都市ガス代の都市別格差と今後の見通し|2025年春の最新動向

家賃・公共料金



2025年4月時点で大都市の1か月あたりの平均都市ガス代は7,216円、前年同月比+4.64%と緩やかに上昇。中でも新潟は+20.23%と突出し、岡山や福岡も8,700円超と高水準。一方、関東や京阪神では6,200〜6,700円台に抑えられており、地域格差が際立つ。過去数年の価格はエネルギー輸入コストやインフラ維持費の影響を受けて変動。今後は再エネ熱源の普及や料金制度の見直しによって安定化が期待される。

小売物価統計

都市ガス代の高い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 岡山 福岡 北九州 広島 静岡 浜松 札幌 名古屋 仙台 新潟
最新値[円] 7216 8806 8713 8713 8598 8305 8288 7548 7236 6929 6840
前年同月比[%] +4.64 +3.32 +3.284 +3.284 +3.317 +3.438 +3.458 +3.753 +3.936 +4.18 +20.23

都市ガス代の安い都市

2025年4月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 さいたま 千葉 川崎 東京都区部 横浜 相模原 京都 大阪 神戸
最新値[円] 7216 6208 6208 6208 6208 6208 6208 6776 6776 6776 6776
前年同月比[%] +4.64 +4.635 +4.635 +4.635 +4.635 +4.635 +4.635 +4.262 +4.262 +4.262 +4.262

 

大都市の推移

大都市の都市ガス代
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

大都市の都市ガス代現状と今後

都市ガス料金は、この約10年でじわじわと上昇傾向を見せています。2016年頃は原油価格の低下によりガス料金も1時的に抑えられた時期がありましたが、2018年以降はエネルギー全体の価格上昇と連動し、都市ガス代も上昇に転じました。

特に2022年以降、ロシア・ウクライナ戦争の影響による液化天然ガス(LNG)価格の高騰が日本にも波及し、都市ガス料金が1気に上がる要因となりました。都市ガスの主な原料であるLNGはほぼ全量を海外からの輸入に依存しているため、為替相場の変動や国際市況の変化に大きく左右されます。

また、2023年〜2025年にかけては政府の1時的な補助金政策や、燃料費調整制度によって価格の急激な上昇はある程度緩和されているものの、全体としては依然として右肩上がりのトレンドが続いています。


2025年4月時点の都市ガス代の地域別状況

2025年4月のデータによれば、日本の大都市の都市ガス代の1か月平均は7,216円。前年同月比では+4.64%の上昇です。

高価格帯(上位10都市):

都市 料金(円) 前年比増加率
岡山 8,806円 +3.32%
福岡・北9州 8,713円 +3.284%
広島 8,598円 +3.317%
静岡 8,305円 +3.438%
浜松 8,288円 +3.458%
札幌 7,548円 +3.753%
名古屋 7,236円 +3.936%
仙台 6,929円 +4.18%
新潟 6,840円 +20.23%

特に新潟の急騰(+20.23%)は異常値とも言え、地域特有の調達ルートやインフラ費用、補助金打ち切りなどが影響している可能性があります。岡山や福岡といった地方都市でも8,700円超と、生活コストの上昇を実感させる水準となっています。


低価格帯(下位10都市):

都市 料金(円) 前年比増加率
さいたま・千葉・川崎・東京都区部・横浜・相模原 6,208円 +4.635%
京都・堺・大阪・神戸 6,776円 +4.262%

関東圏(特に東京ガス供給エリア)と京阪神圏の都市では6,200〜6,700円台に収まっており、全国平均を大きく下回る水準です。この背景には需要規模の大きさ(スケールメリット)や、パイプライン網の整備状況、都市ガス会社の効率化努力などが影響しています。


都市ガス料金の地域差とその背景

都市ガス料金は、各地域の供給会社の調達コストや、設備更新・保守コスト、需要規模などによって大きく異なります。主な要因として以下の点が挙げられます:

  • LNGの輸入経路と地理的条件港湾インフラの有無や調達拠点からの距離がコストに反映されやすい。

  • 需要の規模東京ガスや大阪ガスなど大手事業者は大規模な需要を背景に、単価の抑制が可能。

  • 規制と料金設定の自由度都市ガス自由化により1部競争は進んだが、依然として地域独占の色が強く、価格差が解消されにくい。

  • 都市インフラの老朽化と更新費古いインフラを抱える地域では、その維持費が利用者の料金に転嫁されているケースもある。


今後の価格推移の見通しと課題

今後の都市ガス料金の動向には、不確実性が多く含まれますが、いくつかの方向性が見込まれます。

▸ 緩やかな上昇基調の継続

燃料費調整制度や為替の影響を受けながらも、基本的には原料価格が安定化すれば1定の抑制効果が働きます。ただし、LNG依存構造が続く限り、外的リスクには脆弱です。

▸ 脱炭素政策と料金構造の転換

今後の脱炭素化の流れにより、水素混焼やバイオガスへの移行が進めば、初期投資が料金に跳ね返る可能性もあります。1方で、効率的なエネルギー供給が実現すれば、中長期的には価格安定に寄与する可能性もあります。

▸ デジタル化・スマートメーター活用による節約支援

家庭ごとの最適使用を促すインセンティブが広がれば、実質的な負担感は軽減できるかもしれません。


今後の家庭・行政・事業者の役割

電気と同様、都市ガスについても価格上昇に対処するには、家庭の節約努力とともに、行政・事業者の取り組みが求められます。

  • 行政は所得階層に応じた補助金制度や光熱費支援策の整備を。

  • 事業者は価格構造の透明化と効率的運用の追求を。

  • 家庭では省エネ機器(エコジョーズ等)の導入や使用習慣の見直しが今後の鍵になります。


まとめ

都市ガス料金は、これまでの国際市況や地域ごとの構造的な要因により価格格差が顕著になっています。2025年現在もその傾向は続いており、特に新潟や岡山など地方都市での料金負担は無視できません。将来的にはエネルギー多様化・デジタル化・省エネ促進を通じて、価格の平準化と安定が期待されます。家庭と社会全体での対応が、持続可能なガス供給の鍵となるでしょう。

 

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