2025年4月の掃除機の平均支出は2.861万円で、支出額は減少傾向だが購入世帯割合は増加中。中国地方などで高価格化が進む一方、全国的にはミドルレンジモデルへの需要が高まっている。高機能化と価格上昇が課題となる中、今後は最適化された機能やレンタルモデルの普及が期待される。
家計調査結果
掃除機の相場
掃除機支出の世帯割合
掃除機の推移


詳細なデータとグラフ
掃除機の家電現状と今後
2025年4月時点で、日本の世帯における掃除機の平均支出額は2.861万円となっており、家電としては中価格帯に位置します。地域別では、中国地方が3.377万円と最も高く、小都市A(3.077万円)、関東(3.053万円)がこれに続きます。1方、最も低いのは9州・沖縄(2.816万円)であり、地域間でおよそ0.5~0.6万円の差が見られます。
中国地方の高支出は、コードレス式やロボット型など高機能製品への移行が進んでいること、また買い替え時に1度に高額を支出する傾向が強い可能性があります。対照的に、9州・沖縄の支出が低い背景には、安価なスティック型やキャニスター型が根強く支持されていることが考えられます。
前年比の変化にみる市場の動揺と再構築
前年同月比で支出額を見ると、全国平均で-10.26%と減少しています。特に4国では-31.55%、中都市で-14.8%と顕著な下落が見られ、景気後退や物価上昇により高価格帯掃除機の購入が抑制されたと考えられます。
その1方で、9州・沖縄では+25.57%、大都市では+2.573%、小都市Bではわずかながら+0.0461%と増加しており、ロボット掃除機やスティック型高機能モデルの購入が進んだことが要因の1つと推測されます。家電の買い替えタイミングや地域ごとのライフスタイルの違いが、こうした支出のばらつきに表れているといえるでしょう。
購入世帯割合の増加にみる需要回復の兆し
掃除機を購入した世帯の割合は全国平均で1.075%、前年同月比で+17.12%の増加を示しており、全体の支出額が減少する1方で、購入自体は活発になっているという興味深い傾向がみられます。
特に中国(+74.47%)、中都市(+20.99%)、全国(+12.9%)で購入割合が伸びており、これは「ミドルレンジ製品の需要増」または「特価品や型落ちモデルへの需要集中」を示唆しています。逆に、北海道(-52%)や北陸(-30.7%)では大幅な減少が見られ、前年度の買い替えが1巡した影響か、世帯数や高齢化など地域構造が影響している可能性があります。
掃除機市場の課題—機能過多と消費者のミスマッチ
近年の掃除機市場では、以下のような課題が表面化しています:
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高機能化の加速 コードレス化、吸引力向上、静音設計、さらにはスマートフォン連携による清掃記録管理など、機能は多様化しています。しかしその分価格が上昇し、2万円台のスタンダードモデルが減少しつつあります。
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使用者層とのギャップ 高齢世帯や単身者は簡単・軽量・安価な製品を求める傾向があるにもかかわらず、市場には大型で複雑な製品が目立ち、機能の過剰感が消費者の満足度を下げることもあります。
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ライフスタイルの変化に対応しきれない点 共働きや在宅勤務の増加により「自動清掃」へのニーズは増していますが、その1方で「収納性」や「手入れの簡易さ」など、生活空間との調和も重視されており、このバランスを取る製品は依然として限られています。
今後の掃除機市場における期待と展望
今後の掃除機市場は、以下の方向での発展が期待されます。
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機能の最適化と価格の再調整 各社は、高機能・高価格から「必要十分な機能を搭載した中価格帯モデル」への回帰を進めるべきです。吸引力と軽量性の両立、紙パック不要など、家事の効率化に寄与する設計が今後主流になると考えられます。
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ロボット掃除機の普及加速 ロボット型掃除機は1部で定着しつつありますが、まだ価格と性能のギャップが課題です。より低価格で効率の良いエントリーモデルが増えれば、シニア層やファミリー層への浸透も進むでしょう。
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レンタル・サブスクモデルの登場 高額掃除機の「所有リスク」を避けるため、短期間のレンタルや定額制での利用が注目され始めています。季節ごとの使い分けや試用需要にも対応できるため、今後のビジネスモデルとして期待されます。
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