不動産業の平均給与は35.02万円で前年比1.7%増と緩やかな伸び。男女差が依然大きく、男性は約40万円、女性は26万円台。パート給与は11.6%上昇し、待遇改善が進行。今後は金利動向とデジタル化が給与に影響を与える見通し。
男女別の給料の推移
最近の給料データ
合計 | 一般労働者 | 男性計 | 女性計 | パートタイム労働者 | |
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最新 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 | 2025年1月 |
最大期 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 |
最新値[万円] | 35.02 | 40.97 | 40.74 | 26.23 | 11.62 |
最大値[万円] | 79.8 | 95.54 | 95.3 | 54.46 | 12.84 |
前年同月比[%] | 1.718 | 0.5979 | 0.5601 | 6.145 | 11.64 |
不動産業の給料の推移


詳細なデータとグラフ
日本の全産業の労働者数の特徴
不動産業は景気動向や金利環境に大きく左右される業種であり、給与水準もこれに連動しやすい特徴を持ちます。最近は物価上昇や都市再開発の影響を受けつつ、従業員構成や雇用形態の多様化も進んでいます。
全体の給与水準と推移
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平均給与(5人以上計):35.02万円
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前年同月比:+1.718%
不動産業の平均給与は他の業種と比べて中間水準にあり、ここ1年の上昇率は控えめな伸びです。これは業績の地域差・企業規模の差が大きく、給与に反映されにくいことが背景にあります。
雇用別の特徴と課題
一般労働者(正社員)
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平均給与:40.97万円(前年比 +0.5979%)
営業職や管理職を中心とした正社員層は、不動産取引件数や仲介報酬に応じた歩合制や成果給が多く、企業や支店単位で給与の差が大きいのが特徴です。業績が停滞する局面では給与が伸び悩みがちです。
パートタイム労働者
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平均給与:11.62万円(前年比 +11.64%)
パートの給与は前年同月比で大幅上昇しています。背景には物価高を反映した時給引き上げや、来客対応・データ入力業務などの人手不足による採用強化があります。
男女別の給与差と要因
男性労働者
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平均給与:40.74万円(前年比 +0.5601%)
主に営業職や契約交渉を担う男性が中心で、業績連動型の報酬体系が根強く残っており、高額報酬を得る層とそうでない層の格差も大きいことが特徴です。
女性労働者
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平均給与:26.23万円(前年比 +6.145%)
女性の給与は全体水準より約14万円低く、依然として大きなジェンダー格差が存在します。ただし、前年比6%以上の増加が示すように、女性の営業職登用や契約担当への配置転換が進みつつあります。
不動産業界の構造的背景と給与形成の特徴
不動産業の給与体系は、他業種と比べても成果主義・歩合給の比率が高く、景気の波や取引件数の動向に敏感です。また、都市部と地方部、マンション分譲業と仲介専門など業態の違いによって給与のばらつきが非常に大きい点も特徴です。
今後の給与動向の展望と課題
景気・金利環境と連動した推移
2024年末からの住宅ローン金利引き上げ予測や物件価格の上昇は、取引件数減少を招く可能性があり、給与上昇は鈍化する見通しです。一方で、富裕層向けや法人契約の需要が下支えになる場合もあります。
女性活用と賃金是正の期待
人手不足を背景に、女性営業職や管理部門での活躍が進めば、平均給与の底上げが期待されます。育児支援や柔軟な勤務体系の導入が鍵となるでしょう。
非正規の待遇改善と業務のデジタル化
パート層の時給上昇は今後も続く見込みですが、事務業務のAI・RPA化により、雇用構造自体の変化も予測されます。単純作業中心の職種は削減方向に進む可能性もあります。
まとめ
不動産業の給与は成果主義に基づきながらも、地域差・性別・雇用形態による格差が大きい構造的課題を抱えています。今後は、業務効率化と人材多様化に向けた変革が、給与水準と働き方の両面で問われるでしょう。
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