2025年4月時点の殺虫剤450mLの平均価格は664円で、地域差は最大約28%に達する。価格の上昇には薬剤の安全性強化や流通コストが影響し、下降には在庫処分やPB商品の拡大が関係。今後はプレミアム志向と安全志向が価格を押し上げるが、PB商品により価格帯の多様化も進む見通し。
小売物価統計
殺虫剤小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 姫路 | 長崎 | 西宮 | 浦安 | 柏 | 山口 | 徳島 | 大津 | 那覇 | 東京都区部 |
最新値[円] | 664 | 768 | 767 | 767 | 767 | 767 | 767 | 751 | 740 | 718 | 713 |
前年同月比[%] | -0.16 | +3.649 | +27.41 | +16.74 | +8.029 | +1.135 |
殺虫剤小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 熊谷 | 佐賀 | 八戸 | 佐世保 | 郡山 | 松阪 | 松江 | 大分 | 前橋 | 北九州 |
最新値[円] | 664 | 599 | 601 | 601 | 602 | 602 | 603 | 623 | 625 | 628 | 628 |
前年同月比[%] | -0.16 | -8.828 | -12.39 | -8.524 | -8.371 | -8.359 | -2.96 | -4.122 |
殺虫剤の推移


詳細なデータとグラフ
殺虫剤の現状と今後
2025年4月時点での殺虫剤(1本450mL)の全国平均価格は664円であり、長期的に見ると価格は比較的安定しています。ただし、地域ごとのばらつきが大きく、最も高いのは姫路の768円で、最も安いのは熊谷の599円。その差は169円(約28%)にも及び、消費者の実感として価格差を強く感じる状況といえます。
特に高価格地域としては、姫路・長崎・西宮・浦安・柏・山口・徳島などが挙げられ、都市部とその近郊に集中しています。1方、低価格地域は熊谷・佐賀・8戸・佐世保・郡山などで、地方や人口密度の低いエリアが中心です。
殺虫剤価格に影響を与える要素
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原材料と薬剤規制 殺虫剤の主成分にはピレスロイド系や有機リン系などの化学物質が含まれており、これらの原材料価格や輸入コストが価格に影響します。また、近年は環境や健康への配慮から使用できる成分に規制が強まり、処方変更や製品改良が必要になった結果、製造コストが上昇しています。
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流通と販売戦略の違い 高価格地域に共通するのは都市部または都市近郊で人口が多く、商品バリエーションが豊富なことです。プレミアムタイプの殺虫剤が多く流通しているため、平均価格が押し上げられていると考えられます。対して、低価格地域では限定的な品揃えの中で、シンプルな効能の製品が中心となっており、価格も抑えられています。
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季節性と在庫戦略 殺虫剤は夏季需要に偏る典型的な季節商品であり、売れ残りを避けるため、需要期直後に値下げが行われる傾向があります。特に地方では前年の在庫を処分価格で販売するケースも多く、これが平均価格の下落に影響しています。
価格上昇・下落の背景分析
今回のデータでは、前年同月比で全国平均はわずかに-0.16%と微減ですが、地域によって変動幅が大きく異なります。
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大幅な上昇:西宮(+27.41%)、山口(+16.74%)など 新製品の導入や、プレミアム商品のシェア拡大、物流コスト増加が要因と見られます。
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大幅な下落:佐賀(-12.39%)、熊谷(-8.828%)など 在庫処分や価格競争激化による販売価格の引き下げが主因。地域内でのディスカウントドラッグストアの台頭も要因として挙げられます。
このように、殺虫剤の価格は需給状況と販売戦略に強く左右されやすい傾向にあります。
殺虫剤市場が直面する課題
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消費者ニーズの変化 「香り付き」「人体に優しい」「環境に配慮した天然成分配合」といった付加価値型商品が人気を集める1方で、それに比例して価格も上昇。高齢者や低所得層にとっては手の届きにくい価格帯となる可能性も懸念されます。
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規制強化と安全性問題 殺虫剤の使用に関しては小児やペットの健康への懸念があり、使用上の制約が強まる中で、メーカーにはより安全な新処方への転換が求められる時代となっています。これは研究開発費を圧迫し、価格上昇要因になります。
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季節依存リスクと在庫管理 通年使用される制汗剤と異なり、殺虫剤は明確な使用シーズンがあり、冬場の需要は激減します。このため、製造や流通は1時期に集中し、売れ残りリスクと価格変動リスクが常につきまといます。
今後の価格動向と展望
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平均価格は緩やかに横ばい~上昇傾向へ 原材料コストの上昇、円安、環境対応のための処方転換を考慮すると、殺虫剤の価格は中長期的にゆるやかに上昇する見通しです。ただし、劇的な値上がりは想定されていません。
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PB商品の強化で下支えも ディスカウントストアやドラッグチェーンによるプライベートブランド(PB)殺虫剤の拡充により、価格抑制圧力も強く働くでしょう。特に地方においては、この価格帯の商品が主流となり、地域間価格差の縮小にもつながる可能性があります。
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新形態商品の登場と価格の多様化 ミストタイプやコンパクトエアゾールなど、使用方法や利便性に配慮した多様な新商品が今後登場することが予想され、それにより価格帯も2極化が進む可能性があります。
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デジタル販路の強化で地域差は縮小へ ECの発達により、都市と地方での価格格差は縮小する傾向がありますが、送料込み価格などを考慮すると、完全な価格平準化にはなお時間がかかるでしょう。
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