2025年3月時点のデータによれば、机・いすの支出は5人以上の世帯で高く、特に子どものいる家庭では学習や在宅勤務の需要から支出が顕著に伸びている。一方で就業者が少ない世帯や単身・高齢世帯では支出が低水準。家族構成や働き方の変化が家具購入に与える影響は大きく、今後も教育需要やリモートワークの動向により支出の分布が変化していく可能性がある。小規模世帯では多機能家具への移行も進む見通し。
世帯別の机・いす
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | |
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名称 | 平均 | 世帯5人 | 世帯4人 | 世帯6人~ | 就業者2人 | 就業者3人~ | 世帯3人 | 就業者1人 | 世帯2人 | 就業者0人 |
最新値[円] | 300.6 | 666 | 514 | 499 | 368 | 239 | 160 | 159 | 107 | 58 |
前年月同比[%] | -7.65 | +14.83 | +0.982 | -3.107 | +5.747 | -41.56 | -48.88 | -7.018 | +42.67 | -26.58 |
これまでの世帯別の推移


詳細なデータとグラフ
世帯別の現状と今後
2025年3月時点での世帯別机・いすの月間支出平均は300.6円。これは過去20年間の物価変動やライフスタイルの変化を反映している。とくにコロナ禍以降のリモートワークや家庭学習の定着が、机・いすといった基礎家具の需要に影響を及ぼしてきた。
世帯構成人数による支出の差
最も支出が多いのは5人世帯(666円)で、次いで4人世帯(514円)、6人以上の世帯(499円)と、大人数世帯ほど支出が高い傾向にある。これは、子ども1人1人に学習机が必要であるほか、リビング用やワークスペース用の家具を家族人数分用意する必要があるからである。
一方、3人世帯(160円)や2人世帯(107円)は比較的支出が低く、単身に近い生活スタイルでは新たな家具購入の優先度が下がると考えられる。
就業者数による消費性向の違い
就業者が2人いる世帯では368円と支出が比較的高く、共働き家庭での在宅勤務の備えが進んでいるとみられる。ところが、就業者が3人以上いる世帯では239円とむしろ減少しており、外で働く時間が長く、自宅に専用デスクやチェアを設ける需要が薄れている可能性がある。
また、就業者1人の世帯(159円)や就業者がいない世帯(58円)では支出が低く、特に就業者ゼロの世帯では経済的制約から家具購入を抑制する傾向が読み取れる。
変動要因と社会背景
2024年から2025年にかけて、世帯3人(-48.88%)や就業者3人以上(-41.56%)といった層で急減が見られたのは、家具の買い替え周期に達していないことや、物価高で大型出費を避けた結果と考えられる。
一方で、世帯2人(+42.67%)や世帯5人(+14.83%)などで増加しているのは、リモートワーク再拡大や子どもの成長による買い替えが影響している可能性がある。
今後の推移予測
今後は以下のような動きが予測される:
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大家族層では、引き続き成長期の子どもを抱える家庭を中心に安定した支出が見込まれる。
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中規模世帯(3~4人)では、家具更新需要が一巡する2026年以降、再び支出増の可能性。
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小規模・単身世帯では、省スペース化・収納一体型などの機能家具が主流となり、平均支出額は緩やかな上昇にとどまる。
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就業者数との連動は今後も続くが、リモート勤務定着の度合いが強いほど支出は押し上げられる傾向がある。
課題と提言
家具の価格は木材高騰や輸送費の上昇などで今後も不安定要素が多い。とくに机や椅子は一度買うと長期利用されやすいため、買い替えサイクルが長く、メーカー側も購買を促す工夫(保証期間延長、カスタマイズ可能商品など)が必要だ。
また、公共の家具購入支援制度(育児世帯・高齢者向け)や、中古家具流通の整備も、支出動向に与える影響が大きくなっていくことが想定される。
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