民営・持ち家別に見る挙式費用の実態と今後の支出動向分析

挙式・披露宴費用



住宅形態別に見ると、民営住宅に住む若年・都市型世帯では挙式・披露宴費用が高く、平均2244円と顕著に多い。一方で、持ち家世帯では319円にとどまり、住宅ローンを抱える世帯ではさらに支出が減少。背景にはライフステージや価値観の違い、経済的な制約がある。今後は都市型世帯の支出が増える一方、持ち家層では簡素化の流れが続くと予測される。

住宅別の挙式・披露宴費用

1世帯当りの月間支出

2025年3月 1 2 3
名称 平均 民営 持ち家 持ち家のうち住宅ローン有り
最新値[円] 816.3 2244 319 248
前年月同比[%] +50.54 +53.28 +78.21 -6.061

 

これまでの住宅別の推移

挙式・披露宴費用
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

住宅別の現状と今後

近年の物価上昇は、日常生活のみならず冠婚葬祭といった「特別支出」にも影響を及ぼしています。中でも挙式・披露宴は、その実施有無や規模によって世帯の負担に大きな差が生じやすい支出項目です。総務省の家計調査(2002年1月〜2025年3月)による住宅形態別の月間支出データをもとに、各住宅別の特徴と背景を探ります。


最新の支出状況 ― 民営住宅が突出して高い理由

直近の住宅別月間平均支出は816.3円。最も高かったのは「民営住宅」で、1世帯あたり2244円と全体平均の約2.75倍にも達しています。これは、民営住宅に居住する世帯の多くが若年単身者や若年夫婦で構成され、結婚適齢期にある人々が多く含まれるためと考えられます。

また、民営住宅は都市部の賃貸物件が多く、就業者率が高いため、可処分所得の一部を結婚式に充てる傾向が強くなります。前年同期比で見ても+53.28%と堅調な伸びを示しており、コロナ禍後の結婚式再開の動きと、費用をかけた演出を求める傾向が裏付けられます。


「持ち家」世帯の支出傾向 ― 安定した支出と生活優先のバランス

一方、「持ち家」世帯の月間支出は319円と民営に比べて抑えられていますが、前年同期比で+78.21%と民営を上回る伸び率を示しています。これは、住宅ローンを完済したシニア層や、既に家計が安定している中年層が子の結婚などで支出を行った可能性があります。

特に注目すべきは、「持ち家のうち住宅ローン有り」の世帯です。月間支出は248円で、前年同期比は-6.061%唯一の減少を示しました。これは、住宅ローン返済が家計を圧迫し、結婚式など任意性の高い出費を後回しにせざるを得ない状況があるとみられます。


住宅形態による価値観と優先順位の違い

住宅形態は、そのままライフステージや価値観の違いを映し出します。民営住宅に住む若年層では「結婚式=自分たちのためのイベント」として投資対象とする傾向がある一方、持ち家の世帯では「生活基盤の安定」を優先する姿勢が強くなります。

住宅ローンを抱える世帯では、「人生のコスト配分」を慎重に設計するため、挙式費用に多くを割くことは困難です。そのため、フォトウェディングや家族婚など低価格帯の選択肢が主流となっています。


今後の展望 ― 都市型民営層の消費活発化と持ち家層の慎重化

今後も民営住宅に住む若年・都市型世帯では支出の増加傾向が続くと見込まれます。特にSNS映えやオリジナリティを求める傾向は、演出や会場装飾への支出増を促すでしょう。

一方、持ち家世帯は今後も堅実志向と節約志向が続くと予測されます。住宅ローンの金利上昇なども背景に、今後さらに「挙式を挙げない選択」や「縮小婚」が主流化していく可能性が高いです。また、子世代の結婚費用を支援するケースはあっても、全額を賄うことは難しくなりつつあります。

 

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