全国のぶどう卸売価格は2025年4月に平均6342円/kgと高水準に達し、大阪市では8205円/kgと最高値を記録。名古屋市や北九州市では前月比200%以上の急騰も見られ、品種や需要の偏りが顕著。今後は高級化一辺倒の価格構造に対する調整と、天候・流通リスクへの対応が課題。
ぶどうの卸売り市場価格
ぶどうの高い順
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 大阪市 | 広島市 | 福岡市 | 北九州市 | 名古屋市 | 東京都 | 主要市場 |
最新値[円/kg] | 6342 | 8205 | 6462 | 6448 | 6387 | 6348 | 5319 | 5226 |
前月比[%] | +231.6 | +158.5 | +69.7 | +233.2 | +249.8 | +1024 | +241.2 | +262 |
前年同月比[%] | +30.32 | +29.22 | +27.18 | +37.75 | +21.1 | +8.568 | -5.892 | +31.63 |
ぶどうの安い順
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
名称 | 平均 | 主要市場 | 東京都 | 名古屋市 | 北九州市 | 福岡市 | 広島市 | 大阪市 |
最新値[円/kg] | 6342 | 5226 | 5319 | 6348 | 6387 | 6448 | 6462 | 8205 |
前月比[%] | +231.6 | +262 | +241.2 | +1024 | +249.8 | +233.2 | +69.7 | +158.5 |
前年同月比[%] | +28.87 | +31.63 | -5.892 | +8.568 | +21.1 | +37.75 | +27.18 | +29.22 |
ぶどうの推移


最新の価格データ

その他のデータとグラフ
ぶどうの価格についての推移と展望
ぶどうは日本の果物市場において、高級フルーツとしての地位を持ちつつ、近年では新品種の登場や消費スタイルの変化によって価格と流通構造の両面で大きな転換期を迎えています。特にシャインマスカットの台頭以降は、贈答品や高級スーパーでの取引が価格を押し上げる要因となり、地域差が顕著に表れる傾向があります。
2025年4月時点における卸売価格の地域差
全国平均は6342円/kgですが、都市別に見ると以下のように価格差が明確です。
-
大阪市(8205円/kg):全国最高値。高級品種や贈答用需要の集中、百貨店系市場の影響。
-
広島市(6462円/kg)、福岡市(6448円/kg)、北九州市(6387円/kg)、名古屋市(6348円/kg):いずれも全国平均付近の価格帯。広島・福岡などは地元流通に加え、観光地向け需要が底上げ要因。
-
東京都(5319円/kg)、主要市場(5226円/kg):平均を下回る。取り扱い量が多いため価格が相対的に安定・低めに形成されていると見られます。
直近の価格変動の要因分析
2025年4月の価格は、前月比で全国平均が+231.6%と大幅上昇しており、特に名古屋市(+1024%)や北九州市(+249.8%)の変動が顕著です。これらの要因は以下の通りです:
-
ぶどうの出荷時期到来による流通再開(春先まで一時的な品薄)
-
贈答・観光需要の集中による一時的な高値形成
-
温暖化や気象リスクで一部産地の収穫時期が早まるなどの供給面の不確実性
-
特定の高級品種への需要集中
前年同月比では、ほとんどの都市で上昇しており、これは中長期的な価格上昇トレンドの存在を示しています。例外は東京都(-5.892%)で、これは大都市圏での価格調整や量販流通主導の価格圧力と考えられます。
地域別価格の特色と背景
-
大阪市:高価格を維持。「見栄え・贈答重視」の市場構造に加え、百貨店・ホテル・料亭などが主要取引先。
-
福岡・広島・北九州:中価格帯ながらも着実な上昇。観光復調と地場消費の増加が支え。
-
名古屋市:急激な変動は品種限定の入荷やイベント的需要の存在も影響。
-
東京都・主要市場:安価かつ安定傾向。全国的な品が集まるため、供給量が豊富で価格抑制的。
今後のぶどう市場の期待と課題
高級化路線の行方
ぶどうは「贈答品・高級フルーツ路線」の成功例だが、今後は消費者の節約志向とのバランスが課題。価格の二極化も予想される。
品種の偏重リスク
シャインマスカット一強からの脱却が急務。新品種の導入と普及が求められる。
天候リスクと生産コストの上昇
気候変動の影響で収穫期のズレや病害虫の増加による収量不安定が今後のリスク。加えて資材高騰も価格に転嫁されやすい状況。
安定供給と広域流通の再構築
地域別の偏在を抑え、全国での価格安定を図るには、産地間連携や輸送効率化、ストック体制の整備が必要。
コメント