情報通信業の時給は2893円(前年比+2.5%)で、男女・雇用形態で格差がある中、女性・パート層の賃上げが顕著。今後はDX人材への需要拡大と非正規の待遇安定、男女平等の促進がカギとなる。
男女別の時給の推移
最近の時給データ
合計 | 男性計 | 一般労働者 | 女性計 | パートタイム労働者 | |
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最新 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2025年4月 | 2025年4月 |
最大期 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 | 2024年12月 |
最新値[円/時間] | 2783 | 2939 | 2818 | 2408 | 1582 |
最大値[円/時間] | 6323 | 6889 | 6503 | 4966 | 1868 |
前年同月比[%] | +0.3968 | -0.102 | -0.1063 | +2.425 | +5.467 |
情報通信業の時給の推移


詳細なデータとグラフ
日本の全産業の労働者数の特徴
情報通信業は、ソフトウェア開発、インターネットサービス、放送、通信インフラなどを含む産業で、デジタル社会を支える中核分野です。高度なスキルが求められる反面、業務の多様化や雇用形態の柔軟化が進んでいます。今回は最新の時給データから、業界全体・雇用形態別・男女別の傾向と課題を分析します。
業界全体の時給水準と傾向
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全体平均時給:2893円/時間(前年比 +2.589%)
情報通信業は全産業平均よりも高めの水準にありますが、電気・ガス・水道業と比較すると低めであり、年々の上昇率も緩やか(+2.5%)です。これは、専門職と補助的業務の混在、および業界内の格差の広さが要因とみられます。
雇用形態別の時給と課題
1般労働者(正社員等)
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2925円(前年比 +1.881%)
高度専門人材が多いにもかかわらず、上昇率は1.9%にとどまるのが特徴です。これは、業界の急成長により若手や中堅の人材が大量採用されていることが1因で、経験年数の浅い層の増加が全体の時給平均を抑えていると考えられます。
パートタイム労働者
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1663円(前年比 +10.65%)
非正規雇用の賃金上昇が顕著で、前年比で10%以上の上昇です。デジタル庶務、サポートデスク、データ入力などの職域拡大と、人材不足による時給引き上げ競争が背景にあります。今後もこの傾向は継続する可能性が高いです。
男女別の時給と特徴
男性労働者
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3056円(前年比 +1.63%)
男性の比率が依然として高く、エンジニアやマネジメント層を多く含むため時給水準は全体で最も高いですが、伸び率は最も低く1.6%にとどまります。成熟層の賃金水準が高止まりしており、全体の上昇を抑えています。
女性労働者
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2483円(前年比 +5.705%)
女性の時給は男性より約600円低いものの、前年比で+5.7%と大幅な上昇です。これは、女性エンジニア・ITサポート・事務職の採用拡大や、働き方改革による待遇改善の成果と見られます。男女格差の縮小が進んでいる兆候です。
業界特有の問題と構造的課題
スキル格差と待遇の2極化
情報通信業では、高スキルのエンジニア層(フルスタック、AI、セキュリティ等)と1般事務・サポート層の賃金差が大きいのが実情です。このスキル格差が、業界全体の時給平均の伸びを相殺する要因になっています。
非正規雇用者の待遇改善
パート層の急速な賃上げは、慢性的な人手不足に対する1時的対策とも考えられ、業務内容の高度化と雇用の安定化の両立が今後の課題となります。
女性比率の増加とキャリア形成支援
女性比率は近年上昇しており、キャリアアップ支援やリスキリングの推進が求められています。出産・育児と両立可能な柔軟な働き方の定着が進めば、時給水準と雇用の質の向上に寄与するでしょう。
今後の展望と予測
デジタル投資の継続と高度人材への需要
日本政府・民間企業ともにDX(デジタルトランスフォーメーション)を継続的に推進しており、高スキル人材の需要は引き続き拡大が予想されます。これにより、上位層の賃金は上昇傾向を維持するでしょう。
非正規層の安定雇用とキャリア形成
パート層の賃上げが進んだとはいえ、キャリア形成や福利厚生面では依然課題が多く、今後は「非正規→正規転換」や「スキル研修」の強化が重要です。
男女賃金格差のさらなる是正
男女格差は縮小傾向にありますが、依然として600円以上の差があります。女性エンジニアの育成支援や管理職への登用拡大が進めば、より均等な労働市場が形成される可能性があります。
まとめ
情報通信業の時給は2025年1月時点で平均2893円と高水準ですが、上昇率は2.5%と緩やかです。特に女性・パート層の時給上昇が目立ち、業界の多様化と柔軟化が進行中であることを示しています。今後は、スキルアップ支援・ジェンダー平等・雇用安定が成長の鍵となるでしょう。
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