2025年6月の全国主要市場におけるだいこんの平均価格は111.7円/kgで、沖縄県や神戸市では150円超の高値を記録。一方、数量は多くの都市で前年同月比マイナスとなっており、供給減と物流コストの上昇が価格高騰の主因とみられる。今後は冷涼地の活用や契約栽培が鍵。
だいこんの市場価格
市場 | 卸売価格[円/kg] | 主要比 | 前年同月比[%] | |
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主要市場 | 111.7 | 100 | +18.38 | |
1 | 沖縄県 | 156 | 139.7 | +22.19 |
2 | 神戸市 | 148.7 | 133.1 | +25.28 |
3 | 高松市 | 139.7 | 125.1 | +32.6 |
4 | 大阪市 | 123 | 110.1 | +16.4 |
5 | 金沢市 | 117.7 | 105.4 | +9.288 |
6 | 名古屋市 | 117.3 | 105.1 | +16.17 |
7 | 北九州市 | 116.7 | 104.5 | +24.12 |
8 | 仙台市 | 115.7 | 103.6 | +27.11 |
9 | 東京都 | 114.3 | 102.4 | +22.94 |
10 | 横浜市 | 113.3 | 101.5 | +15.64 |
11 | 広島市 | 107.3 | 96.11 | +15.41 |
12 | 札幌市 | 99.67 | 89.25 | +3.103 |
13 | 京都市 | 92.67 | 82.98 | +13.47 |
14 | 福岡市 | 91.33 | 81.79 | +16.6 |
市場価格の推移

全国の卸売数量
市場 | 卸売数量[kt] | 主要比 | 前年同月比[%] | |
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主要市場 | 15.85 | 100 | -5.259 | |
1 | 東京都 | 5.975 | 37.69 | -9.825 |
2 | 大阪市 | 1.807 | 11.4 | -2.535 |
3 | 名古屋市 | 1.311 | 8.27 | -10.27 |
4 | 札幌市 | 1.293 | 8.157 | +21.75 |
5 | 横浜市 | 1.276 | 8.049 | +5.892 |
6 | 福岡市 | 1.185 | 7.475 | -4.972 |
7 | 京都市 | 1.107 | 6.983 | -11.86 |
8 | 広島市 | 0.468 | 2.952 | -3.505 |
9 | 仙台市 | 0.455 | 2.87 | -6.186 |
10 | 金沢市 | 0.272 | 1.716 | +16.24 |
11 | 北九州市 | 0.208 | 1.312 | -24.36 |
12 | 神戸市 | 0.203 | 1.281 | -9.778 |
13 | 高松市 | 0.178 | 1.123 | +2.299 |
14 | 沖縄県 | 0.117 | 0.738 | -18.75 |
卸売数量の推移

カテゴリー
詳細なデータとグラフ
だいこんの卸売り市場の現状と今後
2025年6月の全国主要市場でのだいこんの平均価格は111.7円/kg。その中でも高値を記録した都市は以下の通りです:
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沖縄県:156円/kg(前年比 +22.19%)
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神戸市:148.7円/kg(+25.28%)
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高松市:139.7円/kg(+32.6%)
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大阪市:123円/kg(+16.4%)
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金沢市:117.7円/kg(+9.29%)
1方で、卸売数量が多い都市は:
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東京都:5.975kt(前年比 -9.83%)
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大阪市:1.807kt(-2.54%)
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名古屋市:1.311kt(-10.27%)
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札幌市:1.293kt(+21.75%)
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横浜市:1.276kt(+5.89%)
つまり、価格は軒並み上昇傾向にある1方で、数量は都市によってまちまちとなっているのが現状です。
価格と数量の長期的推移
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2008〜2015年:全体的に価格は安定(80〜100円/kg)し、数量も平準的に推移。
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2016〜2020年:1部都市で気象災害(台風・大雪)の影響により価格の変動幅が拡大。
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2021〜2023年:コロナ禍により外食産業向け需要が落ち込み、1時的に価格が下落。
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2024〜2025年:異常気象と物流費上昇の影響で価格が急上昇、1方で数量は都市ごとにばらつきが目立つ。
都市別の特徴と傾向
沖縄県高温・高湿環境のため地場産は限定的。主に本州や9州からの輸送に依存し、輸送コストが上乗せされ高価格に。数量は安定傾向だが、物流制約に弱い。
神戸市・大阪市・高松市近畿・4国圏の広域消費地として、他地域からの流通量が多い。業務用需要も堅調で、供給不足時には価格が急上昇する。
東京都・横浜市国内最大級の取扱量を誇るが、近年は数量が減少傾向。高齢化や農地転用などにより、関東周辺の地場生産が減少しているのが影響。
札幌市・仙台市寒冷地だが、冷涼な気候を活かした春夏だいこんの生産が回復傾向。札幌では数量が前年比+21.75%と大きく増加しているのが特徴的。
価格高騰の背景要因
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異常気象:2025年春は暖冬傾向だったが、4月以降の急激な乾燥で生育遅延。
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輸送コストの増加:トラックドライバー不足や燃料費高騰により、遠距離輸送の価格転嫁が顕著。
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生産農家の減少:高齢化と新規就農者不足により、作付面積の減少が全国的に続く。
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消費の個食化:大根1本単位での消費が減り、カット品・加工品への転換が進行。これにより、市場出荷される丸物の数量が減少傾向。
だいこん生産の今後の展望
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契約栽培の拡大:安定供給を実現するため、量販店や加工業者との契約栽培が拡大傾向。
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冷涼地の再評価:北海道や東北の春夏だいこんは、高温障害を回避できるため需要が高まりつつある。
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輸出対応の強化:香港・台湾などアジア圏への輸出ニーズが拡大しており、高品質なブランドだいこんの育成が進む。
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ICT農業の導入:水管理・肥培管理の自動化が進みつつあり、生産性向上に期待。
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