2002年から2025年にかけてのデータをもとに、洗濯機に対する年齢別月間支出の変遷を分析すると、60〜69歳の支出が近年急増しており、若中年層より高い傾向が見られる。これは買い替え需要の再燃や生活様式の変化、高性能機種への志向などが背景にあると考えられる。今後は高齢化と単身世帯の増加により、高齢層の支出がさらに伸びる可能性がある。
年齢別の洗濯機
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 60~64歳 | 40~44歳 | 40~49歳 | 45~49歳 | 60~69歳 | 55~64歳 | 35~44歳 | 45~54歳 | 65~69歳 | 50~54歳 |
最新値[円] | 828.9 | 1568 | 1568 | 1442 | 1346 | 1255 | 1242 | 1139 | 1133 | 979 | 961 |
前年月同比[%] | -17.45 | +39.38 | +44.12 | +23.67 | +10.06 | +52.31 | +3.673 | -3.882 | -2.074 | +77.03 | -12.87 |
これまでの年齢別の推移


詳細なデータとグラフ
年齢別の現状と今後
2025年3月時点での最新の年齢別洗濯機支出の平均は828.9円。これを大きく上回る世代としては、60〜64歳と40〜44歳がそれぞれ1568円とトップに並び、40代〜60代前半の層が比較的高い支出を示しています。中でも、60〜69歳が1255円、55〜64歳が1242円と、リタイアを迎える年代が高額傾向にある点は注目されます。
一方、35〜44歳、50〜54歳などでは1,000円を下回る支出が見られ、必ずしも働き盛り世代が最も支出しているとは言えません。
過去からの動向と買い替えタイミング
2002年以降のデータにおいて、洗濯機は一度購入すれば10年以上使う家電であり、支出の変動は「買い替えの集中時期」と密接に関連しています。特に団塊世代やバブル期に新築や結婚した世代が、2020年代に入り再度の買い替えを迎えていることから、60〜69歳層の支出が顕著に増えていると見られます。
また、家電の高機能化や価格の上昇により、1台あたりの支出が年々増加しており、「一括支出」が家計に大きく影響する年齢層の波として現れているとも言えるでしょう。
増加率に見る異変と回復傾向
前年同期比を見ると、特に65〜69歳で+77.03%、60〜69歳で+52.31%、40〜44歳で+44.12%と、支出が大幅に増加しています。
これは単なる物価上昇というよりも、「洗濯機にお金をかける世代が増えている」現象です。高齢層では、以下のような背景が考えられます:
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ドラム式や乾燥機付きモデルの需要:体力的負担を減らす目的。
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配偶者の介護・同居家族の世話により、洗濯頻度が上がる。
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地方在住者の宅配洗濯サービス回避による家電購入。
一方、50〜54歳(-12.87%)や35〜44歳(-3.88%)の層で支出が減少しているのは、子育てや住宅ローンなど他の支出の優先度が高くなっているからと見られます。
世代別の特徴とライフスタイルの関係
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60代:買い替え周期が到来し、清潔意識・介護ニーズも高まっている。
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40代:共働き家庭の時間効率化意識から高性能機種への投資が進んでいる。
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50代:子育て終了で支出が一時的に収縮、必要最低限の家電にとどめる傾向。
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30代後半〜40代前半:中古住宅購入や転居に伴い新規家電を購入するケースも見られるが、慎重な支出傾向。
今後の推移と予測
高齢者層の世帯数が今後さらに増えることが予測される中で、洗濯機に対する支出の主役も高齢層へと移行していく可能性が高いと見られます。また、今後の傾向として以下が予測されます:
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高齢単身世帯の増加→ コンパクトかつ高機能な洗濯機の需要増。
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サブスクリプション型家電サービスの台頭 → 高額支出の平準化。
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環境志向・節水機能への関心 → 最新モデルへの買い替えが支出増に直結。
一方、若年層の支出は引き続き抑制される傾向にあり、全体平均は今後も「高齢層が引き上げる構造」が続くと考えられます。
まとめ洗濯機の支出は、単なる年齢別の所得差以上に、ライフステージ・健康・家族構成・住宅状況が影響を与えています。今後は特に60代以降の購買行動が市場を左右するカギとなるでしょう。
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