日本における住宅関連支出の一環である庭・植木の手入れ代は、近年地域差が顕著で、特に四国や東北、北海道での急増が目立ちます。平均支出は5.457万円で前年比+8.605%と伸びているものの、支出世帯の割合は減少傾向にあります。これは高齢化や庭離れ、維持コストの問題が背景にあり、需要が特定地域や層に集中していることを示しています。今後はサービスの多様化や簡易手入れ市場の成長が期待されます。
家計調査結果
庭・植木の手入れ代の相場
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 四国 | 東北 | 小都市A | 近畿 | 東海 | 大都市 | 中国 | 全国 | 北海道 | 中都市 |
最新値[万円] | 5.457 | 10.16 | 8.417 | 6.791 | 6.012 | 5.919 | 5.452 | 5.3 | 4.923 | 4.5 | 4.09 |
前年同月比[%] | +8.605 | +225.7 | +142.9 | +148.9 | +74.52 | -47.11 | -36.06 | -41.03 | -4.022 | +215.3 | -13.15 |
庭・植木の手入れ代支出の世帯割合
2025年4月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 東北 | 北陸 | 小都市B | 中都市 | 関東 | 東海 | 全国 | 中国 | 四国 | 小都市A |
最新値[%] | 0.824 | 1.22 | 1.22 | 1.12 | 0.96 | 0.94 | 0.85 | 0.82 | 0.77 | 0.76 | 0.73 |
前年同月比[%] | -9.851 | +22 | -3.937 | +19.15 | -4 | -1.053 | +10.39 | -8.889 | -18.95 | -43.7 | -22.34 |
庭・植木の手入れ代の推移


詳細なデータとグラフ
庭・植木の手入れ代の住宅関係現状と今後
庭・植木の手入れ代は、住宅の外構維持にかかわる支出のひとつであり、草刈りや剪定、庭師の依頼などが含まれます。見た目の美しさだけでなく、防災や病害虫対策の観点からも重要な支出です。しかし、生活スタイルの変化や高齢化の影響を強く受けやすく、地域や世帯構造によって支出傾向が大きく異なります。
これまでの動向 ― 地域差と変動の実態
地域別の支出額の傾向
最新のデータによると、庭・植木の手入れ代が最も高いのは4国(10.16万円)で、次いで東北(8.417万円)、小都市A(6.791万円)となっています。1方で、中都市(4.09万円)や北海道(4.5万円)は比較的低めです。これは、地元に庭付き住宅が多く、業者の活用が進んでいる地域と、DIYや簡易管理で済ませる地域との差を反映しています。
年間変動とその背景
前年比で大幅な支出増となっているのは、北海道(+215.3%)、4国(+225.7%)、東北(+142.9%)といった地方圏で、何らかの突発的要因(台風被害・大雪・病害虫の拡大等)や業者費用の上昇が影響している可能性があります。1方、東海(-47.11%)、中国(-41.03%)、大都市(-36.06%)では大幅に減少しており、経済的抑制やサービスの縮小化が進んでいると考えられます。
支出世帯の割合とその減少傾向
支出した世帯の割合は平均0.824%と非常に低く、庭の維持管理を外注する家庭は限られています。とくに北海道(0.41%)、9州・沖縄(0.53%)、大都市(0.6%)では、手入れを自分で行う、または庭を持たない住宅の割合が高いことが推察されます。
前年と比べると、北海道を除くすべての地域でこの割合が減少しており、特に4国(-43.7%)や近畿(-26.83%)の減少幅は顕著です。これは以下のような要因が絡んでいると考えられます:
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高齢化に伴う手入れ不要な住宅志向
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空き家の増加と放置庭園の拡大
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家計の節約志向と外注の敬遠
問題点 ― 維持困難と需要の局所化
庭・植木の手入れ代に関する最大の課題は、「担い手」と「需要」のミスマッチです。職人不足と価格高騰が起きる1方で、実際に外注する世帯は少数派で、結果として地域によっては業者が撤退してしまうケースもあります。
また、都市部ではそもそも庭付き住宅が減少しており、こうしたサービスの市場が成立しにくくなっています。1方で、地方では高齢者世帯が増えて庭の維持が困難となるケースが多く、外注依存が増える中で価格が急上昇するという現象が見られます。
今後の推移と期待される展開
今後、庭・植木の手入れ代は以下のような方向で推移していくと考えられます:
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高齢化の進行による外注需要の増加:特に地方での高齢単身世帯を中心に、庭の維持を自ら行えず、1定の需要が残る見込みです。
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② DIY志向と簡易サービスの台頭:自分でできる剪定ツールやサブスク型庭手入れサービスなど、安価で手軽な選択肢が増加する可能性があります。
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③ 環境志向と緑化需要の回帰:ヒートアイランド現象対策として家庭内緑化が再評価され、庭を再整備する動きが広がれば、支出が再び増加に転じる可能性も。
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④ デジタルマッチングによる業者活用の効率化:アプリやプラットフォームを介した業者依頼が進み、外注のハードルが下がれば、利用世帯の割合増加も期待されます。
まとめ ― 住宅文化の変容とともに
庭・植木の手入れ代は、単なる外構支出ではなく、住宅文化・生活様式・地域性を映す鏡のような存在です。今後も住宅のコンパクト化が進む1方で、自然との共生や防災意識の高まりにより、庭に対する価値が見直される可能性もあります。持続可能な形での庭管理サービスの在り方が問われる時代が来ているといえるでしょう。
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