2025年6月時点で、北海道・東北のにんじん市場価格は全国平均を上回るも、前年同月比で下落。札幌市は卸売数量が増加、仙台市は減少と地域で対照的な動き。気候や流通構造、生産体制が変動の要因であり、今後は安定供給と価格適正化が課題。
にんじんの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 札幌市 | 192 | -17.12 |
2 | 仙台市 | 182.3 | -19.32 |
市場価格の推移

北海道・東北の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
1 | 札幌市 | 0.592 | +2.957 |
2 | 仙台市 | 0.465 | -8.824 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
にんじんの卸売り市場の現状と今後
2025年6月時点で、札幌市のにんじん市場価格は192円/kg、仙台市では182.3円/kgとなっており、全国平均(171円/kg)よりも高水準を維持しています。これは北海道・東北地域における流通コストや地理的な特性、地域の流通需要の違いが背景にあると考えられます。
ただし、両都市ともに前年同月比で価格は大きく下落しており、札幌市は-17.12%、仙台市は-19.32%と、2割前後の下落幅です。これは全体的な需給バランスの変化、特に全国的な生産回復による供給過多が影響していると推測されます。
卸売数量の推移と地域別の差異
卸売数量では、札幌市が0.592kt、仙台市が0.465ktと、札幌市がやや多い取扱量となっています。2025年6月の数量は、前年同月比で札幌市は+2.957%増加、仙台市は-8.824%減少しており、地域によって動きが異なっています。
この差には以下のような要因が影響していると考えられます:
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札幌市:北海道内でのにんじん産地との距離が近く、地場産中心の安定供給体制が整っているため、数量が増加。
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仙台市:天候不順や出荷の集中回避による生産・流通制限の影響で、数量が減少。
北海道・東北におけるにんじん流通の特徴
北海道は、日本でも有数のにんじん生産地を抱えており、特に夏季における供給が全国市場を支える役割を果たしています。札幌市市場はその集積地として、安定した価格と数量を記録しやすい傾向にあります。輸送距離が短く、生産地からの供給も迅速なため、比較的高品質で鮮度の良いにんじんが流通しているのも特徴です。
1方、東北地方(仙台市など)では、地元消費に加えて首都圏向けの出荷も多く、出荷タイミングや品質調整に神経を使うため、市場数量や価格に変動が生じやすい構造を持っています。
価格変動の要因と今後の課題
今回の価格下落の要因には、以下のような全国的・地域的背景が絡んでいます:
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全国的な生産量の回復による供給過多
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需要の伸び悩み:家庭内消費の減退や外食需要の変化
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流通過程でのコスト増加により卸売業者が利益調整を強いられた可能性
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価格競争の激化:他地域からの安価なにんじん流入
特に北海道・東北では、気候変動の影響を受けやすく、猛暑や台風、降雪の遅れなどが生育状況や収穫時期に影響を及ぼし、結果として価格や出荷量のバラつきが出やすくなっています。
生産構造と今後の展望
北海道では、にんじんは大規模な機械化栽培が進んでおり、効率的な大量生産が可能ですが、高齢化や人手不足、輸送コストの上昇といった構造的課題も存在します。今後は、輸送の効率化や加工品としての活用拡大が重要視されるでしょう。
東北では、比較的中小規模の生産者が多く、地域ブランドの確立や多様な販売ルートの開拓が求められています。産直市場や学校給食など地域密着型の需要先の拡大も今後の鍵となります。
まとめと提言
北海道・東北のにんじん市場は、全国平均を上回る価格水準を維持する1方で、地域ごとの事情によって価格や数量の変動が見られます。札幌市では地場生産を背景に数量が増加し、仙台市では減少するなど、地域間で異なる動向が顕著です。
将来に向けては、地域に応じた生産・流通戦略の最適化や安定供給の確保が必要です。とくに、産地間競争の中で価格の適正化と品質維持を両立させるための取り組みが重要といえるでしょう。
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