東京都は最高値、山形は最安値:果物卸売価格の地域別ランキング解説

果実計

日本の果実卸売市場における価格は、地域ごとに大きな差が見られ、東京都など都市部では高価格、山形市や佐世保市など地方では低価格が顕著です。近年は都市間で価格変動の振れ幅が拡大し、宇都宮市や福井市では前月比・前年比ともに大幅上昇が見られました。背景には物流費・気候影響・需給バランスがあり、今後も産地直送・地域特産果実の人気化により、地方価格の上昇傾向が見込まれます。

果実計の卸売り市場価格

果実計の高い順

東京都 広島市 宇都宮市 高松市 札幌市 大阪市 福井市 横浜市 仙台市 名古屋市
最新 2025年5月 2025年5月 2023年12月 2025年5月 2025年5月 2025年5月 2023年12月 2025年5月 2025年5月 2025年5月
最大期 2025年2月 2024年8月 2023年3月 2024年8月 2025年2月 2024年8月 2020年8月 2025年2月 2025年1月 2024年8月
最新値[円/kg] 669.3 639.3 565 564.3 555 551.3 550 544 543.7 530.7
最大値[円/kg] 761 760.3 602 873.7 616.3 637.3 629 643 578.3 595.3
前月比[%] -4.518 +7.753 +28.12 +2.544 -4.034 +5.149 +33.82 -4.84 -0.1212 -0.3118
前年同月比[%] +4.692 +3.118 +27.54 +4.958 -6.356 +2.669 +11.11 +1.053 +4.687 +2.446

果実計の安い順

久留米市 山形市 八戸市 熊本市 佐世保市 和歌山市 大津市 奈良県 松山市 長崎市
最新 2023年12月 2021年12月 2023年12月 2021年12月 2016年12月 2023年12月 2021年12月 2023年12月 2023年12月 2023年12月
最大期 2023年9月 2020年6月 2022年6月 2020年8月 2015年8月 2020年9月 2020年8月 2020年8月 2023年8月 2023年8月
最新値[円/kg] 374 283 340 296 278 353 300 354 441 413
最大値[円/kg] 489 1250 444 395 373 535 420 474 525 517
前月比[%] +27.65 +6.391 +11.84 +35.78 +16.81 +6.325 +3.093 +15.69 +20.16 +19.36
前年同月比[%] +7.781 +28.64 +23.64 +9.225 +10.32 +20.48 +26.05 +34.09 +1.613 +14.09

果実計の推移

果実計の市場価格
果実計の市場価格

その他のデータとグラフ

果実計の価格についての推移と展望

日本における果物の卸売市場価格(果実計)は、季節変動と地域差が大きく、年間を通じて需給や天候に強く左右されます。2008年からの長期的な傾向を見ると、全体としては緩やかな上昇基調にあり、特に都市部で価格水準が高止まりしています。2025年5月時点の全国平均は527.3円/kgとなっており、これは過去の平均と比較しても比較的高い水準にあります。


価格が高い都市の傾向と特徴

高価格都市(東京都・広島市・宇都宮市 など)

  • 東京都(669.3円/kg)は、流通拠点としての役割に加え、消費者の購買力が高く、品質の良い果物が求められる傾向にあり、常に全国でもトップクラスの価格。

  • 宇都宮市(565円/kg)・福井市(550円/kg)などは、地方都市でありながら急激な価格上昇(前月比+28.12%、+33.82%)が見られ、局所的な需給のひっ迫や出荷量の減少が推測されます。

  • 広島市(639.3円/kg)は、中4国の流通ハブであり、瀬戸内の高品質果物の供給地とも関連して価格が安定的に高い傾向。


価格が低い都市の傾向と特徴

低価格都市(佐世保市・山形市・熊本市 など)

  • 佐世保市(278円/kg)、山形市(283円/kg)、熊本市(296円/kg)などは産地価格が反映されやすく、地元消費に根差した価格形成で全国平均を大きく下回ります。

  • しかしこれらの都市では、前月比・前年比で2桁台の上昇率が確認されており(例:熊本市+35.78%、奈良県+34.09%)、気候や収穫時期の影響、また観光需要などが背景にあると考えられます。

  • 地場流通の活性化や販路拡大により、今後は価格上昇が続く可能性も。


都市別ランキングの意味と課題

都市別の価格ランキングは、単なる消費地・産地の違いだけでなく、流通経路の効率性、競争環境、販促の有無によっても左右されます。高価格都市が必ずしも「果物が不足している」わけではなく、付加価値や選果基準の厳格さが影響しています。

1方で、低価格都市の急騰には、地元の気候変動や出荷不安定性が反映される場合もあり、単月データでは読み違いのリスクもあります。


最近の課題と背景要因

  • 気候変動:極端な高温や大雨によって収穫時期のずれや収量減が生じ、価格の乱高下を招いています。

  • 物流費の上昇:燃料費高騰により、遠隔地の産地から都市部への流通コストが転嫁され価格に影響。

  • 需給の分断:大都市部での需要過多に対し、地方では果物の消費が頭打ちとなり、価格の2極化傾向が強まっています。


今後の推移と予測

今後の果実計価格については、以下の傾向が予想されます:

  • 地方市場の価格上昇:宇都宮市や福井市のような地方都市での需要増や観光果実市場の成長により、局所的に高値化する傾向。

  • 都市部の高止まり傾向継続:東京都・横浜市・大阪市などでは、引き続き高価格で推移する見込み。ただし物流・人件費の抑制策が普及すれば多少の安定化が見込まれる。

  • 果物の付加価値化による価格差の拡大:高級果物やブランド果実の取り扱いが都市部で拡大することで、地域間の価格格差が拡大する可能性も。


まとめ:価格差の「合理的格差化」へ

果物の価格は、単なる市場メカニズムだけでなく、地域の消費動向、産地力、ブランド化の度合いによって構造的に形成されつつあります。今後は、流通の効率化と地域ブランドの活用が、果実価格を「合理的に格差化」させる鍵となるでしょう。持続可能な農業政策と併せて、地域ごとの果物流通のあり方が注目されます。

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