春菊栽培面積は2002年以降横ばい傾向から微減し、2023年は全国で1.68千ha(前年比−2.89%)。主要産地は大阪・福岡・茨城で、茨城のみ前年比+4.9%の増加。千葉・群馬・兵庫で減少が目立ち、担い手不足や設備更新遅れ、気候変動が課題。今後はIoTを活用したスマート農業、加工品開発、観光農園の拡充、輸出チャネルの開拓が成長の鍵となります。
野菜栽培のデータとグラフ
春菊収穫量の最大と最新
全国 | 大阪 | 福岡 | 茨城 | 千葉 | 群馬 | 兵庫 | 福島 | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2004年 | 2002年 | 2002年 | 2002年 | 2002年 | 2002年 | 2002年 | 2002年 |
最新値[kha] | 1.68 | 0.184 | 0.175 | 0.128 | 0.124 | 0.108 | 0.095 | 0.073 |
最大値[kha] | 2.58 | 0.24 | 0.202 | 0.18 | 0.261 | 0.185 | 0.178 | 0.147 |
前年比[%] | -2.89 | 0 | -1.685 | 4.918 | -7.463 | -4.425 | -5 | 1.389 |
全体比[%] | 100 | 10.95 | 10.42 | 7.619 | 7.381 | 6.429 | 5.655 | 4.345 |
これまでの推移


詳細なデータとグラフ
春菊についての推移と展望
春菊(シュンギク)はキク科の葉茎野菜で、独特の香りとほろ苦さが特徴です。ビタミンA、ビタミンC、食物繊維を豊富に含み、鍋料理やおひたし、サラダなど幅広い調理法で親しまれています。近年は健康志向から葉物野菜全体の需要が高まる中で、春菊の個性ある風味が再評価されています。
2002年~2023年の栽培面積推移 ― 全体は微減傾向
2002年以降、葉茎菜類全体の栽培面積に占める春菊は、おおむね横ばいから徐々に微減が続き、2023年には全国で1.68千haとなりました。前年からは-2.89%の減少で、葉物野菜市場全体の拡大に比べてやや勢いを欠いています。
主要県別の動向と特徴
以下、2023年の最新データを基に上位7県を分析します。
順位 | 都道府県 | 作付面積(kha) | 全国比 | 前年比 |
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1 | 大阪 | 0.184 | 10.95% | — |
2 | 福岡 | 0.175 | 10.42% | -1.685% |
3 | 茨城 | 0.128 | 7.619% | +4.918% |
4 | 千葉 | 0.124 | 7.381% | -7.463% |
5 | 群馬 | 0.108 | 6.429% | -4.425% |
6 | 兵庫 | 0.095 | 5.655% | -5.000% |
7 | 福島 | 0.073 | 4.345% | +1.389% |
大阪府(0.184kha/全国比10.95%)
都市近郊農業としての利点を活かし、短期輪作で周年出荷が盛ん。消費地直結型の小規模ハウス栽培が主流で、物流コストを低減しつつ鮮度維持を図っています。
福岡県(0.175kha/全国比10.42%/前年比-1.685%)
暖かい気候を活かした冬春シーズンの露地栽培が主体。九州市場向けに出荷網が整備されていますが、前年比やや減少しており、価格低迷や若手後継者不足が影響しています。
茨城県(0.128kha/全国比7.619%/前年比+4.918%)
関東平野の大規模畑地での輪作体系により、春菊栽培も拡大傾向。ハウス・トンネル栽培の導入による品質向上と出荷時期の平準化が好評で、前年から5%近い伸びを示しました。
千葉県(0.124kha/全国比7.381%/前年比-7.463%)
京葉地域での野菜集積地帯として知られますが、春菊は他の葉物に比べてシェアが低下。施設更新の遅れや労働力確保の難航が大幅減少の要因と考えられます。
群馬県(0.108kha/全国比6.429%/前年比-4.425%)
内陸の冷涼な気候を活かした早春栽培が特徴ですが、前年からの減少は収益性低下と配送コスト高騰が背景。六次産業化による付加価値向上が課題です。
兵庫県(0.095kha/全国比5.655%/前年比-5.000%)
神戸・阪神市場向けの近郊農業として春菊も栽培されますが、都市化による耕地減少と後継者不足が顕著。ブランド化・加工品化の取り組みが遅れています。
福島県(0.073kha/全国比4.345%/前年比+1.389%)
復興需要と地産地消ニーズで微増。比較的若手農家の参入が見られ、直売所を通じた消費者への訴求が奏功しています。
栽培上の主な課題
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担い手不足と高齢化多くの産地で農業従事者の高齢化が進み、労働力確保が急務。特に千葉・兵庫の減少が顕著です。
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価格変動リスク大阪・福岡など主要産地では競争激化により卸売価格が安定せず、収益性の悪化を招いています。
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気候変動への対応暖冬・集中豪雨などの異常気象が春菊の生育に影響。防霜・防寒対策や水管理技術の高度化が求められます。
今後の展望と推移予測
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スマート農業とIoTの導入:茨城の成功例をモデルに、センサーによる環境制御が全国へ波及すると予想されます。
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加工品・ギフト市場への展開:収穫調整や規格外品を活用した春菊チップス、春菊ペーストなど高付加価値商品の開発が鍵。
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地産地消と観光農園の融合:大阪・福岡では直売所併設型観光農園が人気を集めており、他県への拡大余地があります。
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輸出チャネルの開拓:アジア圏を中心に日本産春菊の需要が微増傾向。品質管理と物流体制を強化すれば輸出拡大が期待できます。
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