建設業の時給動向|男女・雇用形態別格差と今後の課題と展望

各産業

建設業の平均時給は2542円で全産業より高めだが、男女や雇用形態間での格差が大きい。男性や正社員は高水準を維持している一方で、女性やパートタイム労働者は時給が低く、伸びも鈍化。今後は人手不足への対応として待遇改善が不可欠。

男女別の時給の推移

最近の時給データ

合計 男性計 一般労働者 女性計 パートタイム労働者
最新 2025年4月 2025年4月 2025年4月 2025年4月 2025年4月
最大期 2024年12月 2024年12月 2024年12月 2024年12月 2024年12月
最新値[円/時間] 2363 2466 2389 1874 1471
最大値[円/時間] 4858 5068 4944 3900 1782
前年同月比[%] +2.605 +2.027 +2.576 +4.927 +0.9609

建設業の時給の推移

時給の推移
最新のデータ

詳細なデータとグラフ

日本の全産業の労働者数の特徴

建設業はインフラ整備や住宅建設など、社会基盤の維持に不可欠な産業です。1方で、高齢化や人手不足、待遇格差といった複雑な課題を抱えています。2025年1月の最新時給データを基に、これまでの傾向とともに、男女別・雇用形態別の課題、そして今後の展望について解説します。


建設業の平均時給の現状と推移

平均時給(全体)

  • 2542円/時間(前年比 +1.154%)

建設業の平均時給は全産業の中でも高めの水準で推移しています。これは技能や危険度が高い作業が多く、賃金が上がりやすい業種であることに起因します。ただし、近年の上昇率はわずか1.15%と鈍化しており、人材確保の面でやや不安が残ります。


雇用別の時給の特徴と課題

1般労働者(正社員等)

  • 2573円(前年比 +1.14%)

1般労働者の時給は業界平均とほぼ同水準で、技能労働者や管理職の存在が平均を底上げしています。ただし、上昇率は鈍く、特に若年層の確保にはさらなる処遇改善が求められます

パートタイム労働者

  • 1515円(前年比 +0.3311%)

パートタイム労働者の時給は、全体の約60%程度と大きく下回ります。しかも前年比で0.3%の微増にとどまり、実質的には停滞しています。建設業のパートは清掃や軽作業が中心であり、業務の性質上、時給引き上げの動きが鈍いのが現状です。


男女別の時給差と背景

男性労働者

  • 2658円(前年比 +1.412%)

建設業は圧倒的に男性が中心の業界であり、時給も高めの2658円となっています。現場管理や職長などを担う層が多く、1定の賃金水準が確保されています。人手不足に対応するため、待遇改善の動きも見られます。

女性労働者

  • 1977円(前年比 -0.1011%)

女性労働者の時給は1977円と、男性より約700円低い水準で、しかも前年比ではマイナス0.1%実質的に賃金が減少しています。建設業において女性は依然として事務職や補助的職種に集中しており、職域の限定性と評価の低さが時給に反映されています。


建設業特有の課題

技能労働者の高齢化と後継者不足

建設業界では高齢技能者の割合が高く、若手の確保が困難です。これが今後の労働生産性低下や安全性の懸念につながっています。

労働時間の長さと定着率の低さ

建設業は季節変動や天候の影響を受けやすく、不規則な労働時間が常態化しています。これが若年層や女性の離職要因にもなっており、働き方改革の遅れが深刻です。


今後の推移と期待される動き

国の公共投資と賃上げ圧力

防災・減災事業や老朽化インフラの更新需要により、今後も建設需要は高水準で推移する見込みです。これにより、特に技能職や正社員層の時給は安定的に上昇していくと予測されます。

女性の職域拡大と評価制度改革

女性登用の動きは徐々に拡大しており、現場技術職や設計補助などへの進出も見られます。職域が広がれば、女性の時給改善も期待されますが、それには明確な評価制度と教育支援が不可欠です。

非正規雇用の待遇改善と多能工化

非正規労働者へのスキル教育や業務拡大(多能工化)により、時給底上げの余地があります。企業によってはパートタイマーに資格取得支援を行う動きもあり、今後の改善につながる可能性があります。


まとめ

建設業の時給は全体的に高めですが、性別・雇用形態による格差が根強く残っているのが実情です。特に女性とパートタイム労働者の待遇は依然として低く、改善が急務です。今後の人材確保の鍵は、職場環境の改革と多様な働き手の受け入れ体制の強化にあると言えるでしょう。

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