日本の小麦の作付け面積は1878年以降、変動を続けながら推移し、2023年時点では全国で23.17万ヘクタールとなっています。戦後の一時期には減少しましたが、近年は自給率向上を目的とした政策の影響で一定の水準を維持しています。収穫量は109.4万トンで、品種改良や栽培技術の進歩が寄与しています。特に北海道は全国の約6割を占め、高品質な小麦を生産。九州や関東・東山、東海・近畿も主要産地となっており、地域ごとに特色ある品種が栽培されています。
作物統計調査
作物統計調査は、毎年、耕地の状況、収穫量等を調査し、耕地面積、農作物の作付面積、収穫量、被害面積・被害量等を、全国、都道府県(主産県)別等に提供されています。
小麦の作付け面積の全国データ
全国 | 北海道 | 九州 | 関東・東山 | 東海 | 近畿 | 東北 | 中国 | 四国 | 北陸 | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 1942年 | 2023年 | 1961年 | 1961年 | 1962年 | 1962年 | 1958年 | 1958年 | 1962年 | 1958年 |
最新値[万ha] | 23.17 | 13.23 | 3.79 | 2.14 | 1.77 | 0.892 | 0.673 | 0.313 | 0.311 | 0.053 |
最大値[万ha] | 85.59 | 13.23 | 18.23 | 22.29 | 6.82 | 3.02 | 5.19 | 4.41 | 3.74 | 0.603 |
前年比[%] | 1.936 | 1.302 | 0.7979 | 2.885 | 1.724 | 5.189 | 6.825 | 6.102 | 9.123 | 33.17 |
全体比[%] | 100 | 57.1 | 16.36 | 9.236 | 7.639 | 3.85 | 2.905 | 1.351 | 1.342 | 0.2287 |
小麦の収穫量の全国データ
全国 | 北海道 | 九州 | 関東・東山 | 東海 | 近畿 | 東北 | 四国 | 中国 | 北陸 | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 1940年 | 2015年 | 1961年 | 1961年 | 1961年 | 1961年 | 1958年 | 1961年 | 1961年 | 1958年 |
最新値[万t] | 109.4 | 71.71 | 15.24 | 7.75 | 7.57 | 3.03 | 1.73 | 1.15 | 1.09 | 0.132 |
最大値[万t] | 179.2 | 73.1 | 43.63 | 72.27 | 17.64 | 7.35 | 13.55 | 9.42 | 12.23 | 1.06 |
前年比[%] | 10.12 | 16.75 | -8.248 | 6.019 | 9.078 | 0.6645 | 2.976 | 3.604 | -6.838 | 34.83 |
全体比[%] | 100 | 65.55 | 13.93 | 7.084 | 6.92 | 2.77 | 1.581 | 1.051 | 0.9963 | 0.1207 |
小麦の10a当りの収穫量データ
全国 | 北海道 | 東海 | 九州 | 四国 | 関東・東山 | 中国 | 近畿 | 東北 | 北陸 | |
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最新 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 | 2023年 |
最大期 | 2021年 | 2015年 | 2019年 | 2021年 | 2019年 | 1996年 | 2022年 | 2022年 | 1983年 | 1996年 |
最新値[kg] | 472 | 542 | 428 | 402 | 370 | 362 | 348 | 340 | 257 | 249 |
最大値[kg] | 499 | 596 | 429 | 465 | 438 | 447 | 397 | 355 | 304 | 400 |
前年比[%] | 8.009 | 15.32 | 7.268 | -9.05 | -4.884 | 3.134 | -12.34 | -4.225 | -3.745 | 1.22 |
全国比[%] | 100 | 114.8 | 90.68 | 85.17 | 78.39 | 76.69 | 73.73 | 72.03 | 54.45 | 52.75 |
小麦の農業についての推移と展望
小麦は日本の食文化において重要な穀物の一つであり、うどんやパン、菓子など幅広く利用されています。しかし、日本の小麦生産は国内需要を満たすには至らず、多くを輸入に依存しています。本稿では、小麦の作付け面積と収穫量の歴史的な推移、地域別の特色、最近の課題、そして今後の展望について解説します。
小麦の作付け面積と収穫量の推移
日本の小麦の作付け面積は1878年から長期的に変動しながら推移し、2023年時点では全国で23.17万ヘクタールとなっています。戦後の一時期には作付け面積が大幅に減少しましたが、国内自給率の向上を目的とした政策の影響で、近年では一定の水準を維持しています。収穫量は2023年時点で全国合計109.4万トンとなっており、収量の向上が見られます。これは品種改良や栽培技術の進歩による影響が大きいと考えられます。
地域別の小麦生産の特徴
(1) 北海道作付け面積は13.23万ヘクタールと全国の57.1%を占め、収穫量は71.71万トンで全体の65.55%を占めます。寒冷な気候を活かし、高品質な小麦品種が栽培されており、「きたほなみ」などの品種が知られています。
(2) 九州作付け面積は3.79万ヘクタール(16.36%)、収穫量は15.24万トン(13.93%)と全国2位の規模です。温暖な気候を活かし、耐暑性のある品種が育成されています。
(3) 関東・東山作付け面積は2.14万ヘクタール(9.24%)、収穫量は7.75万トン(7.08%)で、小麦のほか、二毛作としての栽培が多いのが特徴です。
(4) 東海・近畿東海地方の作付け面積は1.77万ヘクタール(7.64%)、収穫量は7.57万トン(6.92%)と安定した生産量を誇ります。近畿地方も同様に、小規模ながらも特徴ある小麦が生産されています。
(5) その他の地域東北、中国、四国、北陸地方では作付け面積および収穫量が比較的少ないものの、それぞれの地域に適した品種が栽培されています。
小麦生産の課題
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自給率の低さ国内の小麦需要を満たすには至らず、多くを輸入に依存しています。
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気候変動の影響異常気象による収量減や品質低下が懸念されており、特に台風や長雨の影響が大きい地域では安定生産が課題となっています。
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農業人口の減少高齢化や担い手不足が進行しており、小麦生産の持続性が問われています。
今後の展望と必要な技術
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品種改良の推進高収量で耐病性の強い品種の開発が求められています。
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スマート農業の導入ドローンやAIを活用した生産効率の向上が期待されます。
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耕作放棄地の活用未利用農地を活用し、小麦の生産拡大を図る取り組みが重要です。
おわりに
日本の小麦生産は多くの課題を抱えていますが、技術革新や政策支援により持続可能な発展が可能です。今後も国内生産の強化が求められます。
作付け面積と収穫量の推移


直近の作付け面積と収穫量の割合


10a面積当たりの収穫量と作況指数


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