2006年~2025年の役職別掃除機支出のデータをもとに、会社役員層は高性能製品への投資が続き、無職層は在宅時間増加などで支出が急増しました。雇用者層は節約志向やライフスタイルの変化により支出が減少。今後も職業ごとに分化した消費行動が進むと予想されます。
役職別の掃除機
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
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名称 | 平均 | 会社などの役員 | 無職 | 自営業主・その他 | 雇用されている人 |
最新値[円] | 308.8 | 632 | 301 | 198 | 172 |
前年月同比[%] | +60.33 | +90.94 | +296.1 | +171.2 | -39.01 |
これまでの役職別の推移


詳細なデータとグラフ
役職別の現状と今後
掃除機の支出と一口に言っても、それは単なる家電の購入や消耗品費に留まらず、その人の生活スタイル、価値観、職業的背景を反映する生活指標の一つです。特に、役職別に分けた支出の差は、所得、家事への関与度、生活空間の広さ、ライフサイクルといった複合的な要素と密接に関係しています。今回は2006年1月~2025年3月のデータをもとに、役職別掃除機支出の動向を読み解きながら、背景や今後の変化を見通します。
役職別支出の現況と過去の変化
最新データ(2025年3月時点)
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全体平均:308.8円
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会社役員:632円(+90.94%増)
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無職:301円(+296.1%増)
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自営業主・その他:198円(+171.2%増)
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雇用者:172円(-39.01%減)
この結果から浮かび上がるのは、特定の層で掃除機関連の支出が急増している一方、雇用されている層では大幅に減少しているという、二極化の傾向です。
会社役員層の特徴と支出傾向
会社役員は他の層と比較して圧倒的に支出が高く、632円と平均の約2倍。これは以下の要因に起因すると考えられます:
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高所得層による高機能家電志向:ダイソンやルンバといった高価格帯製品を積極的に購入。
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清掃業者の併用や家事外注との並存:自宅が広いため、掃除機を複数台使い分ける家庭も多い。
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健康やアレルゲン対策としての投資:空気清浄機能付き掃除機などの導入。
かつては専業の家政婦を雇う家庭もあったが、現在では「自動化」「スマート家電」に支出が移行しているとみられます。
無職層の急増の背景
無職層の支出が前年同期比+296.1%と驚異的な伸びを示していますが、これは主に次のような社会構造の変化が関係しています:
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定年退職後の高齢者世帯の増加:退職して「無職」に分類される世帯主が掃除を自ら担うようになった。
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在宅時間の増加による掃除頻度の上昇:外出機会の減少が室内環境への意識を高めた。
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健康志向の上昇:高齢者ほどホコリやアレルギーへの対策意識が強く、掃除機への投資も高まっている。
過去にはほとんど支出がなかった層であったことから、統計的に「率」の上昇が際立った形となっています。
自営業主・その他の支出の変化と課題
自営業主の支出は198円と中間的ながら、増加率は+171.2%。この層は以下の特徴を持ちます:
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在宅ワークの普及:事業所が自宅にあるケースが多く、清掃範囲が広がる。
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業務と生活空間の重複:清掃頻度が高く、業務用掃除機の購入も増加。
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経費処理の対象となるケースも:事業経費としての購入で、実質的な支出感覚は軽い。
ただし、収入の変動が激しい層でもあるため、長期的には景気動向に左右されやすい面があります。
雇用者層の支出減少の意味
唯一支出が減少したのが「雇用者」で、前年比で-39.01%。これは意外に見えるかもしれませんが、以下のような背景が考えられます:
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共働き世帯の増加による家事時間の減少
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掃除機以外の清掃手段の利用(フロアワイパー、ロボット掃除機への移行)
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ミニマリズム志向と物離れ:若年層を中心に、生活空間をあまり汚さないライフスタイルが浸透。
また、収入に対して生活コストの圧力が強くなり、非優先家電への支出が抑えられていることも示唆されます。
今後の予測と社会への示唆
役職別に見た掃除機支出の傾向は、今後さらに明確に分化していくと考えられます:
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会社役員層はスマートホーム対応製品や高性能ロボット掃除機へのシフトで支出が増加し続ける可能性が高い。
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無職・高齢者層は安定化傾向になるものの、補助金制度や介護支援家電などの普及が支出を維持。
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自営業層は景気感応的でありつつも、在宅事業の増加で中期的には支出がやや増加。
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雇用者層は節約志向が続き、シェア型やレンタル型掃除機の利用など、新たな「所有しない」形態にシフトする可能性がある。
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