
1 | 静岡 | 0.208 | 35.68 | -5.455 |
2 | 愛知 | 0.122 | 20.93 | -1.613 |
3 | 茨城 | 0.117 | 20.07 | +4.464 |
4 | 千葉 | 0.019 | 3.259 | -5 |
5 | 福井 | 0.016 | 2.744 | |
6 | 石川 | 0.006 | 1.029 | -14.29 |
7 | 鳥取 | 0.004 | 0.686 | |
8 | 岡山 | 0.003 | 0.515 | +50 |


詳細なデータとグラフ
温室メロンの現状と今後
2023年現在、全国の温室メロンの作付け面積は0.583千haで、前年から-2.181%の減少となりました。温室メロンは露地メロンに比べて気候の影響を受けにくく、計画的に高品質な果実を供給できる点で優れていますが、その反面、設備投資・管理コストが高く、熟練技術も必要であるため、3入障壁が高くなっています。
全国的には生産地の集中・高齢化・販路確保の課題に直面しており、生産量の緩やかな縮小が続いています。
静岡県 ― 伝統と技術の集約地
静岡県は0.208khaと全国トップの作付け面積を誇っていますが、前年比-5.455%と大きな減少が見られました。静岡は長年にわたり高級温室メロンの名産地であり、温室栽培技術やブランド形成(例:クラウンメロン)で全国をリードしてきました。
しかし、高度な栽培管理を必要とするため、後継者不足やコスト高騰が大きな課題となっており、今後は栽培の省力化やスマート農業の導入が持続可能性のカギを握ります。
愛知県 ― 温暖な気候を活かした安定供給
愛知県は0.122khaの作付けで全国2位、前年比は-1.613%と比較的緩やかな減少にとどまっています。愛知では温暖な気候を活かした施設栽培が発展しており、計画出荷による高単価販売や産直販路の強化が進んでいます。
ただし、規模拡大が難しい地域も多く、今後は栽培密度の最適化や小規模高収益化が求められるでしょう。
茨城県 ― 成長傾向が見られる注目産地
茨城県は0.117khaと愛知に迫る面積で、前年比では+4.464%と唯1の明確な増加傾向を示しています。これは、茨城が関東圏に近く流通の優位性があること、また比較的新規3入が活発な農業県であることが背景にあります。
今後も若手生産者や農業法人の3入により、温室メロンの産地としてのプレゼンスを強める可能性があります。
千葉県 ― 小規模ながら首都圏供給地として機能
千葉県の作付け面積は0.019khaと小規模ながら、首都圏への供給基地として安定した需要を持っています。ただし前年比では-5%と減少しており、規模の小ささが収益性に影響していると考えられます。
今後は観光農園との連携や都市型農業との融合によって、存在感を維持することが期待されます。
福井・石川・鳥取・岡山 ― 特殊性を活かした小規模展開
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福井県(0.016kha)と石川県(0.006kha、前年比-14.29%)では、温室栽培の歴史は浅く、試験的・地場販売向けの生産が多いと考えられます。石川の急減は、栽培者のリタイアなど局地的要因とみられます。
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鳥取県(0.004kha)では面積は非常に小さいものの、高品質なメロンの試験栽培やブランド化の試みがなされている可能性があります。
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岡山県(0.003kha、前年比+50%)は、非常に小規模ながら前年比で大幅な増加を見せました。母数が小さいため誤差の範囲ではあるものの、新規3入やブランド構築への取り組みが反映されている可能性があります。
これらの県では、地元特産品としての高付加価値販売やふるさと納税向け商品開発が持続的な方向性となるでしょう。
温室メロンの将来予測と方向性
全体として温室メロンの作付け面積は減少傾向にあり、高コスト構造と労働集約型モデルが今後の持続可能性に疑問を投げかけています。
しかしながら、以下の3つの戦略により将来的な再成長も見込まれます:
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スマート農業導入:AI制御環境、温湿度管理自動化、画像診断技術による省力化。
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観光・直販との連携:贈答・体験型農業を活用した高単価販売ルートの確保。
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輸出・海外展開:東南アジアや中東などの富裕層市場への高品質果実の輸出強化。
特に、茨城や愛知のように物流・立地の優位性を持つ地域は、次世代型施設園芸との相性も良く、技術移転や法人化が進めば温室メロンの未来は依然明るいと考えられます。
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