年齢別タンス支出の実態と今後の変化:30代と50代で明暗分かれる理由

タンス



年齢別のタンス支出では、35~39歳が最も高く、子育てや住宅購入に伴う需要が主因です。一方で50代後半は大幅に減少し、断捨離や生活のコンパクト化が背景にあります。今後は年齢よりも生活スタイルや住環境が家具支出を左右する時代に移行すると予測されます。

年齢別のタンス

1世帯当りの月間支出

2025年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
名称 平均 35~39歳 30~39歳 35~44歳 50~54歳 45~54歳 45~49歳 40~49歳 50~59歳 40~44歳 55~59歳
最新値[円] 115.9 446 336 257 244 239 232 193 174 141 103
前年月同比[%] -16.65 +74.22 -29.26 +25.98 +2.954 +14.35 +32.57 +12.21 -17.54 -15.57 -43.41

 

これまでの年齢別の推移

タンス
最新のデータ

 

詳細なデータとグラフ

 

年齢別の現状と今後

家具の中でも「タンス」は、生活様式や家族構成、住環境の変化を色濃く反映するアイテムです。特に世帯主の年齢によって、タンスへのニーズや購入タイミングは大きく異なり、その傾向は時代とともに変化しています。本稿では、2002年から2025年3月までの長期データを基に、年齢別のタンス支出の動向や背景を分析し、今後の見通しを考察します。


最新データの概観

2025年3月時点における年齢別タンス月間支出の平均は115.9円。支出が最も多いのは35~39歳(446円)で、以下のような順位となっています:

  • 35~39歳:446円(+74.22%)

  • 30~39歳:336円(-29.26%)

  • 35~44歳:257円(+25.98%)

  • 50~54歳:244円(+2.954%)

  • 45~54歳:239円(+14.35%)

  • 45~49歳:232円(+32.57%)

  • 40~49歳:193円(+12.21%)

  • 50~59歳:174円(-17.54%)

  • 40~44歳:141円(-15.57%)

  • 55~59歳:103円(-43.41%)

このデータから、30~40代を中心に支出が高く、50代後半に向かって急速に減少している傾向が見てとれます。


なぜ30~40代が最も支出しているのか

30代後半から40代前半にかけてタンス支出が突出して高い理由として、以下のようなライフステージ要因が挙げられます:

  • 住宅購入・引っ越しによる家具買い替え

  • 子育てによる収納需要の急増

  • 可処分所得の安定化による購買余力の増加

  • インテリア意識の高まり

特に35~39歳の層が446円と平均の約4倍となっているのは、住宅ローン開始後の整備期や家族の増加に対応する収納ニーズがピークとなる年代であることが大きいと考えられます。


50代以降の支出減の背景

50~59歳の層は全体的に支出が落ち着き、特に55~59歳は103円と急落しています。その背景には以下の要因が考えられます:

  • 子どもの独立による家具需要の減退

  • 断捨離志向の高まり

  • 住宅の買い替えではなく現状維持の傾向

  • 医療費や老後資金への備えが優先される

つまり、収納家具の新規購入ではなく、不要家具の処分や機能性重視の買い替えが中心となり、大型家具であるタンスは選ばれにくくなる年齢層です。


30代・40代における多様な支出動向

30~39歳で-29.26%、40~44歳で-15.57%と減少しているグループも存在します。このような中で35~39歳だけが突出して支出を増やしている点は興味深く、「二極化」の兆しを示しています。以下のような分岐が背景にある可能性があります:

  • 所得や資産状況の差による消費行動の分裂

  • シェアハウス・コンパクト賃貸の普及により家具が不要な世帯の増加

  • 収納付き物件の増加による家具購入の省略

同じ年代でも、ライフスタイルや家族構成によって支出額に大きな差が出ていると考えられます。


今後の予測と課題

  1. 30代の支出は今後も堅調だが伸びは鈍化へ高齢化社会の中で、住宅を購入する世帯が30代後半から40代前半に集中する傾向は続くと見られます。ただし、賃貸住まいの継続や収納機能付き物件の普及により、タンス購入は減少する可能性もあります。

  2. 50代以降は支出の底打ち・縮小傾向が続く家具の買い替えではなく、処分・縮小を意識する動きが加速。高齢期を見据えてコンパクトな生活への転換が主流となるでしょう。

  3. 今後の家具市場は「年齢ではなく生活スタイル」で分類される時代に年齢よりも、単身・核家族・二世帯・地方or都市部といった居住形態・価値観によって家具購入動機が変わる時代に突入しています。統計的な年齢分類の精度も、今後は限界を迎える可能性があります。

 

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