【最新調査】日本の卸売・小売業の給与動向と深刻な格差問題

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日本の卸売・小売業における最新の平均給与は25.58万円で、過去最高の52.57万円と比較すると大幅に低下しています。特に、企業規模や雇用形態、男女間で給与格差が顕著です。男性の最大給与は76.97万円、女性は31.22万円と、女性の給与は男性の約40%にとどまります。また、一般労働者の最大給与85.25万円に対し、パートタイム労働者は11.85万円と、正規・非正規間の格差も深刻です。特に女性の非正規雇用が多く、給与水準の押し下げ要因となっています。

毎月勤労統計調査

毎月勤労統計調査全国調査は、日本標準産業分類に基づく16大産業の常用労働者5人以上の事業所を対象に、賃金や労働時間、雇用の変動を毎月把握する調査です。約190万事業所から抽出した約33,000事業所を対象に、名目賃金や実質賃金、労働時間などのデータを収集します。2012年から最新のデータを含め労働者数や給料のデータをグラフ化しています。

 

卸売・小売業の男女別、雇用別データ

全体平均 一般労働者 男性計 女性計 パートタイム労働者
最新 2025年1月 2024年12月 2024年12月 2024年12月 2024年12月
最大期 2024年12月 2024年12月 2024年12月 2024年12月 2024年12月
最新値[万円] 25.58 85.25 76.97 31.22 11.85
最大値[万円] 52.57 85.25 76.97 31.22 11.85
前月比[%] -51.35 109.2 108.5 63.05 10.59
前年同月比[%] -0.1546 5.317 4.197 6 6.14

卸売・小売業の従業員数規模別データ

1000人以上 500-999人 100-499人 30-99人 5-29人
最新 2024年12月 2024年12月 2025年1月 2025年1月 2025年1月
最大期 2024年12月 2018年12月 2024年12月 2023年12月 2024年12月
最新値[万円] 154 83.23 29.1 25.64 22.59
最大値[万円] 154 99.65 72.11 50.7 41.19
前月比[%] 169.7 127.4 -59.65 -47.76 -45.15
前年同月比[%] 2.273 -8.722 -8.548 4.921 0.204

卸売・小売業の給与総額の傾向

日本の卸売・小売業における最新の給与データでは、5人以上の事業所における平均給与は 25.58万円 となっています。過去の最大値である 52.57万円 と比較すると、大幅に低下しており、業界全体で給与水準の停滞が見られます。特に、給与の伸び悩みは企業規模や雇用形態、男女間の違いによって顕著に表れています。

2. 男女別の給与の特徴

卸売・小売業においては、男女間の給与格差が依然として大きい状況です。

  • 男性の最大給与: 76.97万円
  • 女性の最大給与: 31.22万円

女性の給与は男性の約40%程度にとどまっており、特にパートタイム労働者としての雇用が多いため、平均給与の押し下げ要因になっていると考えられます。小売業では女性の就業割合が高いにもかかわらず、管理職や高賃金のポジションへの進出が限定的である点が課題となっています。

3. 雇用形態別の給与の特徴

卸売・小売業では、正規雇用とパートタイムの給与格差が顕著 です。

  • 一般労働者の最大給与: 85.25万円
  • パートタイム労働者の最大給与: 11.85万円

パートタイム労働者の給与は、一般労働者の 約14% ほどであり、非常に低い水準となっています。これは、小売業における非正規雇用の比率が高く、フルタイムの正社員に比べて時給が低いことが影響していると考えられます。

4. 企業規模別の給与の特徴

企業規模によっても給与の差が顕著に表れています。最新の給与データでは、

  • 1000人以上の企業: 154万円
  • 500-999人の企業: 83.23万円
  • 100-499人の企業: 29.1万円
  • 30-99人の企業: 25.64万円
  • 5-29人の企業: 22.59万円

大企業ほど給与水準が高く、特に 1000人以上の企業では、他の規模と比べて圧倒的に高い 給与が支払われています。これは、福利厚生の充実や、より高い付加価値を生み出せる経営基盤があることが影響していると考えられます。一方で、小規模企業(5-29人)では給与が低く、従業員の待遇改善が課題となっています。

5. 給与の変動と今後の展望

卸売・小売業の給与は、企業規模や雇用形態、男女間で大きな格差が存在し、業界全体の低賃金問題が顕在化しています。今後の給与推移については、以下の点が期待されます。

  1. 最低賃金の引き上げによる給与改善 政府による最低賃金の継続的な引き上げが進んでおり、小売業界においてもパートタイム労働者の給与が上昇する可能性があります。

  2. 人手不足による賃金上昇圧力 人口減少により労働力の確保が難しくなり、企業は給与を引き上げざるを得ない状況になると予想されます。特に、小規模企業では人材確保のために賃金を上げる動きが出る可能性があります。

  3. 女性やパートタイム労働者の待遇改善 女性の管理職登用やパートタイム労働者の正社員化が進めば、全体の給与水準の底上げが期待されます。

  4. デジタル化による生産性向上と給与への反映 EC化やAI・自動化技術の導入が進むことで、業務効率が向上し、給与へ還元される可能性があります。

6. 課題と今後の改善策

卸売・小売業の給与水準を向上させるためには、以下のような対策が求められます。

  • 賃金格差の是正(男女間・企業規模間の差の縮小)
  • 非正規雇用者の待遇改善(パートタイム労働者の賃金引き上げ)
  • 中小企業の生産性向上(デジタル化・業務効率化の推進)
  • キャリアアップ支援(女性の管理職登用、資格取得支援)

今後、卸売・小売業の給与水準がどのように推移するか注目されますが、企業の賃金戦略と政府の政策によっては、改善の可能性が十分にあると言えるでしょう。

卸売・小売業の給料の推移

男女別・雇用別給与総額
企業規模別給与総額

卸売・小売業の特別給与の推移

男女別・雇用別の特別給与
企業規模別の特別給与

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