応接セットの月間支出は世帯構成により差が大きく、世帯4人や就業者1人世帯で支出が多い傾向にあります。一方、就業者2人や高齢世帯では支出が減少しており、生活スタイルや経済的背景が影響しています。今後は住宅のコンパクト化やライフスタイルの変化により、応接セットの需要は縮小が見込まれますが、一部の世帯では機能性重視の買い替え需要が期待されます。
世帯別の応接セット
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | |
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名称 | 平均 | 世帯4人 | 就業者1人 | 世帯3人 | 世帯5人 | 就業者2人 | 就業者3人~ | 世帯2人 | 就業者0人 |
最新値[円] | 125.6 | 192 | 178 | 172 | 166 | 119 | 75 | 57 | 54 |
前年月同比[%] | -42.06 | +25.49 | +54.78 | -47.88 | +20.29 | -63.94 | -22.68 | -63.69 | -62.5 |
これまでの世帯別の推移


詳細なデータとグラフ
世帯別の現状と今後
応接セットは従来、家庭内で来客を迎えるための象徴的家具としての役割を担ってきました。かつては「応接間」の存在が生活のステータスを示す要素ともされ、世帯構成人数や経済的余裕により支出が変動してきました。しかし、生活様式の変化とともにその位置付けも大きく揺らぎつつあります。ここでは、2017年以降の世帯別データを基に、支出の傾向と背景、今後の展望について考察します。
支出の現状 ― 家族構成別に見る消費の差
最新のデータによると、1世帯当たりの応接セット月間支出の全国平均は125.6円となっており、世帯構成による違いが顕著です。
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最も支出が高いのは世帯4人(192円)で、家族の人数が多くなるほど家具の必要性が増し、来客対応や家族団らんの場としての応接空間が求められる傾向があります。
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次いで就業者1人世帯(178円)や世帯3人(172円)も比較的高く、これは就業者1人世帯においても来客や家族的空間を演出したいニーズがあることを示唆します。
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就業者2人以上の世帯では支出が減少傾向にあり、特に就業者2人(119円)、就業者3人以上(75円)では生活が多忙である一方、家具に割く時間や関心が低くなっている可能性が考えられます。
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世帯2人(57円)や就業者0人(54円)では支出が極端に少なく、高齢者世帯や収入の限られた家庭では応接セットが必須でないという意識が広がっています。
前年同期比の変化 ― 増減の背景を探る
前年同期と比べて、世帯ごとの支出増減が二極化しています。
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就業者1人の世帯が+54.78%と最も大きく増加している点は特筆すべきです。これは在宅勤務などの影響により、自宅内の空間整備に対する関心が高まった結果とも考えられます。
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一方で、就業者2人(-63.94%)や世帯2人(-63.69%)など、多くの層で支出が大幅に減少しています。物価上昇や将来不安、居住スペースの制限が影響しており、応接セットのような大型家具の優先度が下がっていることが背景にあります。
応接セットの世帯別ニーズと課題
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大家族世帯では、共用空間としての応接セットが依然求められており、今後も一定の需要が維持されると見られます。特に親子三世代の同居家庭などでは、家族団らんと来客対応の両立が家具選びに反映されます。
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一方で、単身者や高齢者世帯では、応接セットに対する必要性が相対的に低く、よりコンパクトな家具への志向が強いのが現状です。
今後の予測と家具市場の変化
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住宅の狭小化やミニマル志向が強まる中、応接セットの市場は全体として縮小傾向になると予想されます。特に若年層や都市部に住む世帯では、応接セットよりも多機能ソファやコンパクトなリビング家具への需要が強くなるでしょう。
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ただし、地方や広めの住居に住む世帯では応接セットの存在意義は今後も一定程度維持される可能性があり、ニッチな需要が残ると考えられます。
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今後は「機能性」「収納性」「移動性」など、応接セットの新たな付加価値が重視され、買い替え需要の中で新しいスタイルの家具が登場してくると見られます。
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