2025年4月時点で洗濯機の全国平均価格は9.239万円。地方都市では高機能モデルの需要増などで福島・福岡などが高価格化。一方、都市圏では激しい価格競争で川崎などが低価格。価格変動には物流や店舗競争、消費傾向の地域差が影響しており、今後も高機能化に伴い上昇傾向が続く可能性がある。
電気製品の都市別小売価格
洗濯機価格の高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 福島 | 前橋 | 福岡 | 今治 | 山口 | 長崎 | 高知 | 山形 | 福井 | 松江 |
最新値[万円] | 9.239 | 10.57 | 10.48 | 10.45 | 10.23 | 10.22 | 10.06 | 10.04 | 9.932 | 9.85 | 9.85 |
平均比[%] | 100 | 114.4 | 113.5 | 113.1 | 110.7 | 110.6 | 108.9 | 108.7 | 107.5 | 106.6 | 106.6 |
前年月同比[%] | +0.471 | +18.63 | +4.546 | +10.73 | +7.079 | +12.55 | +2.918 | +0.551 | -3.053 | +8.288 | +8.083 |
洗濯機価格の低い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 川崎 | 府中 | 所沢 | 藤沢 | 岡山 | 浦安 | 函館 | 名古屋 | 水戸 | 八王子 |
最新値[万円] | 9.239 | 7.787 | 7.979 | 8.045 | 8.157 | 8.307 | 8.402 | 8.519 | 8.538 | 8.594 | 8.651 |
平均比[%] | 100 | 84.28 | 86.36 | 87.07 | 88.29 | 89.91 | 90.94 | 92.21 | 92.41 | 93.01 | 93.64 |
前年月同比[%] | +0.471 | -21.54 | -9.106 | -2.212 | -2.044 | -0.715 | -5.989 | -8.628 | +1.813 | -1.794 |
これまでの電気製品の推移


詳細なデータとグラフ
洗濯機の現状と今後
2010年以降、日本の洗濯機市場は「低価格帯モデルの普及」と「高付加価値型のプレミアムモデルの登場」という2極化が進んだ。2025年4月現在の全国平均価格は9.239万円。これは過去の水準と比較してやや高い状態であり、全体としては価格上昇傾向が見られる。
その背景には以下のような複合要因がある:
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高機能モデル(乾燥・節水・スマート家電)の拡大
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半導体・モーターなど部材コストの増加
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配送・設置コストの転嫁
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製造拠点の海外移転による物流変動の影響
結果として、単純な洗濯機能だけでなく、除菌・乾燥・アプリ連携など付加価値を求める需要が増え、平均価格を押し上げている。
都市別・高価格地域の特徴と背景
2025年4月時点で洗濯機価格が最も高い地域は福島(10.57万円)で、次いで前橋(10.48万円)、福岡(10.45万円)と続く。その他にも今治、山口、長崎、高知、山形など、地方・中都市での高価格が目立つ。
これら地域で価格が高い要因として考えられるのは:
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家電量販店の競争が少なく、価格が下がりにくい
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配送距離や設置環境の制約によるコスト上乗せ
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地方で人気のある高機能モデルへの集中傾向
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高齢者層による買い替え時に「1度で良い物を」という消費志向
特に福島では前年同期比+18.63%と急激な価格上昇が見られ、地域需要の変化や販売戦略の転換が疑われる。
低価格地域の実態と構造的要因
1方で、洗濯機価格が最も安いのは川崎(7.787万円)で、続いて府中(7.979万円)、所沢(8.045万円)、藤沢、岡山と続く。これらの多くは都市近郊や首都圏のベッドタウンである。
価格が安く抑えられている要因は:
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大手家電量販店同士の激しい価格競争
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ネット購入からの店舗受け取り利用が多く、配送料が発生しにくい
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単身者・共働き世帯によるコンパクト機種の需要の高さ
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在庫の回転が早く、値下げ施策が頻繁に行われる
ただし、川崎では前年比-21.54%と大きな下落が見られており、在庫処分セールやモデルチェンジ期といった1時的要因も影響している可能性がある。
洗濯機価格上昇の要因分析(2024〜2025年)
全体としては、2024年〜2025年にかけて多くの地域で価格上昇が見られた。特に注目すべき上昇率を示したのは:
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福島(+18.63%)
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山口(+12.55%)
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福岡(+10.73%)
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福井(+8.288%)
上昇の主な要因は以下の通り:
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円安による輸入コストの上昇
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原材料費の高騰(銅・アルミなど)
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高機能モデルの売上構成比率の増加
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店頭での割引余地の縮小(特に地方店)
また、家庭の電気代や水道代を抑える目的で、省エネ・節水モデルが選ばれるようになった結果、初期価格が高めのモデルが選ばれる傾向が強くなったともいえる。
地域ごとの需要傾向と消費スタイルの違い
都市別に見ると、価格帯の違いは消費スタイルの差も反映している。
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都市圏(川崎・府中など)では「価格重視・実用性重視」層が多く、ネット購入+自分で設置という選択肢も広がっている。
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地方都市(福島・山口など)では、「長く使える良いものを1括で買う」傾向があり、地元店舗での購入・設置を重視するため価格が高くなりやすい。
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高齢化地域(今治・長崎など)では「乾燥機能付き」「大容量モデル」など、利便性を重視するニーズが強く、結果的に高価格商品が選ばれる傾向がある。
今後の展望と生活者への影響
今後、洗濯機の価格は中長期的にさらに上昇する可能性がある。要因としては:
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地球環境対策による再生素材使用によるコスト増
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IoT対応・AI搭載などスマート家電化による価格上昇
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小売業界での設置・配送人員不足によるサービス料増加
1方で、低価格帯のベーシックモデル需要も依然として存在しており、「安くて良い製品」の需要がネット販売を中心に維持される見通しもある。
消費者は価格と機能のバランスを見極め、ライフスタイルに合ったモデル選びがますます重要になるだろう。
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