建設業の給料は37.51万円で前年比約2.8%上昇。男性の賃金は高水準だが、女性やパートタイムとの格差が依然大きい。人手不足や高齢化、働き方改革の影響が続く中、デジタル化や若者・女性の参入促進による賃金構造の改善が期待されている。
男女別の給料の推移
最近の給料データ
合計 | 男性計 | 一般労働者 | 女性計 | パートタイム労働者 | |
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最新 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 |
最大期 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2023年12月 |
最新値[万円] | 37.51 | 40.61 | 39.01 | 24.98 | 11.44 |
最大値[万円] | 79.77 | 85.75 | 83.31 | 56.27 | 15.16 |
前年同月比[%] | 2.803 | 2.885 | 2.311 | 2.001 | 2.539 |
建設業の給料の推移


詳細なデータとグラフ
日本の全産業の労働者数の特徴
建設業は日本のインフラを支える重要な産業でありながら、慢性的な人手不足や高齢化といった課題に直面しています。賃金水準や労働環境の改善が求められる中、2025年1月時点の統計から最新の動向を分析し、今後の展望を探ります。
給料の全体動向とその背景
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平均給与(全体):37.51万円(前年比 +2.803%)
建設業の平均給与は、全産業平均を上回る水準にあります。賃金は年々緩やかに上昇しており、特に2020年代以降は資材費高騰や人手不足に伴う賃上げ圧力が強まっています。また、公共事業の増加や災害復興需要なども背景にあります。
雇用形態別の給料とその問題点
一般労働者(正規雇用)
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平均給与:39.01万円(前年比 +2.311%)
正規労働者の給与水準は高く、技能職や現場監督職などが中心です。ただし、長時間労働や厳しい労働環境が残っており、若者の就業意欲の低下が課題となっています。また、技能の継承が進まず、中堅層の育成にも課題があります。
パートタイム労働者
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平均給与:11.44万円(前年比 +2.539%)
パートタイムの給与水準は非常に低く、主に軽作業や補助的な業務に従事することが多いためです。建設業におけるパートタイム雇用は少数派であり、今後もあまり拡大する傾向にはないと見られますが、処遇改善の必要性は依然として残っています。
男女別の給料と課題
男性労働者
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平均給与:40.61万円(前年比 +2.885%)
男性は現場作業や技術系職種に多く就いており、賃金水準は高いです。肉体的に厳しい職務が多いことも影響し、若年層の離職率が高い傾向も見られます。最近はデジタル建設技術(CIMやBIM)の普及により、ITスキルの高い人材の採用も増えています。
女性労働者
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平均給与:24.98万円(前年比 +2.001%)
女性の平均給与は男性に比べて約15万円低く、建設業の男女格差は依然として大きいです。主に事務職や補助職種に従事している場合が多く、現場職への参入が進まないことが背景にあります。今後は女性の技術職登用や職域拡大が重要課題です。
現在の課題と構造的要因
人手不足と高齢化
建設業では特に40代後半〜60代の労働者が多数を占めており、若年層の定着率が極めて低い状況です。高齢化による退職ラッシュが見込まれ、技能継承の断絶リスクも高まっています。
長時間労働と働き方改革
建設業は他産業に比べ長時間労働の傾向が強く、2024年からの「時間外労働の上限規制(建設業の5年間猶予終了)」により、現場の運営に大きな影響が出ています。労働環境の抜本的改善が必要です。
今後の展望と政策的期待
デジタル化による業務効率の向上
BIMやドローン、遠隔操作建機などを活用したスマート建設技術の普及により、業務の効率化と安全性向上が期待されます。これにより、従来の労働集約型から知識集約型への転換が進めば、給与水準の上昇余地も広がります。
若者・女性の参入促進
国や業界団体によるPR活動、技術教育支援、現場の労働環境改善を通じて、若年層や女性の参入が進むことが期待されます。現場に適した保育環境整備や制服改良などの取り組みも進行中です。
正規・非正規の処遇格差是正
同一労働同一賃金やキャリアアップ支援の推進により、パートタイム労働者や女性の処遇改善が図られる見込みです。これにより、離職率の低下や長期定着も見込まれます。
まとめ
建設業の給料は全体として高めで推移しており、今後も安定した上昇が期待されます。一方で、男女格差や正規・非正規間の処遇差、高齢化と人手不足などの構造的課題が残ります。働き方改革とデジタル化、教育投資の推進が将来の持続的成長のカギとなるでしょう。
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