掃除機の年齢別支出は中高年層(45〜54歳)をピークに高水準を示し、特に45〜49歳が最も高額。一方で、35〜44歳などの若年層では支出減が目立つ。高齢層の一部では支出が回復傾向にあるが、60代は減少。世代別のライフスタイルや世帯構成、家事負担の変化が背景にあり、今後は高機能製品の選別消費が進み、二極化の傾向が強まると予測される。
年齢別の掃除機
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 45~49歳 | 45~54歳 | 50~54歳 | 40~49歳 | 50~59歳 | 40~44歳 | 75~79歳 | 65~69歳 | 35~44歳 | 60~69歳 |
最新値[円] | 348.3 | 619 | 581 | 551 | 529 | 433 | 410 | 383 | 355 | 349 | 346 |
前年月同比[%] | -15.3 | +7.652 | +3.197 | -0.542 | +0.57 | -21.13 | -10.68 | +32.07 | +5.97 | -16.11 | -6.233 |
これまでの年齢別の推移


詳細なデータとグラフ
年齢別の現状と今後
掃除機の支出は、ただの「家電費用」ではなく、世代ごとの住環境、家事への関与、健康意識、収入の安定度、そして価値観までも反映する生活消費の鏡です。今回の2015年1月~2025年3月の統計を通じて、年齢層ごとの掃除機支出の傾向と背景を分析し、今後の動向を考察します。
最新の年齢別支出データの概要
2025年3月時点での全体平均支出は348.3円。支出の多い世代から順に並べると以下の通りです:
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45~49歳:619円(+7.652%)
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45~54歳:581円(+3.197%)
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50~54歳:551円(-0.542%)
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40~49歳:529円(+0.57%)
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50~59歳:433円(-21.13%)
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40~44歳:410円(-10.68%)
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75~79歳:383円(+32.07%)
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65~69歳:355円(+5.97%)
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35~44歳:349円(-16.11%)
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60~69歳:346円(-6.233%)
この一覧から分かるのは、中年層(40~54歳)において支出が突出していること、また高齢層と若年~中年初期層では増減に差があるということです。
中年層(40~54歳)の支出増加の背景
この世代は最も掃除機支出が高い層であり、その背景には以下の要因があります:
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住宅ローン世代:持ち家率が高く、床面積が広いため掃除の頻度・範囲が増す。
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子育て中or子の独立直後:生活空間が頻繁に汚れ、掃除が必要。
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経済的余裕と実用主義のバランス:高機能モデル(コードレス、ロボット型など)を導入する傾向。
またこの世代は「掃除=家庭の清潔維持」という責任感も強く、家電に対して価格よりも性能を重視する傾向があります。
高齢層(65歳以上)の支出傾向と急増の要因
特に75~79歳層の+32.07%増加は注目に値します。要因としては:
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在宅時間の長期化:高齢者ほど自宅で過ごす時間が長く、清掃の重要性が高まる。
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健康志向の高まり:アレルゲン対策や転倒防止の観点から、掃除環境の改善に前向き。
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軽量・自動型掃除機の普及:重たい掃除機からコードレスやロボット掃除機へ移行しやすくなった。
年金暮らしであっても「身体的な負担軽減」に対しては惜しまず投資する傾向がみられます。
若年~中年初期(35~44歳)の支出減少の背景
一方で、35~44歳層は-16.11%減少と支出が顕著に減っています。その理由は複合的です:
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共働き率の上昇:掃除の時間が限られ、手軽なフロアワイパー等に頼る傾向。
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賃貸暮らしが多く、部屋が狭い:大型家電へのニーズが少ない。
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サブスクやレンタル家電の利用拡大:所有から利用への移行が始まっている。
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ミニマリズムの浸透:汚さない・物を持たない生活を志向し、掃除自体の頻度が減少。
この層は支出余力が少なく、家電への投資優先度も低い傾向があります。
中高年層(50~59歳)の支出減少の理由
かつての「消費の主力層」である50代後半ですが、-21.13%の大幅減少は注目すべきです。背景には以下のような変化が考えられます:
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子育て終了後の生活縮小:生活の質より節約志向が優先される。
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掃除機の寿命の長期化:高性能モデルの導入により、買い替え頻度が減少。
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定年前の支出抑制モード:将来の不安から消費行動が縮小。
買い替えの谷間にあたるタイミングとも一致している可能性があります。
今後の予測と政策的含意
年齢別の支出傾向から、以下のような今後の動向が予測されます:
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中年層の高水準はしばらく続く:持ち家志向と清掃意識が高いため、需要は維持される。
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高齢層の支出は技術革新次第で伸びる:ロボット掃除機やIoT家電のさらなる進化が鍵。
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若年層は“所有しない時代”に突入:シェア家電やレンタル掃除機、コワーキング居住による清掃の外注化も視野。
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消費支出の“平準化”が進行する可能性:性能差が縮小し、支出が年齢差を超えて均一化する未来も。
行政やメーカーは、高齢層へのサポート商品(軽量・自動・簡単操作)の開発と、若年層へのシェアリングサービス推進が鍵となるでしょう。
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