日本の布団1枚の価格は地域により大きな差があり、盛岡や札幌などの寒冷地では全国平均(1.19万円)を大きく上回り、高松や熊本なども高価格帯に入っています。一方で、所沢や津、大津など温暖な地域では平均の半分程度と安価です。寒冷地では防寒性能や品質重視が価格に影響し、温暖地では簡易な布団が選ばれやすい傾向にあります。今後は人口動態や生活スタイルの変化に伴い、需要と価格も変化する可能性があります。
小売物価統計
布団小売りの高い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 盛岡 | 札幌 | 旭川 | 甲府 | 高松 | 熊本 | 佐世保 | 西宮 | 山口 | 八戸 |
最新値[万円] | 1.172 | 1.76 | 1.628 | 1.628 | 1.562 | 1.518 | 1.49 | 1.49 | 1.448 | 1.445 | 1.43 |
前年同月比[%] | -1.803 | +15.39 | +15.63 | +25.42 | +17.51 | -6.757 | +15.59 | -11.63 | +8.219 | +35.96 |
布団小売りの安い都市
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 所沢 | 宇部 | 津 | 浦安 | 日立 | 仙台 | 小山 | 柏 | 徳島 | 金沢 |
最新値[万円] | 1.172 | 0.595 | 0.648 | 0.655 | 0.668 | 0.722 | 0.768 | 0.769 | 0.798 | 0.835 | 0.869 |
前年同月比[%] | -1.803 | +0.575 | -5.247 | -17.27 | -57.57 | +15.7 | -33.58 | +4.587 | -47 |
布団の推移


詳細なデータとグラフ
布団の家具現状と今後
2025年4月時点で、日本国内における布団1枚の平均小売価格は1万1,720円(1.172万円)です。しかしながら、地域間の価格差は著しく、最も高価な盛岡(1.76万円)と最も安価な所沢(0.595万円)の間には1万円以上の開きが存在します。これは、マットに比べて布団の価格が構造的に高く、かつ流通や需要が地域によって異なることを示しています。
高価格帯(上位10都市):
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盛岡、札幌、旭川、甲府、高松、熊本、佐世保、西宮、山口、8戸→ 北日本や中小都市圏に高価格が集中する傾向。
低価格帯(下位10都市):
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所沢、宇部、津、浦安、日立、仙台、小山、柏、徳島、金沢→ 首都圏や中堅都市が多く、ネット流通や激戦価格が影響。
前年同月比の増減傾向から見る異常値と価格変動要因
価格全体の前年比平均は-1.803%とやや下落傾向にありますが、局地的には大幅な増減が見られます。
大幅上昇の都市例
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旭川:+25.42%
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山口:+35.96%
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甲府:+17.51%
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盛岡:+15.39%
これらは以下の要因と関連が深いと推察されます:
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寒冷地需要の高まり(北海道・東北・山陰など)
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中高級布団の販売強化や買い替え需要
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インバウンドや観光客向け高品質商品流通の影響
大幅下落の都市例
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浦安:-57.57%
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金沢:-47%
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仙台:-33.58%
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津:-17.27%
これらは以下の要因が考えられます:
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アウトレット品や格安PB商品の普及
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生活防衛志向による廉価商品の需要増
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地域特性としての通販利用比率の高さ
布団価格を左右する構造的要因
季節性と気候差
布団は、地域ごとの気候(特に冬の寒さ)に大きく影響されます。旭川や盛岡など寒冷地では、厚手・保温性の高い布団が求められるため、必然的に価格も高くなりやすいです。
流通チャネルの違い
都市部ではネット通販の普及により、価格競争が激しく、実店舗販売主体の地方と比べて平均価格が低く出やすい傾向があります。
高齢化と買い替えサイクルの変化
人口高齢化に伴い、「長く使える高品質な布団」へのシフトが進んでいます。1方で、若年層では「安くてすぐ捨てられるもの」を選ぶ傾向が強まり、世代間で明確に価格帯が異なっています。
近年の問題点と布団業界の課題
輸入製品の台頭と国産ブランドの苦境
低価格帯布団の多くは中国やベトナム製。国内生産は品質で差別化を図るものの、コスト高で価格競争では劣勢になりがちです。
安価な素材による品質劣化
価格下落の裏で、詰め物の質や縫製が劣る製品が市場に増加。これにより、「布団=すぐへたるもの」というネガティブイメージが形成され、長期的には業界全体の価値毀損を招いています。
購買判断の難しさ
布団はスペックがわかりにくく、「価格と価値の相関」が見えづらい商品です。そのため、消費者が価格だけで選びやすくなり、安かろう悪かろうの傾向が強まるという悪循環が起きています。
今後の布団価格の見通しと期待される変化
地域2極化の加速
寒冷地や観光需要のある地域では、今後も高品質・高価格帯の布団需要が安定して続く見込みです。逆に、都市部や若年層中心の地域では、軽量・低価格帯が主流となり、価格差はさらに開くと考えられます。
新素材・新技術の導入
軽量で高保温、洗濯機でも洗えるなどの新素材布団の登場は、布団市場の構造を変える可能性があります。価格はやや上がるが、機能とのバランスで納得感が高まれば消費は活性化するでしょう。
定期サブスクやリースなど新ビジネスモデル
特に都市部では「買い切り」から「定期交換型の布団利用(サブスク)」へのニーズが今後拡大する可能性があります。こうしたサービスは価格の“見える化”を促進し、価格帯の標準化にもつながります。
政策と市場支援による今後の対応策
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国産布団への品質認証制度の整備:差別化の明確化と価格の正当化。
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リサイクル促進・補助金制度:環境負荷低減と消費者負担の軽減。
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価格ガイドラインの整備:小売価格と製品機能の相関を見せる啓発活動。
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