日本の農業において、水稲は国民の主食として重要な作物です。しかし、作付け面積は近年減少傾向にあり、2024年時点では全国で135.9万ヘクタールとなっています。特に東北地方が35.84万ヘクタール(全国比26.37%)と最大の作付け面積を誇り、次いで関東・東山、北陸地方が続きます。一方、四国地方は4.27万ヘクタール(3.14%)と最も少ない状況です。
作物統計調査
作物統計調査は、毎年、耕地の状況、収穫量等を調査し、耕地面積、農作物の作付面積、収穫量、被害面積・被害量等を、全国、都道府県(主産県)別等に提供されています。
水稲の作付け面積の全国データ
全国 | 東北 | 関東・東山 | 北陸 | 九州 | 北海道 | 近畿 | 中国 | 東海 | 四国 | |
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最新 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 |
最大期 | 1969年 | 1969年 | 1969年 | 1963年 | 1961年 | 1969年 | 1959年 | 1959年 | 1959年 | 1960年 |
最新値[万ha] | 135.9 | 35.84 | 24.8 | 19.7 | 14.37 | 9.5 | 9.4 | 9.31 | 8.66 | 4.27 |
最大値[万ha] | 317.3 | 66.18 | 54.21 | 36.81 | 43.35 | 26.62 | 29.13 | 30.11 | 28.07 | 14.95 |
前年比[%] | 1.116 | 2.664 | 3.549 | -0.3541 | -1.101 | 1.822 | -0.7392 | -0.9574 | -0.2304 | -0.9281 |
全体比[%] | 100 | 26.37 | 18.25 | 14.5 | 10.57 | 6.99 | 6.917 | 6.851 | 6.372 | 3.142 |
水稲の収穫量の全国データ
全国 | 東北 | 関東・東山 | 北陸 | 九州 | 北海道 | 近畿 | 中国 | 東海 | 四国 | |
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最新 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 |
最大期 | 1967年 | 1975年 | 1968年 | 1968年 | 1967年 | 1968年 | 1959年 | 1969年 | 1967年 | 1967年 |
最新値[万t] | 734.5 | 209.1 | 135.2 | 105.3 | 70.3 | 56.24 | 47.69 | 47.69 | 42.31 | 20.52 |
最大値[万t] | 1426 | 346.6 | 230.2 | 184.6 | 188.1 | 122.7 | 111 | 126.5 | 102.9 | 58.07 |
前年比[%] | 2.512 | 5.181 | 3.84 | 3.744 | -2.632 | 4.11 | 0.168 | -1.283 | -1.306 | -1.204 |
全体比[%] | 100 | 28.47 | 18.41 | 14.34 | 9.571 | 7.657 | 6.493 | 6.493 | 5.76 | 2.794 |
水稲の10a当りの収穫量データ
全国 | 北海道 | 東北 | 関東・東山 | 北陸 | 中国 | 近畿 | 東海 | 九州 | 四国 | |
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最新 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 | 2024年 |
最大期 | 2016年 | 2021年 | 2020年 | 2004年 | 2016年 | 1994年 | 2008年 | 2016年 | 1994年 | 2008年 |
最新値[kg] | 540 | 592 | 583 | 545 | 535 | 512 | 507 | 489 | 489 | 481 |
最大値[kg] | 544 | 597 | 586 | 560 | 567 | 536 | 521 | 514 | 547 | 510 |
前年比[%] | 1.313 | 2.245 | 2.46 | 0.1838 | 4.288 | -0.3891 | 0.7952 | -1.012 | -1.61 | -0.2075 |
