2025年4月時点の日本の野菜価格は平均280.1円/kgで、都市ごとに大きな価格差が存在。金沢市などは観光需要や物流コストの影響で高値を維持する一方、千葉市や鹿児島市などの産地直結型都市は安価に推移。価格上昇都市と下落都市の乖離は、生産環境と流通構造の違いによるものであり、今後は気象や物流、地域ブランド化などが価格動向に影響を与える見通し。
野菜全体の卸売り市場価格
野菜全体の高い順
金沢市 | 京都市 | 東京都 | 高知市 | 横浜市 | 高松市 | 沼津市 | 大阪市 | 仙台市 | 名古屋市 | |
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最新 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2023年12月 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2016年12月 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2025年4月 |
最大期 | 2025年1月 | 2024年12月 | 2025年1月 | 2017年12月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2016年10月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 |
最新値[円/kg] | 338 | 312 | 308.3 | 300 | 289.3 | 287 | 283 | 281.7 | 281.7 | 277.3 |
最大値[円/kg] | 402.3 | 350 | 359.7 | 344 | 342 | 358 | 331 | 319.7 | 337.7 | 325 |
前月比[%] | -9.22 | -5.834 | -8.867 | +8.303 | -9.207 | -8.695 | -3.082 | -7.749 | -10.49 | -5.99 |
前年同月比[%] | -3.243 | -4.391 | -4.147 | +0.3344 | -6.062 | +0.8185 | +38.05 | -1.97 | -0.2338 | -0.5986 |
野菜全体の安い順
八戸市 | 青森市 | 千葉市 | 室蘭市 | 鹿児島市 | 札幌市 | 豊橋市 | 佐賀市 | 盛岡市 | 宮崎市 | |
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最新 | 2023年12月 | 2023年12月 | 2021年12月 | 2011年12月 | 2023年12月 | 2025年4月 | 2016年12月 | 2021年12月 | 2023年12月 | 2023年12月 |
最大期 | 2018年1月 | 2018年2月 | 2018年2月 | 2010年4月 | 2020年8月 | 2025年1月 | 2016年10月 | 2016年9月 | 2018年1月 | 2022年12月 |
最新値[円/kg] | 255 | 212 | 156 | 193 | 155 | 265 | 197 | 189 | 228 | 276 |
最大値[円/kg] | 312 | 301 | 220 | 262 | 273 | 292.7 | 318 | 231 | 312 | 345 |
前月比[%] | +43.26 | +35.9 | +9.091 | +39.86 | -2.813 | -20.88 | +6.18 | +7.547 | +31.43 | |
前年同月比[%] | +9.914 | +9.278 | +12.23 | +8.427 | +4.027 | -5.694 | +38.73 | +31.25 | +5.069 | -20 |

野菜全体の推移


その他のデータとグラフ
野菜全体の価格についての推移と展望
日本の野菜卸売価格は、地理的条件、生産・流通構造、需要動向により都市ごとに大きく異なる。卸売市場における取引価格は、農業の健全性や消費者の購買行動を測る重要な指標となっており、本章ではその実態と今後の見通しを考察する。
長期的な価格動向の特徴(2008年~2025年)
過去17年間にわたるデータを見ると、野菜価格は気候変動や輸送コストの上昇、農業従事者の減少によって緩やかに上昇傾向を示している。一方で、季節変動や豊凶の影響で、短期的には大きな価格変動が発生している。最近ではエネルギー価格の上昇や資材費の高騰も価格を押し上げる要因となったが、2025年4月時点では全体平均が280.1円/kgまでやや落ち着いている。
直近の価格動向と問題点
2025年4月時点でのデータを見ると、全国平均価格は前月比で約-8.2%と大幅な下落を示している。これは春先の出荷量増加や物流正常化の影響が考えられる。一方で、都市別には価格の上昇傾向も見られ、高知市(+8.3%)や八戸市(+43.26%)のように突出した伸びを記録する地域もある。価格下落が著しい地域(仙台市-10.49%、名古屋市-5.99%など)との乖離は、地場野菜の依存度や市場流通量の違いを示唆している。
都市別価格ランキングと地域的な特色
高価格帯都市(2025年4月)
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金沢市:338円/kg
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京都市:312円/kg
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東京都:308.3円/kg
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高知市:300円/kg
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横浜市:289.3円/kg
これらの都市は、観光地としての消費地需要の高さや、周辺の供給地との流通距離が比較的長いことから価格が高止まりしている傾向がある。金沢市の価格の高さは、地場ブランド野菜の人気と物流コストが影響していると考えられる。
低価格帯都市
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鹿児島市:155円/kg
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千葉市:156円/kg
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室蘭市:193円/kg
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豊橋市:197円/kg
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佐賀市:189円/kg
これらは、周辺地域に豊かな生産地を持ち、市場への供給が安定しているため価格が抑えられている。特に千葉市や鹿児島市は産地直結型の流通が進んでおり、コスト構造が有利である。
価格変動の背景──高知と沼津の上昇、広域市場の下落
高知市と沼津市の前年同月比プラスは注目に値する。高知は温暖な気候で早出し野菜の供給が安定しており、需要増と相まって価格が上昇している。沼津市の38%という驚異的な上昇は、天候被害後の供給調整や地元需要増が背景にあるとみられる。
一方で、仙台市や広島市のような大市場では、大規模流通の中で価格調整が働き、需給の変化に敏感に反応して価格が急落するケースも多い。
今後の価格の見通しと期待される政策対応
2025年後半にかけては、以下の点が価格に影響を与えると予測される。
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気象要因の安定:温暖化に伴う異常気象が激化すれば、高騰リスクが増す。
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物流コストの変動:燃料費や人件費の高騰は卸売価格に反映されやすい。
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地域ブランド化の進展:価格の高い都市では高付加価値野菜の流通が定着する見通し。
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DX化・スマート農業の推進:コスト圧縮により、地方での低価格維持が可能となる期待。
今後は、地方と都市の価格格差をどう埋めるか、また消費者負担と生産者保護のバランスをどう取るかが政策的課題となる。
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