全国のイチゴ市場では、広島・横浜・沖縄が高価格帯を形成し、東京都・大阪市が卸数量で優位。品種の高級化や観光需要が価格を押し上げている一方、輸送コストや作柄変動も価格に影響。スマート農業の進展と輸出戦略が今後の鍵。
イチゴの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 主要比 | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|---|
主要市場 | 1533 | 100 | -0.37 | |
1 | 広島市 | 1767 | 115.2 | -8.903 |
2 | 横浜市 | 1760 | 114.8 | -13.8 |
3 | 沖縄県 | 1741 | 113.5 | +40.63 |
4 | 札幌市 | 1666 | 108.6 | -3.644 |
5 | 東京都 | 1665 | 108.6 | -1.339 |
6 | 金沢市 | 1637 | 106.7 | +31.58 |
7 | 仙台市 | 1626 | 106.1 | -1.971 |
8 | 名古屋市 | 1536 | 100.2 | -5.768 |
9 | 大阪市 | 1534 | 100 | +5.162 |
10 | 京都市 | 1353 | 88.26 | +3.093 |
11 | 高松市 | 1037 | 67.65 | +2.937 |
12 | 神戸市 | 1019 | 66.46 | -12.08 |
13 | 福岡市 | 873.3 | 56.96 | -22.9 |
14 | 北九州市 | 751 | 48.98 | -8.859 |
市場価格の推移

全国の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 主要比 | 前年同月比[%] | |
---|---|---|---|---|
主要市場 | 0.523 | 100 | +5.444 | |
1 | 東京都 | 0.191 | 36.52 | -5.911 |
2 | 大阪市 | 0.106 | 20.27 | +23.26 |
3 | 名古屋市 | 0.042 | 8.031 | +2.439 |
4 | 福岡市 | 0.037 | 7.075 | +12.12 |
5 | 札幌市 | 0.031 | 5.927 | +40.91 |
6 | 京都市 | 0.028 | 5.354 | -3.448 |
7 | 広島市 | 0.018 | 3.442 | -21.74 |
8 | 高松市 | 0.015 | 2.868 | |
9 | 神戸市 | 0.015 | 2.868 | |
10 | 仙台市 | 0.013 | 2.486 | |
11 | 横浜市 | 0.012 | 2.294 | +33.33 |
12 | 北九州市 | 0.01 | 1.912 | +150 |
13 | 金沢市 | 0.002 | 0.382 | +100 |
14 | 沖縄県 | 0 | 0 |
卸売数量の推移

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詳細なデータとグラフ
イチゴの卸売り市場の現状と今後
2025年6月現在、全国の主要市場におけるイチゴの平均価格は1,533円/kgと高水準を維持しています。中でも、広島市(1,767円/kg)、横浜市(1,760円/kg)、沖縄県(1,741円/kg)などがトップクラスに位置しています。
1方、卸売数量では東京都(0.191kt)、大阪市(0.106kt)が突出して多く、これらの大都市は消費の中心地であり続けていることが伺えます。
価格と数量の長期的推移とその特徴
イチゴは年間を通じて流通される果実ですが、旬の時期である冬から春先にかけては特に需要が集中し、市場価格も高騰しやすい傾向にあります。
2008年から2025年にかけて、価格は季節的変動を保ちつつ緩やかに上昇。1方で数量は天候や品種の切り替え、新規栽培地域の登場に応じて変動が大きく、近年は安定的な供給と高品質志向が進んでいます。
都市別の価格・数量の特徴
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広島市・横浜市・沖縄県は価格上位。特に沖縄は+40.63%の急騰を記録し、物流コストや地場流通の少なさが影響していると考えられます。
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金沢市(+31.58%)や大阪市(+5.162%)は価格上昇傾向にあり、観光地・贈答需要の影響が考えられます。
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1方、横浜市(-13.8%)・広島市(-8.903%)など1部地域では価格が大きく下落。需給バランスや前年の高騰からの反動も影響しているとみられます。
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数量では、東京都・大阪市・名古屋市が大きなシェアを持ち、安定した流通体制と消費地としての規模が反映されています。
価格高騰の要因と背景
イチゴの価格は以下の要因によって左右されます:
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品種の高級化:ブランドいちご(例:あまおう、スカイベリー、紅ほっぺなど)の普及により、単価は年々上昇。
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贈答・観光需要:地方都市でも百貨店・観光施設での需要が高まり、価格に反映。
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流通・輸送コスト:都市間・離島への輸送費や人件費の上昇が、小規模市場では価格に転嫁されやすい。
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天候による作柄変動:2025年春は1部産地で気温の急上昇があり、作柄への影響が見られた。
イチゴ生産の現状と今後の展望
イチゴの主な生産地は栃木県、福岡県、熊本県、静岡県などで、近年はハウス栽培の高度化が進み、季節外の供給力も高まりました。
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ICTやAIを活用したスマート農業が普及しつつあり、品質と収量の安定が見込まれます。
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1方で、高齢化や後継者不足による生産者減少も見られ、集約化・大規模化へのシフトが進んでいます。
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今後は国内需要だけでなく、東アジア市場への輸出強化も検討されており、高単価を維持しながら市場の拡大が期待されます。
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