2025年4月時点での全国のだいこん価格は平均117.5円/kgと前月比・前年比ともに大きく下落しています。特に福岡市では80.33円/kgと最安値を記録し、札幌市や沖縄県など遠隔地では価格が高止まりする傾向が見られます。流通コストや需給バランス、気象条件の影響が要因です。今後は夏場の端境期による価格回復の可能性がある一方、需要減や天候不安定による下落圧力にも注意が必要です。
だいこんの卸売り市場価格
だいこんの高い順
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 札幌市 | 沖縄県 | 金沢市 | 仙台市 | 神戸市 | 名古屋市 | 東京都 | 主要市場 | 横浜市 | 大阪市 |
最新値[円/kg] | 117.5 | 153.7 | 145 | 138.3 | 134.7 | 126 | 118.3 | 117.3 | 114.7 | 114 | 111.3 |
前月比[%] | -19.67 | -8.164 | -6.252 | -16.83 | -16.53 | -26.74 | -22.15 | -18.9 | -19.43 | -16.38 | -23.75 |
前年同月比[%] | -12.81 | -19.41 | -7.247 | -16.83 | -10.42 | -15.05 | -12.56 | -12.66 | -12.69 | -17.39 | -11.41 |
だいこんの安い順
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 福岡市 | 北九州市 | 広島市 | 京都市 | 高松市 | 大阪市 | 横浜市 | 主要市場 | 東京都 | 名古屋市 |
最新値[円/kg] | 116.9 | 80.33 | 94 | 100.3 | 105.7 | 108.7 | 111.3 | 114 | 114.7 | 117.3 | 118.3 |
前月比[%] | -19.07 | -25.62 | -21.67 | -21.62 | -24.34 | -30.04 | -23.75 | -16.38 | -19.43 | -18.9 | -22.15 |
前年同月比[%] | -12.63 | -18.03 | -3.424 | -11.47 | -10.2 | -8.164 | -11.41 | -17.39 | -12.69 | -12.66 | -12.56 |

だいこんの推移


最新の価格データ

その他のデータとグラフ
だいこんの価格についての推移と展望
だいこんは日本の主要野菜の一つで、通年流通される一方、冬場に旬を迎える季節性の強い品目です。2008年以降、価格は気象災害や生産過剰、需要変動によって大きく左右されてきました。一般に、冬期は価格が下がりやすく、夏季は出荷量が減るため価格が上昇する傾向にあります。
過去のトレンドでは、極端な価格高騰よりも、供給過多による価格下落の方が頻繁に起こっており、特に暖冬や好天によって豊作となった年には卸売価格が著しく下がる傾向が確認されています。
2025年4月の価格下落の要因分析
直近2025年4月の全国平均価格は117.5円/kgで、前月比-19.67%、前年同月比でも全都市が軒並み2桁減少しています。これは以下のような要因が複合的に関係していると考えられます:
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気象条件の影響:春先の気温上昇で成育が順調だったことで、出荷量が増加し、供給過多に。
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消費の伸び悩み:季節の変わり目で鍋物需要が減少し、需要がやや落ち込む時期に当たる。
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流通コスト安定:エネルギー価格の落ち着きによる輸送費の安定が、価格維持圧力を弱める要因に。
地域別価格の特色と構造的背景
●高値地域の特徴
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札幌市(153.7円/kg)、沖縄県(145円/kg)遠隔地であることによる物流コストの高さが価格に反映されやすく、地域内生産だけでは需要を満たせず、本州からの供給に依存する割合も大きいため価格が高止まりします。
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金沢市、仙台市などの地方都市(130円台)局地的な需要と供給のバランスによって中程度の価格帯を維持していますが、気象による変動が大きいのも特徴です。
●低値地域の特徴
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福岡市(80.33円/kg)、北九州市(94円/kg)九州北部はだいこんの生産地でもあり、地元産の供給が豊富なため価格が抑えられています。また、広域流通に依存せず、鮮度の良い地場品が市場に出回るため、安価で安定しやすいです。
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関西圏(大阪市111.3円/kg、京都市105.7円/kg)都市近郊に流通拠点があり、物流効率が高いため価格が比較的低く、関東に比べて安値で推移する傾向があります。
今後の価格動向と注視すべき要因
●夏季に向けての上昇要因
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夏場は全国的に「端境期」となり、だいこんの出荷量が減る傾向があるため、供給減少に伴う価格上昇が期待されます。
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北日本の冷涼地からの夏だいこんの出荷が本格化する6~7月頃にかけては、市場価格の持ち直しが見込まれます。
●下落圧力のリスク
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近年の健康志向や食生活の変化により、だいこんの消費量自体が長期的には漸減傾向にあること。
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さらに2025年は全国的に温暖傾向が続いており、露地栽培の早出し出荷が増加する可能性もあり、再び価格が抑えられる局面があるかもしれません。
政策的・構造的視点からの課題と展望
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需給調整の難しさ:露地栽培中心のだいこんは天候の影響を強く受け、適切な作付け調整が難しい。
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価格安定制度の限界:生産者の経営を守るには、現在の価格安定制度ではカバーしきれない局面も。
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高齢化・後継者不足:地方の生産者の高齢化が進み、収量・品質の維持が困難になるリスクも無視できません。
まとめ
全国のだいこん価格は、地域ごとに物流事情や需給バランスによって大きな差が見られ、特に2025年4月時点では需給緩和による価格の急落が顕著です。ただし、季節の変化や生産調整によって夏以降の価格回復も見込まれます。今後は気候変動や消費動向を含めた多面的な分析が必要とされ、持続的な供給と価格の安定には行政・流通業者・生産者の連携が欠かせません。
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