柔軟仕上剤1Lの全国平均価格は703.3円で、地域間には最大で59%もの価格差が存在する。原材料コストや機能性商品の増加により価格は上昇傾向だが、詰め替え需要やPB製品による価格抑制も進行中。今後はプレミアム化と環境対応のバランスが重要となり、価格は緩やかに上昇すると予想される。
小売物価統計
柔軟仕上剤小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 大分 | 松江 | 徳島 | 岐阜 | 松山 | 山口 | 那覇 | 千葉 | 高松 | 神戸 |
最新値[円] | 703.3 | 913 | 889 | 873 | 844 | 833 | 799 | 776 | 767 | 756 | 744 |
前年同月比[%] | +4.196 | +6.659 | +16.25 | +4.845 | +9.461 | +17.5 | +7.182 | +10.68 | +10.85 | +7.05 |
柔軟仕上剤小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 大津 | 前橋 | 甲府 | 鳥取 | 新潟 | 鹿児島 | 盛岡 | 長崎 | 福岡 | 岡山 |
最新値[円] | 703.3 | 499 | 581 | 588 | 603 | 623 | 625 | 631 | 641 | 652 | 654 |
前年同月比[%] | +4.196 | -12.91 | +1.751 | -15.19 | +8.16 | +5.042 | +9.93 | +4.397 | +1.716 | +5.654 |
柔軟仕上剤の推移


詳細なデータとグラフ
柔軟仕上剤の現状と今後
2025年4月時点で、柔軟仕上剤1Lの全国平均価格は703.3円と報告されています。日用品としては比較的高価格帯にあることが特徴です。価格の高い地域では、大分(913円)が最も高く、松江(889円)、徳島(873円)と続きます。1方、最も安価なのは大津(499円)であり、価格差は約414円、実に59%近い差が存在しています。
この地域ごとの格差は、地域の販売チャネル(スーパー、ドラッグストア、ディスカウント店など)や流通コスト、さらに特定メーカーのシェアの違い、生活スタイルの地域性に起因するものと考えられます。
価格推移と注目される変動傾向
全体として、前年同月比で+4.196%の上昇がみられ、価格はやや上昇基調にあります。特に注目すべきは、山口(+17.5%)や徳島(+16.25%)、高松(+10.85%)など、4国・中国地方を中心に価格が大きく上昇している点です。1方で、鳥取(-15.19%)、大津(-12.91%)などの地域では逆に価格が下落しています。
価格上昇の背景には次の要素が挙げられます:
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原材料コストの上昇:柔軟仕上剤に使用される界面活性剤や香料などの化学製品は石油由来のため、エネルギー価格の高騰や為替の影響を受けやすい。
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プレミアム商品の増加:香りが持続するタイプや肌に優しい製品、抗菌機能付きなど、高付加価値商品が増え、平均価格を押し上げている。
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流通構造の違い:大分や松江のように流通コストが高くなりやすい地方では、価格転嫁が避けられないケースが多い。
逆に価格下落が見られる地域では、大手ディスカウントチェーンの出店強化やPB(プライベートブランド)の拡販が寄与していると考えられます。
市場の変化と課題
柔軟仕上剤市場では、以下のような変化と課題が顕著になっています。
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香りと機能の高度化単なる柔軟剤としての機能から、衣類への香りづけや抗菌・防臭機能、赤ちゃん向けの低刺激処方など、ニーズの多様化が進行。これに伴い、従来よりも単価の高い製品が売れ筋になっています。
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サステナビリティと詰め替え需要環境配慮型の詰め替えパックが浸透し、容器コストを抑えた分、1Lあたりの単価は下がる傾向にあるものの、依然として本体価格は高水準を保っています。
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消費者層の変化若年層・単身世帯では、香り重視の傾向が強く、よりプレミアムな商品を選ぶ傾向にあります。これに対し高齢者層では価格志向が強く、より安価な製品に需要が集まりやすいという2極化が進んでいます。
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マーケティング戦略の影響テレビCMやSNSなどで積極的に宣伝された新製品は、地域問わず1定の価格で流通しやすく、価格の統1化と上昇に寄与している可能性があります。
今後の価格推移と展望
柔軟仕上剤の価格は、短期的には以下のような展開が予想されます。
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平均価格の緩やかな上昇今後も機能性の高い製品が主流になることで、平均価格は緩やかに上昇する傾向が続くと見られます。
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ディスカウント製品による価格抑制圧力1方で、PB商品や大容量パックの台頭により、価格抑制圧力も根強く、特に都市部や競争の激しいエリアでは価格維持が難しい局面も続くでしょう。
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地域間格差の継続ECの浸透があっても、物流コストや商圏規模の差により、価格差は今後も継続すると予想されます。地方では店舗の選択肢が限られるため、価格競争が起きにくい傾向があります。
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環境対応製品への転換加速環境規制や消費者の意識の変化により、再生可能素材を使用した製品や詰め替え専用モデルの需要が拡大。これにより、初期価格は高くとも、長期的なコストパフォーマンス重視の流れが出てくる可能性があります。
消費者・業界・政策の視点から
消費者は、自身のライフスタイルに応じて、香り重視型・肌への優しさ・価格とのバランスを見極める必要があります。業界としては、機能性と価格のバランスに加え、環境配慮型設計への対応が喫緊の課題となっています。
また行政や消費者団体は、柔軟仕上剤が生活必需品であるという観点から、価格変動が家計に与える影響や、低所得層への負担について注視し、必要に応じて価格モニタリングや情報提供の強化を行うことが求められるでしょう。
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