応接セット支出は40~44歳層で最も高く、前年比+383.3%と急増。家庭形成や住宅購入後の家具更新が主因とされます。中高年層では支出が減少し、既存家具の維持や縮小志向が強まりました。85歳以上でも一部増加が見られるが、例外的な事例と見られます。今後は40代前後が主な購入層となり、若年層や高齢層では需要縮小が予想されます。
年齢別の応接セット
1世帯当りの月間支出
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 40~44歳 | 35~44歳 | 40~49歳 | 50~54歳 | 45~54歳 | 50~59歳 | 45~49歳 | 55~59歳 | 55~64歳 | 85歳~ |
最新値[円] | 117.1 | 493 | 334 | 306 | 208 | 189 | 177 | 164 | 145 | 93 | 79 |
前年月同比[%] | -49.61 | +383.3 | +185.5 | -4.673 | -15.79 | -46.31 | -44.34 | -65.98 | -63.48 | -57.73 | +229.2 |
これまでの年齢別の推移


詳細なデータとグラフ
年齢別の現状と今後
家具の購入行動、とりわけ応接セットのような耐久消費財の支出には、年齢によるライフステージの変化が色濃く反映されます。結婚、子育て、住宅購入、退職など、人生の節目とともに求められる家具の種類や質は変化します。ここでは、2017年~2025年のデータに基づき、年齢別に応接セット支出の傾向と背景、そして今後の展望について丁寧に解説していきます。
40代前半の爆発的増加 ― 家具更新と家庭形成のピーク
40~44歳(493円/前年比+383.3%)は、今回のデータで圧倒的な支出を記録しています。これは、住宅の新築・購入から数年を経て、家族構成が固まり、来客対応を重視した応接スペース整備が進む時期と一致します。
同時に、35~44歳(334円/+185.5%)や40~49歳(306円/-4.67%)など周辺年齢層でも高支出が目立ちます。この世代は共働き世帯が多く、経済的余力を活かしてインテリアへの投資を積極的に行う傾向があります。特に、在宅ワーク環境の整備や「見栄えの良い空間」を求める需要が増え、応接セットのニーズが復活しているとも言えます。
中高年層の支出減 ― 家具の見直しと生活の縮小
50~54歳(208円/-15.79%)、45~54歳(189円/-46.31%)、50~59歳(177円/-44.34%)などの中高年層では支出が大幅に減少しています。これは、既に応接セットを保有しており、買い替えの必要がない、あるいは家具への関心が減退していることが原因です。
またこの世代は子どもの独立や退職後のライフプランに向けて支出の見直しが進み、“空間の縮小”や“持たない生活”への意識が高まる傾向にあります。応接スペースをダイニングやリビングに統合するなどの動きも多く見られます。
60代以降と85歳以上の動向 ― 維持よりも整理へ、例外的支出も
55~59歳(145円/-63.48%)や55~64歳(93円/-57.73%)といった60歳前後の層では、応接セットに対する支出は減少しています。高齢に近づくほど、家具の更新ではなく「処分」「コンパクト化」に意識が移っているのが現状です。
一方、特異な動きとして85歳以上(79円/+229.2%)が挙げられます。この層の支出増加は、介護施設や高齢者住宅への入居に伴う家財整理や、家族・親族による代理購入といったケースも想定されます。全体の支出額は低いものの、一部の事例が大きな増加率として現れていると考えられます。
今後の展望 ― 応接セットの需要は一部限定層へ
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若年層(~34歳)への広がりは限定的 今回のデータでは未掲載だが、若年層では応接セットよりも省スペース・実用的な家具が主流。今後もこの層には定着しにくいと見られる。
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40代をピークとした更新需要の山 世代交代により、今後の10年は35~45歳層が応接セットの主な購入層であり続ける。ただし「応接セット」というカテゴリ自体の衰退が進めば、用途分散型家具やモジュール家具へと移行する可能性がある。
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高齢層は消費よりも処分フェーズに 家具の大型化や運搬の手間から、高齢層では家具更新そのものが敬遠されており、支出は縮小が進む一方となるだろう。
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