2025年3月時点、日本の大都市における水道料金(月20立方メートル使用)の平均は2761円。札幌(3652円)や仙台(3553円)は平均より高く、大阪(2112円)や浜松(2156円)は大幅に安い。料金差の背景には、地理的要因、水源の確保コスト、人口密度、インフラの老朽化などがある。将来的には、設備更新や経営効率化により料金の適正化が進む可能性があるが、財政状況によっては値上げも懸念される。
小売物価統計
1カ月20m3使用の水道料金の高い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 札幌 | 仙台 | さいたま | 新潟 | 京都 | 横浜 | 相模原 | 神戸 | 岡山 | 福岡 |
最新値[円] | 2761 | 3652 | 3553 | 3289 | 3234 | 3014 | 3011 | 2988 | 2926 | 2882 | 2827 |
平均比[%] | 100 | 132.3 | 128.7 | 119.1 | 117.1 | 109.2 | 109 | 108.2 | 106 | 104.4 | 102.4 |
前年月同比[%] | 2.943 | 0 | 0 | 0 | 29.52 | 0 | 0 | 19.09 | 14.16 | 0 | 0 |
1カ月20m3使用の水道料金の低い都市
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 大阪 | 浜松 | 北九州 | 川崎 | 広島 | 名古屋 | 堺 | 東京都区部 | 静岡 | 千葉 |
最新値[円] | 2761 | 2112 | 2156 | 2200 | 2321 | 2398 | 2425 | 2464 | 2475 | 2607 | 2690 |
平均比[%] | 100 | 76.49 | 78.08 | 79.68 | 84.06 | 86.85 | 87.82 | 89.24 | 89.63 | 94.42 | 97.42 |
前年月同比[%] | 2.943 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
大都市水道料金の推移


詳細なデータとグラフ
大都市の水道料金現状と今後
2025年3月時点における日本の大都市における月間20立方メートル使用時の水道料金の全国平均は2761円である。この値を基準に、大都市の中で最も高額な都市は札幌市であり、月額3652円、全国平均の132.3%に達している。以下、仙台市(3553円、128.7%)、さいたま市(3289円、119.1%)、新潟市(3234円、117.1%)、京都市(3014円、109.2%)などが続く。
一方で、大阪市は2112円と最も安く、全国平均の76.49%にとどまっている。浜松市(2156円)、北九州市(2200円)なども比較的安価であり、都市間での料金格差は顕著である。
過去15年間の水道料金の推移
2010年から2025年にかけて、全体的に水道料金は緩やかに上昇傾向を示してきた。背景には、老朽化した水道管の更新費用の増加、人口減少に伴う水道使用量の減少による収益悪化、維持管理費の高騰などがある。
特に寒冷地の札幌や仙台、新潟などでは、凍結防止のための設備や修繕費が加わり、料金が高くなりやすい。また、山間部が多い都市では水源地からの取水や浄水にかかる費用が高いため、それが利用者負担に跳ね返っている。
都市間格差の要因
都市ごとの料金差の要因には以下の点が挙げられる:
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地理的要因:水源の距離や浄水・配水にかかるコストの違い
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インフラの老朽化状況:更新の頻度や必要性
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人口動態:人口が減少する地方では利用者が減るため、1人あたりのコストが上昇
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財政政策:自治体の補助制度や財政状況の差
これらの要因が複雑に絡み合い、料金に大きなばらつきが生まれている。
水道料金を巡る社会的課題
水道料金の上昇は、特に単身高齢者世帯や低所得世帯にとって生活コストの負担増につながっている。インフラ維持の必要性と、住民の支払い能力のバランスを取ることが行政に求められている。
また、近年は災害時の断水リスクや、水道民営化を巡る議論も関心を集めている。水の安全保障の観点からも、料金政策は重要なテーマとなっている。
今後の水道料金の見通しと対策
今後、全国的に水道料金は上昇基調が続くと予測されている。ただし、自治体によっては効率化や統合によるコスト削減の取り組みが始まっており、一部では値上げを抑える工夫も見られる。
技術革新による遠隔監視システムの導入や、漏水対策などが進めば、維持管理コストの抑制も期待できる。また、広域連携による事業統合も一つの解決策として注目されている。
まとめ
日本の大都市における水道料金は、地域ごとの地理的・財政的背景により大きな差が存在している。インフラ老朽化や人口減少の影響を受け、今後も料金は上昇が見込まれるが、技術や制度の改革により持続可能な水道サービスの確立が期待される。
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