2025年5月の大都市水道料金の平均は2,761円で、多くの都市が上昇傾向。新潟、相模原、神戸で急激な値上げが行われ、老朽化対策や財政健全化が背景にある。札幌・仙台は構造的に高水準が続き、都市ごとに明確な差が生じている。
1か月20立法メートルの水道料金相場
都市 | 最新値[円] | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|
平均 | 2761 | +2.943 | |
1 | 札幌 | 3652 | |
2 | 仙台 | 3553 | |
3 | さいたま | 3289 | |
4 | 新潟 | 3234 | +29.52 |
5 | 京都 | 3014 | |
6 | 横浜 | 3011 | |
7 | 相模原 | 2988 | +19.09 |
8 | 神戸 | 2926 | +14.16 |
9 | 岡山 | 2882 | |
10 | 福岡 | 2827 | |
11 | 千葉 | 2690 | |
12 | 静岡 | 2607 | |
13 | 東京都区部 | 2475 | |
14 | 堺 | 2464 | |
15 | 名古屋 | 2425 | |
16 | 広島 | 2398 | |
17 | 川崎 | 2321 | |
18 | 北九州 | 2200 | |
19 | 浜松 | 2156 | |
20 | 大阪 | 2112 |

詳細なデータとグラフ
大都市の水道料金現状と今後
水道料金は、地域の地理的条件、水源の確保・浄水設備の整備状況、自治体の補助制度の有無、老朽化インフラの更新費用などによって大きく左右されます。全国平均は2,761円(20㎥/月)であり、都市ごとに高低のばらつきが見られます。2025年には料金改定を行った自治体もあり、全体として前年比+2.943%と上昇傾向です。
札幌市 ― 厳寒地ならではの高コスト構造
札幌市(3,652円)は大都市の中で最も水道料金が高く、長年その水準を維持しています。降雪・凍結対策のために水道管や保温設備に多額の維持費がかかることが大きな要因です。また、広域分散型の都市構造により給水エリアが広く、ポンプ動力の電気代なども高くつきます。市民の節水意識は高いものの、料金はなかなか下がらない構造です。
仙台市 ― 東北の中心都市での安定的な高さ
仙台市(3,553円)は、札幌に次ぐ高水準で、比較的安定した料金推移を維持してきました。震災復興によるインフラ整備に加え、人口増による都市集中が水道需要を押し上げており、これに対応する投資が料金に反映されています。急激な値上げこそないものの、構造的に安くならない傾向です。
さいたま市 ― 地形と財政構造に影響される水道費
さいたま市(3,289円)も比較的高めの水準にあります。東京都に隣接し人口が集中しているにもかかわらず、地形上、遠方からの水源確保が必要なこと、老朽インフラの更新が続いていることがコスト増につながっています。今後も維持・更新費の負担が継続する見込みで、料金の横ばいまたは緩やかな上昇が予想されます。
新潟市 ― 突出した急上昇の背景
新潟市(3,234円)は、前年比+29.52%という非常に大きな上昇率を示しています。これは料金改定によるもので、水道事業の赤字解消や老朽化した施設の再整備、少子高齢化による需要減への対応などが背景にあります。従来は水源に恵まれた地域で比較的安価でしたが、近年は経営安定化を図るため価格が見直されています。
横浜市・相模原市 ― 同1地域内の異なる対応
横浜市(3,011円)と相模原市(2,988円)は似たエリアに位置していますが、相模原は前年比+19.09%と急激な上昇を示しており、これに対し横浜は横ばい。相模原では近年、老朽水道管の大規模更新事業が進行中で、その費用が料金に反映されたとみられます。1方、横浜市は従来から効率的な設備運営によりコスト圧縮を図っており、安定した価格設定が続いています。
京都市 ― 歴史都市のインフラ維持費
京都市(3,014円)は、歴史ある都市でありながらも水道料金は高めです。これは、古い地下配管が多く、景観や歴史的建造物との調和を図る工事にコストがかかるためです。観光地としての人口変動や給水需要の不安定さも、水道事業の安定収入を難しくしており、料金水準は今後も高止まりする可能性があります。
神戸市 ― 老朽インフラ更新による上昇圧力
神戸市(2,926円)は前年比+14.16%と大幅に料金が上昇しました。阪神・淡路大震災後のインフラ復旧が1段落した現在、今度はその再更新時期に入っており、新たな財政負担が発生しています。また、山間部に隣接する地形の制約もあり、配水にかかるエネルギーコストも料金に影響しています。
岡山市・福岡市 ― 中堅都市の水準
岡山市(2,882円)と福岡市(2,827円)は平均に近い水準に位置します。いずれも効率的な水源確保が可能であり、また市街地がコンパクトで配水効率が良いことが影響しています。ただし、福岡市では人口増による水需要の拡大が進んでおり、今後の設備増強の必要性により料金改定の可能性もあります。
第10総括 ― 水道料金の地域格差と将来の課題
2025年時点で大都市の水道料金は全国平均より高めに推移しており、インフラ老朽化、更新費用、都市構造の違いが料金に明確に表れています。特に新潟・相模原・神戸のように突発的な上昇が見られる都市は、水道事業の維持と住民負担のバランスを取る必要があります。今後は民営化・広域連携の議論も進む中、自治体の対応に注目が集まります。
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