年齢別に見ると、背広支出は45〜49歳が最も多く、管理職や対外活動が活発な時期にあたります。一方、50代以降は退職や業務変化でスーツの必要性が減り、支出も大幅減少。40代以下もビジネスカジュアル化の影響で支出が縮小傾向にあります。今後は“必要な場面に限定して上質なものを”という方向に支出スタイルが移行していくと予想されます。
年齢別の背広服
1世帯当りの月間使用料
2025年3月 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
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名称 | 平均 | 45~49歳 | 45~54歳 | 50~54歳 | 40~49歳 | 50~59歳 | 55~59歳 | 40~44歳 | 55~64歳 | 35~44歳 | 60~64歳 |
最新値[円] | 896.5 | 2675 | 2438 | 2248 | 2102 | 2084 | 1920 | 1349 | 1332 | 1084 | 787 |
前年月同比[%] | -17.96 | 5.315 | -7.686 | -17.44 | -2.685 | -23.18 | -28.92 | -17.89 | -28.77 | -14.17 | -30.9 |
これまでの年齢別の推移


詳細なデータとグラフ
年齢別の現状と今後
スーツ(背広)は、年齢や職業、社会的立場に応じて必要性が変化する衣類です。若年層では就職・転職、中年層では管理職や外部との交渉、熟年層では儀礼的な用途が中心となります。本章では、2002年から2025年3月までのデータをもとに、年齢別の背広支出の動向を深掘りします。
支出のピーク ― 45〜49歳層の突出とその背景
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支出額:2,675円(前年比 +5.32%) この年齢層が支出のピークとなっています。理由としては、企業内での昇進・管理職化、役職者としての「対外的な体裁」が重視される時期であることが挙げられます。特に中堅~大企業のビジネスマンにとっては、背広が「信用と立場の象徴」として機能しているため、この年齢帯は最も支出が活発です。
高支出層全体(40〜59歳) ― ビジネスの中核を担う世代の変化
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40~49歳:2,102円(-2.69%)
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45~54歳:2,438円(-7.69%)
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50~54歳:2,248円(-17.44%)
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50~59歳:2,084円(-23.18%)
この層では背広の必要性が高い一方で、支出は減少傾向です。考えられる要因は以下の通りです:
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リモートワークの浸透:背広着用の必要がなくなり、買い替えサイクルが長期化。
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多様な服装ルール:ビジネスカジュアル容認の拡大で、必ずしも背広が必要とされなくなった。
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物価高と節約意識:中間管理職層は家庭支出が多く、衣服にかける予算を抑える傾向。
支出の踊り場 ― 35〜44歳と40〜44歳層の役割と低迷
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35~44歳:1,084円(-14.17%)
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40~44歳:1,349円(-17.89%)
社会人としてある程度の経験を積んだ層ですが、役職に就いていない場合が多く、出世前の“待機期間”ともいえる世代です。スーツの使用頻度はあるものの、既製品やセール品で済ませる人が多く、支出は控えめ。また、カジュアル寄りの業界(IT・クリエイティブ職)もこの年齢層に集中しており、支出減の一因です。
熟年層(55〜64歳) ― 引退・再雇用と儀礼的用途への転換
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55~59歳:1,920円(-28.92%)
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55~64歳:1,332円(-28.77%)
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60~64歳:787円(-30.9%)
この層の支出減少は著しく、定年・役職引退によるスーツ不要化が主因です。再雇用制度によって継続勤務していても、業務内容の変化(現場職・短時間勤務など)で着用機会が減少。また、儀礼的なスーツ(葬祭用など)の買い替えサイクルは長いため、月間支出額は極めて低くなります。
年齢別の支出傾向から見える将来予測
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今後も全体的に支出は減少傾向 業務効率や服装の自由化が進み、スーツの消費は抑制され続けると見られます。
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一部での“高品質少数購入”への移行 特定の年齢層(特に40代後半〜50代前半)では、少数精鋭の上質なスーツに切り替える動きも継続。
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セレモニー特化型需要の増加 高齢層では、冠婚葬祭やリユニオンイベント用など、特定の用途に向けた需要が残存します。
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レンタル・サブスク型スーツ市場の台頭 特に若年層・フリーランス層では、年に数回しか着ないニーズに応える形で、新しいサービスモデルが浸透しつつあります。
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