役職別の携帯電話本体支出では、雇用されている人が最も高く、自営業層は急増中。会社役員は支出を大幅に減らし、無職層は行政支援などを背景に緩やかに増加している。役職ごとの支出には生活スタイルや必要性、経済的背景が反映されており、今後もその傾向が続くと予想される。
役職別の携帯本体
1世帯当りの月間使用料
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | |
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名称 | 平均 | 雇用されている人 | 自営業主・その他 | 会社などの役員 | 無職 |
最新値[円] | 2392 | 3473 | 2317 | 1900 | 1582 |
前年月同比[%] | 7.798 | 14.85 | 49.29 | -34.64 | 24.57 |
これまでの役職別の推移


詳細なデータとグラフ
役職別の現状と今後
近年、物価の上昇とともに携帯電話本体の価格も高騰している中で、支出には世帯の役職別による明確な違いが見られる。携帯本体の支出額は、単に収入の多寡だけではなく、生活スタイルや情報通信への依存度、購買タイミングにも大きく影響されている。本稿では2015年から2025年3月までのデータをもとに、役職別の支出動向を丁寧に分析し、今後の見通しを示す。
役職別支出の最新実態と増減傾向
2025年3月時点における役職別の平均支出額は2,392円であり、以下の通り役職によって明確な差が存在している。
高い順に並べた支出額(1世帯あたり):
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雇用されている人:3,473円(+14.85%)
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自営業主・その他:2,317円(+49.29%)
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会社などの役員:1,900円(-34.64%)
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無職:1,582円(+24.57%)
このデータから読み取れるのは、「雇用者」が最も支出を行い、「役員」が大きく支出を減らしているという逆転現象だ。
各役職層の支出傾向と背景分析
(1)雇用されている人(会社員など)
この層は安定した月収と通信環境への依存度の高さから、一定の周期で端末を更新する傾向が強い。仕事・プライベート両面でのスマホ活用は日常化しており、リモート勤務や副業などの影響もあって複数台持ちや高性能端末の需要が強まっている。
(2)自営業主・その他
前年比49.29%という急激な増加が目を引く。これは、物価高やインボイス制度対応、キャッシュレス決済の普及によって、スマートフォンや業務用端末の更新・導入が進んだ可能性がある。必要経費としての扱いも容易であり、一括購入や最新機種への投資に踏み切った層が増えたと推測できる。
(3)会社などの役員
支出が前年比-34.64%と大幅減少しているのは非常に特異。役員層では、業務端末が会社支給となっている場合が多く、個人での購入を控えるケースが増えていると考えられる。また、事業整理や経費見直しの影響で私的支出の圧縮が進んでいる可能性もある。
(4)無職
無職層では、前年同期比+24.57%の増加が見られた。主に高齢者のスマホ移行の進展や、行政・福祉系の支援による端末導入の後押しが要因とみられる。LINEや行政アプリの利用拡大、健康・見守り用途などでの端末需要がじわじわと拡大している。
役職別支出に見る行動傾向と価値観の違い
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雇用者層:安定収入で最新モデルも視野に入れた購買。
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自営業層:業務効率化や経費化が支出を後押し。
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役員層:合理化志向が強く、会社支給端末で代替。
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無職層:社会福祉・行政支援がスマホ利用を促進。
それぞれが異なる価値判断のもとで携帯本体への支出を決定しており、「必要性」と「余裕度」のバランスが影響を与えている。
今後の見通しと政策的示唆
(1)雇用者層は中長期的に高水準維持
デジタル化の進展に伴い、今後も仕事・副業・家庭管理など複数用途でスマホの必要性は高まるため、支出水準は下がりにくい。
(2)自営業層は波を持ちながらも増加基調
税務対応や業務のIT化により、デバイス投資は続く。ただし景気や制度変更によって短期的には大きな波が予想される。
(3)役員層の支出は低位で安定
会社支給端末の普及や個人支出の合理化が進んでいることから、今後も低位安定。経費節減志向が続く限り、支出増は見込みにくい。
(4)無職層は緩やかに増加傾向
高齢化とデジタル社会化の進展により、スマホは「インフラ」の一部として根付きつつある。機能を絞った低価格機種の普及と支援策次第で、今後も緩やかな増加が続くと考えられる。
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