平均比[%] | 100 | 109.6 | 108 | 100.9 | 99.07 | 94.81 | 93.89 | 90.56 | 90.56 | 89.07 |
水稲の農業についての推移と展望
日本の農業において、水稲(コメ)は最も重要な作物の一つであり、長年にわたり国民の主食として親しまれてきました。本稿では、2024年時点の作付け面積や収穫量のデータを基に、これまでの変遷、地域ごとの特色、近年の課題、そして今後の展望について解説します。
全国の水稲作付け面積と収穫量の推移
作付け面積の推移と現状
水稲の作付け面積は、かつては大規模に展開されていましたが、近年は減少傾向にあります。2024年時点の全国の作付け面積は135.9万haであり、かつてのピーク時と比較すると減少しています。
地域別の作付け面積では、東北地方が35.84万ha(全国比26.37%)と最も広く、次いで関東・東山の24.8万ha(18.25%)、北陸の19.7万ha(14.5%)と続きます。逆に、四国地方は4.27万ha(3.142%)と最も少ない作付け面積となっています。
収穫量の推移と現状
全国の収穫量は734.5万tとなっています。地域別では、東北が209.1万t(28.47%)と最も多く、次いで関東・東山が135.2万t(18.41%)、北陸が105.3万t(14.34%)となっています。
10a当たりの収穫量においては、全国平均は540kgであり、北海道(592kg)、東北(583kg)、関東・東山(545kg)など、比較的寒冷な地域で収量が高い傾向が見られます。一方、四国(481kg)、九州(489kg)など温暖な地域では若干収量が低い傾向にあります。
地域別の特色
東北地方
東北地方は、広大な農地と冷涼な気候を活かした良質なコメの生産地です。「ひとめぼれ」や「あきたこまち」などのブランド米が全国的に知られています。近年は、豪雪や冷害対策として耐寒性品種の開発が進んでいます。
北陸地方
北陸地方も高品質のコメを生産する地域であり、「コシヒカリ」発祥の地として知られています。湿潤な気候と豊富な水資源を活かした稲作が特徴ですが、近年は温暖化の影響による品質の低下が課題とされています。
関東・東山地方
関東・東山地方では、都市部の需要を支える大規模な稲作が行われています。「コシヒカリ」や「ふさおとめ」などの品種が生産され、消費地に近いことから安定した供給が可能です。
九州地方
九州地方では温暖な気候を利用し、早期米や二期作が一部の地域で行われています。特に「ヒノヒカリ」や「森のくまさん」などのブランド米が人気です。ただし、台風の影響を受けやすい地域であり、気象リスクが課題です。
北海道地方
北海道は比較的新しい稲作地帯でありながら、「ななつぼし」や「ゆめぴりか」など高品質な品種が開発され、収穫量も増加しています。寒冷地でありながら、生育期間の長い品種や耐寒性に優れた品種が導入されており、全国的にも評価が高まっています。
近年の課題
作付け面積の減少
農業従事者の高齢化や後継者不足により、作付け面積が減少しています。特に都市部周辺では宅地化の影響で農地が縮小している地域もあります。
気候変動の影響
近年の気候変動により、高温障害や異常気象による収量や品質の低下が問題視されています。特に温暖な地域では、コメの品質劣化が深刻化しつつあります。
労働力不足と機械化の進展
農業従事者の減少に伴い、機械化や省力化技術の導入が進んでいます。ドローンによる農薬散布やスマート農業技術の活用が今後の課題解決の鍵となるでしょう。
今後の展望と必要な技術
高収量・高品質品種の開発
気候変動や需要の変化に対応するため、耐暑性や病害耐性に優れた品種の開発が求められています。
スマート農業の導入
AIやIoTを活用したスマート農業が今後の日本の稲作を支える技術となるでしょう。センサーを活用した水管理システムや自動運転トラクターの普及が期待されています。
ブランド米の強化と輸出拡大
国内市場の縮小に対応するため、日本産ブランド米の輸出拡大が重要視されています。特に東南アジアや北米市場において、日本米の需要が高まっています。
環境負荷の低減
持続可能な農業の推進が求められており、有機農法や減農薬技術の開発が進められています。
おわりに
日本の水稲農業は、歴史的に重要な役割を担ってきましたが、現在は多くの課題に直面しています。今後、スマート農業技術の導入や新品種の開発により、持続可能な稲作が実現されることが期待されます。各地域の特色を活かしつつ、気候変動や労働力不足に対応した稲作の発展が求められています。
作付け面積と収穫量の推移


直近の作付け面積と収穫量の割合


10a面積当たりの収穫量と作況指数


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