2025年4月時点で、日本の1時間あたりの駐車料金の全国平均は292.4円。東京都区部は710円と全国最高水準で、地方との価格差は依然として大きい。那覇や大阪などでは前年より大幅な上昇が見られる一方、和歌山や前橋ではむしろ価格が下がっている。価格変動の背景には、土地価格、観光需要、都市の再開発、カーシェアとの競合などが複雑に絡み合っている。
自動車・交通の都市別小売価格
駐車料金価格の高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 東京都区部 | 横浜 | 名古屋 | 仙台 | 京都 | 静岡 | 大阪 | 札幌 | さいたま | 那覇 |
最新値[円] | 292.4 | 710 | 553 | 527 | 500 | 450 | 433 | 433 | 407 | 400 | 353 |
平均比[%] | 100 | 242.8 | 189.1 | 180.2 | 171 | 153.9 | 148.1 | 148.1 | 139.2 | 136.8 | 120.7 |
前年月同比[%] | +1.875 | +2.601 | +3.926 | +4.843 | +8.25 | +24.73 |
駐車料金価格の低い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 山口 | 和歌山 | 前橋 | 佐賀 | 宮崎 | 松江 | 福井 | 秋田 | 長野 | 鳥取 |
最新値[円] | 292.4 | 100 | 117 | 133 | 167 | 167 | 167 | 167 | 167 | 167 | 167 |
平均比[%] | 100 | 34.2 | 40.01 | 45.48 | 57.11 | 57.11 | 57.11 | 57.11 | 57.11 | 57.11 | 57.11 |
前年月同比[%] | +1.875 | -22 | -11.33 |
これまでの駐車料・免許の推移


詳細なデータとグラフ
駐車料金の現状と今後
2010年から2025年までの15年間、駐車料金は地域差を残しつつも、全国平均では緩やかな上昇傾向を示しています。2025年4月時点での1時間あたりの平均料金は292.4円。これは、2010年代前半の250円前後と比べると、約17%前後の上昇です。
要因としては以下が挙げられます:
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土地価格の上昇(特に都市部)
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観光地の再整備に伴う料金改定
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自動車の増加と駐車スペースの不足
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駐車場管理のスマート化(精算機・センサー導入による設備費転嫁)
駐車料金が高い都市の特徴と上昇理由
上位10都市(2025年4月時点):
都市 | 1時間料金(円) | 前年比 |
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東京都区部 | 710円 | +2.601% |
横浜 | 553円 | 記載なし |
名古屋 | 527円 | 記載なし |
仙台 | 500円 | 記載なし |
京都 | 450円 | +3.926% |
静岡 | 433円 | +4.843% |
大阪 | 433円 | +8.25% |
札幌 | 407円 | 記載なし |
さいたま | 400円 | 記載なし |
那覇 | 353円 | +24.73% |
東京都区部(710円)は依然として国内トップ。これは以下の理由による:
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極めて高い地価とオフィス・商業需要
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月極よりも短時間利用が中心の都心部構造
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インバウンド観光・イベント再開による1時的需要の回復
大阪・那覇の急上昇も注目すべき動きです。大阪は+8.25%の上昇で、ミナミ・キタといった繁華街や再開発地域での料金引き上げが目立ちます。那覇は+24.73%と全国最大の伸び率。観光客回復、レンタカー利用の急増、空港近辺の再開発が背景にあります。
駐車料金が安い都市の傾向と下落要因
下位都市は以下の通り:
都市 | 1時間料金(円) | 前年比 |
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山口 | 100円 | 記載なし |
和歌山 | 117円 | -22.00% |
前橋 | 133円 | -11.33% |
佐賀、宮崎、松江など | 167円 | 記載なし |
これらの地域では、地価の安さ、車社会の定着(無料駐車場の多さ)、公共交通機関の弱さなどが影響して、有料駐車場の競争が激しく価格が抑制されていることが特徴です。
特に和歌山・前橋では前年から大幅な値下がり傾向が見られ、次のような事情が考えられます:
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商業施設での無料駐車場増加
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地元利用者の需要低下
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コインパーキングの過剰供給による値崩れ
都市別の価格差に潜む構造的要因
全国平均292.4円に対し、東京都区部(710円)と山口(100円)では6倍以上の差があります。これは以下のような構造的格差によって生じています:
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地価・固定資産税の違い
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観光・ビジネス需要の差:京都や那覇など観光都市では、混雑料金的な価格設定が多い。
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都市の再開発・高層ビル建設:駅周辺や再開発地区では地代が上がり、それに応じた値上げが行われやすい。
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カーシェア・自転車通勤の普及状況:1部都市では駐車需要が減少傾向にあり、価格競争に拍車をかけている。
今後の展望と懸念
2025年以降の駐車料金については、以下のような展望が見込まれます:
値上がり要因:
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都市部の再開発と観光回復
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設備のスマート化による初期費用の回収圧力
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労働力不足によるメンテナンスコスト上昇
値下がり・安定要因:
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カーシェア・ライドシェアの普及
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EV導入支援での無料充電スペース併設
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空き地活用型の民間簡易駐車場の増加
将来的には、都市部と地方で駐車料金の「価格2極化」が進行することが予想されます。都市部は高止まり、地方は維持または下落といった構造です。
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