2025年4月時点で畳替え代1枚の全国平均は9,942円で、前年同月比では+4.283%の上昇。宮崎や横浜などでは1枚15,000円を超える一方、伊丹や津では5,800円と地域差が顕著。価格高騰の要因には原材料高、人手不足、職人技術の希少化がある。今後も高齢化と和室需要の変化により、価格は地域ごとの供給環境に応じて緩やかに上昇していく見通し。
小売物価統計
畳替え代小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 宮崎 | 八戸 | 甲府 | 青森 | 横浜 | 前橋 | 豊橋 | 小山 | 新潟 | 柏 |
最新値[円] | 9942 | 15200 | 15000 | 14190 | 13480 | 13480 | 13400 | 12980 | 12980 | 12650 | 12100 |
前年同月比[%] | +4.283 | +25.62 | +7.143 | +8.889 | +53.13 | +30.1 |
畳替え代小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 伊丹 | 津 | 八王子 | 岡山 | 広島 | 松阪 | 水戸 | 佐賀 | 高知 | 札幌 |
最新値[円] | 9942 | 5800 | 5800 | 6050 | 6050 | 6185 | 6500 | 6580 | 6750 | 6750 | 7225 |
前年同月比[%] | +4.283 | +4.977 | +2.486 | +18.18 | -36.34 |
畳替え代の推移


詳細なデータとグラフ
畳替え代の住宅工事費現状と今後
2025年4月時点での畳替え代1枚の全国平均は9,942円と、1万円近い水準となっており、これは2016年からの長期的な価格上昇傾向の1環です。前年同月比で+4.283%の上昇となっており、特に上昇が著しい地域としては、宮崎(+25.62%)、前橋(+30.1%)、横浜(+53.13%)が挙げられます。
地域別で見ると、最も高いのは宮崎(15,200円)、次いで8戸(15,000円)、甲府(14,190円)と、地方都市や都市周辺での高価格化が進行中です。1方、伊丹・津(ともに5,800円)や8王子(6,050円)などでは比較的安価な水準にとどまっています。
このように、地域による価格差が非常に大きいのが特徴です。
畳替え価格上昇の背景
原材料費の高騰
畳の主要素材であるい草の価格上昇が続いており、これは国産い草農家の減少と生産量の低下が背景にあります。特に高品質な国産い草は熊本県産が中心で、生産者の高齢化や後継者不足が深刻です。
職人の人手不足
畳替えは単なる作業ではなく、手作業での技術が必要な職人仕事です。後継者不足により熟練職人が減り、施工できる業者数が都市部以外で減少しています。この供給制限が価格上昇を招いています。
高齢者世帯と和室文化の継承問題
若年層の洋室志向により、新築物件では和室が減少傾向にありますが、高齢世代を中心に和室需要は根強く残るため、リフォームの文脈での畳替えは依然として存在感があります。特に地方では空き家の再利用などで畳需要が1部復活しています。
地域ごとの価格差の要因
畳替え代が高い地域には、以下の共通点があります:
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人手不足が深刻な地方都市(例:宮崎、8戸、前橋)
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施工業者の数が限られている地域(競争が少ない)
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高品質な材料使用が前提の高級志向地域(例:甲府)
1方、価格が安い地域には:
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流通が活発で業者が多い都市近郊(例:伊丹、津、8王子)
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標準的または簡易型施工が中心の地域(短納期・大量対応)
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DIY需要やホームセンター系サービスが浸透している地域
が挙げられます。
今後の畳替え価格の見通し
今後も全国平均としては緩やかな上昇傾向が見込まれます。理由としては:
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原材料費は今後も上がる可能性が高い
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職人の高齢化と後継者難による労働単価の上昇
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高齢世帯の和室リフォーム需要は1定数維持
しかしながら、都市部では価格競争が起きやすく、コストパフォーマンス重視の簡易施工や海外産い草の利用が普及することで、価格上昇は抑えられる可能性もあります。
また、新技術による畳表の代替素材(樹脂製や和紙ベース)などの導入が進めば、価格帯の多様化が進み、安価モデルと高級モデルの2極化がより鮮明になるでしょう。
まとめと消費者へのアドバイス
畳替えは「和の文化」を支える重要な工事ですが、価格は需給や地域環境、素材品質などに大きく依存しています。今後も価格が上がる地域は増えると見込まれるため、畳替えを検討する場合は以下の点に注意が必要です:
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複数社から見積もりをとること
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国産い草か輸入品かを確認すること
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補助金・助成金制度の活用(地方自治体による)
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安価な代替素材も視野に入れること
特に高齢者世帯や地方の戸建て住宅では、早めの施工計画がコスト抑制に有効です。
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